日経平均は4日ぶり反発。
220.05円高の26651.60円(出来高概算5億3837万株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でダウ平均は329.60ドル安(-1.11%)と5日続落。
英国政府が先週発表した大規模な経済対策によりインフレが一段と悪化し、世界景気の後退に繋がるとの警戒感から売りが先行。
米国内の長期金利も一段と上昇し、ドル指数が2002年来の高値を更新すると、ドル高による企業収益の圧迫懸念も強まり売りに拍車がかかった。
ナスダック総合指数も-0.59%と5日続落。
一方、前日の急落の反動で日経平均は153.83円高と反発スタート。
時間外取引の米株価指数先物が大きく上昇していることも支援要因に堅調推移が続き、一時26680.20円(248.65円高)まで上昇。
しかし、外部環境の不透明感が拭えないなか自律反発狙いの買いの域を出ず、その後はもみ合いが続いた。
個別では、任天堂 (TYO:7974)、日本電産 (TYO:6594)のほか、トヨタ自 (TYO:7203)、日産自 (TYO:7201)
などの自動車関連、ANA (TYO:9202)、資生堂 (TYO:4911)、花王 (TYO:4452)、マツキヨココ (TYO:3088)などのリオープン・インバウンド関連が大幅に反発。
三井物産 (TYO:8031)、石油資源開発 (TYO:1662)、住友鉱 (TYO:5713)などの市況関連のほか、ファナック (TYO:6954)、SMC (TYO:6273)、安川電機 (TYO:6506)などのFA(Factory Automation)関連も強い。
材料どころでは、業績予想を上方修正したタムラ製作所 (TYO:6768)、ハピネット (TYO:7552)、日特殊陶 (TYO:5334)のほか、船用原動機事業を分社化した日立造船 (TYO:7004)、6-8月期が増益転換となったあさひ (TYO:3333)などが買われた。
一方、レーザーテック (TYO:6920)、東エレク (TYO:8035)、ソフトバンクG (TYO:9984)の主力ハイテク株が続落。
メルカリ (TYO:4385)、ベイカレント (TYO:6532)、マネーフォワード (TYO:3994)などのグロース株でも軟調なものが多い。
セクターではその他製品、化学、食料品を筆頭にほぼ全面高。
一方、海運、不動産の2業種が下落した。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体81%、対して値下がり銘柄は15%となっている。
本日の日経平均は上昇しているものの、前日の700円安に比べると反発力の乏しさが否めない。
日足一目均衡表では雲下限を大きく下放れて三役逆転の状態。
急下降中の5日移動平均線に続いて、25日線、75日線も下向きに転じ、テクニカル形状の悪化が著しい。
米主要株価3指数は揃って5日続落と売りが止まらない。
5日間の下げ幅としてはかなり大きく、いつ押し目買いが入ってもおかしくない水準まで調整しているにもかかわらず、前日も上昇後に下落に転じるなど冴えない動きだった。
足元では米国のマネーマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMMF)への資金流入が加速しており、投資家の多くは現金化を急いでいるもよう。
前日、米10年債利回りは3.9%まで急伸した。
英国ではトラス新政権による財政出動を受けて英国債利回りが急伸してきているほか、イタリアでもポピュリズム(大衆迎合主義)色の濃い右派政権が誕生する見通しとなり、バラマキ策による財政悪化への懸念からイタリア国債利回りが大幅に上昇している。
各国での債券利回りの上昇ペースがあまりに速く、ボラティリティー(変動率)の高さが投資家の株式への買いを見送らせている。
また、利回りは上昇ペースが速いだけでなく、水準としても既に記録的な高水準で、満期まで持つ前提であれば投資妙味は非常に高いところまできている。
これでは株式投資のリスクリワードが合わないと言わざるを得ない。
東京市場では直近、東エレク、ソニーG (TYO:6758)などの主力株の年初来安値の更新が続いている。
ソニーGは本日小幅ながらも反発しているものの上昇率は小さく、東エレクについては前日の急落直後であるにもかかわらず本日も続落している。
こうしたところからも機関投資家の様子見ムードの強さが窺え、目先の底入れタイミングを計るのが難しい。
前日の先物手口を見ると、日経225先物ではクレディ・スイスやドイツ証券など商品投資顧問(CTA)の動きと連動性の高い証券会社で売り越しが見られた。
また、TOPIX
(東証株価指数)先物でもUBS、JPモルガン、BofA(バンク・オブ・アメリカ)など外資証券の売り手口が目立った。
米国ではCTAが先々週頃からショート(売り持ち高)を積み上げてきているほか、先日の米8月消費者物価指数(CPI)の上振れ以降は、マクロ系ヘッジファンドも売り持ち高を構築し始めたとの指摘が聞かれている。
一方、日本でもCTAの売りが上述のように観測されているものの、一部調査では、CTAがロング(買い持ち高)を積み上げ始めた7月中旬頃の日経平均は26500~26750円だったことから、現状の水準で既にロングの手仕舞いは大方済んでいるのではとの指摘が聞かれている。
また、金利の上昇スピードや景況感の方向性の観点からみると、欧米に比して日本株を巡るファンダメンタルズは相対的に良好で、ここからの売り転換も想定しにくいと考えられている。
国内では明日は権利付き最終売買日で、権利取りを狙った買いが最終局面を迎えることが想定されるほか、28、29日にかけては配当再投資に絡んだ買い需要が現物・先物の合算で1兆円前後(TOPIX8000億円強、日経平均1500億円強)見込まれている。
日経平均採用銘柄の入れ替えに伴うリバランスで売り需要の懸念もあるが、相対感では日本株の下値余地は欧米株と比べると限定的と言えそうだ。
また、海外の金利の急伸ぶりは懸念材料だが、ユダヤ教の祭日絡みで参加者が限られるなか、低い流動性が過度な上昇を生んでいる可能性もある。
景気後退懸念の強まりも想定すると、今後、米10年債利回りは節目の4%を手前に上昇一服となる公算も大きく、金利のボラティリティーが低下すれば、ようやく株式に押し目買いが入る可能性もあろう。
目先は弱い季節性で知られている9月から、季節性要因で強いと知られる10月への反転相場のチャンスを窺いたい頃合いか。
(仲村幸浩)
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