エーザイの新たな認知症治療薬、試験で効果確認 日米欧で23年中のフル承認目指す

Reuters

発行済 2022年09月28日 08:58

更新済 2022年09月28日 16:27

[東京 28日 ロイター] - エーザイは28日、米製薬大手バイオジェンと共同開発しているアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、早期アルツハイマー病患者を対象とした第3相の臨床試験で、症状の悪化抑制を示し、主要評価項目を達成したと発表した。エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は午後の説明会で、日米欧でそれぞれ「23年中のフル承認を目指す」と語った。

第3相臨床試験は、規制当局へ承認申請する前に行う最終段階の試験。今回の試験は、1795人を対象に実施。主要項目のほか、全ての重要な副次評価項目についても、統計学的に有意な結果が得られたという。

レカネマブ投与群が偽薬(プラセボ)投与群と比較して27%の悪化抑制を示した。

メイヨークリニック・アルツハイマー病研究センター(ミネソタ州ロチェスター)のディレクター、ロナルド・ピーターセン氏は「大きな効果ではないが、前向きな効果だ」と指摘。ネバダ大学ラスベガス校トランスフォーマティブ神経科学チャンバーズグランディセンターのディレクター、ジェフ・カミングス博士は「病気の進行を約30%遅らせることができれば、素晴らしいことだ」と語った。

エーザイは、2022年度中の米国でのフル承認申請や、日本、欧州での販売承認申請を目指し、各国当局と協議を行うとしている。同剤は米FDA(食品医薬品局)から優先審査指定を受けており、審査終了目標日は23年1月6日に設定されている。

23年3月期の業績予想への影響は軽微で、6月8日に発表した業績予想に変更はないという。

内藤CEOは「(自社の)財務的に大きく貢献する商品になるのはもちろんだが、社会的インパクトも非常に大きなものがある。エーザイはレカネマブを契機に大きく変わる」と述べた。売り上げなどへの影響について、新薬の価格は慎重に検討していかなければならず、インパクトを語るのは難しいとした。