コスモ・バイオ Research Memo(2):世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献するバイオ専門商社

Fisco

発行済 2022年09月28日 16:22

■会社概要

1. 会社概要
コスモ・バイオ (TYO:3386)は世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献する独立系のバイオ専門商社である。
グループは同社、連結子会社2社(ビーエム機器(株)、Cosmo Bio USA, Inc.(以下、CBU))、非連結子会社1社((株)プロテインテック・ジャパン)で構成されている。
ビーエム機器はライフサイエンス研究に使用する機器類・消耗品の輸入及び国内販売、CBUは北米を中心とした新規製品・仕入先の探索及び日本以外の全世界向け販売を行っている。
プロテインテック・ジャパンは、米国Proteintech Group, Inc.(以下、PGI)との合弁会社(同社出資比率51%)で、日本におけるPGI製品のプロモーションやテクニカルサポート等を通じてPGI製品の拡販を推進している。


また出資先として、組織培養用培地のパイオニアであるコージンバイオ(株)、創薬ベンチャーのファイメクス(株)(武田薬品工業 (TYO:4502)のアントレプレナーシッププログラムによって設立されたカーブアウトベンチャー)、ペプチド創薬支援で業務提携している創薬ベンチャーのメスキュージェナシス(株)などがある。


2. 事業概要
同社は、世界のライフサイエンス研究の進歩・発展に貢献する独立系のバイオ専門商社として、大学・公的研究機関・検査機関・民間企業・病院などの研究室で使用される基礎研究分野の研究用試薬・機器・消耗品・臨床検査薬を国内外で販売している。
2022年12月期第2四半期の売上高構成比は、研究用試薬(自社製造・受託サービスを含む)が77.6%、機器が21.3%、臨床検査薬が1.1%で、研究用試薬を主力としている。


研究用試薬とは、基礎研究分野での実験・研究・測定のために使われる薬剤である。
ライフサイエンスの基礎研究は広範囲に様々な分野で行われている。
研究者1人ひとりがそれぞれ異なったテーマで研究を行っているため、タンパク質研究用試薬、遺伝子研究用試薬、組織培養研究用試薬、そのほかバイオ研究用試薬、創薬支援・受託サービス(カスタムペプチド合成・抗体作製等)など多種多様の試薬・技術情報・サービスが必要となる。


3. 特徴・強み
グローバルな仕入ネットワーク、業界最大級の品ぞろえ、グループ内の製造・受託サービスのメーカー機能を強みとして、抗体分野を中心とする多様な顧客ニーズに対応して多種多様な製品・技術情報・サービスをワンストップで提供している。
仕入面については世界に約600社(うち海外が400社以上)のネットワークがあり、取扱品目数は自社ブランドを含めて約1,200万品目に上っている。
販売面については全国をカバーする約200拠点の販売代理店網が国内にあり、海外はCBUが展開している。


同社が取り扱う製品の中には、薬機法、毒物及び劇物取締法など関連法規や行政指導に該当するものが多く含まれており、動物由来もしくは動物由来の成分を含む場合には輸入・輸出の際に動物検疫対象となる。
海外からの輸入品の場合には関連法規や取扱基準・規制が日本と異なっていることが少なくない。
このため製品の仕入・保管・販売に関しては、国内外の関連法規・行政指導による取扱基準・規制に精通することが必要である。
さらに、試薬の多くはタンパク質や核酸・細胞など生物由来の物質、いわゆる「ナマモノ」であるため、仕入から保管・納品まで厳重な温度管理が必要となる。
こうした対応力においても競合優位性を持っている。


4. 成長ドライバーとして自社製造・受託サービスを強化
同社は成長ドライバーとして自社製造・受託サービスを強化している。
仕入で充足できないニーズに対して「自ら作る、サービスを提供する」ことでソリューションを提供している。


試薬製造・受託試験事業への参入は2006年12月である。
初代培養細胞(プライマリーセル)の研究開発・製造・販売・受託解析を行う(株)プライマリーセルを連結子会社化(2013年7月吸収合併)したことに始まる。
そして現在は、2016年12月に本格参入したカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業、2019年7月に開始した鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業の規模拡大・収益化に注力している。


5. リスク要因・対策、収益特性
収益に影響を与えるリスク要因としては、大学・公的研究機関の公的研究費や民間企業の研究開発費などライフサイエンス研究関連費用の支出動向、為替変動、海外仕入先のM&Aや日本における販売体制の改変、業界内の競合、法規制の変更などがある。
為替変動については、仕入の6~7割が輸入品であるため、仕入原価が為替変動の影響を受けやすい。
ドル高・円安は仕入原価上昇要因、ドル安・円高は仕入原価低下要因となる。
こうした為替変動リスクに対し、同社は実需の一定範囲内で為替予約を行っている。
なお仕入の通貨別割合はドル建てが6割、円建てが3割、ユーロ・そのほかが1割前後となっている。


収益特性としては季節特性がある。
大学・公的研究機関の公的研究費及び民間企業の研究開発費の支出は、国の年度末や民間企業の決算期末の1月~3月に多くなり、新年度入りした4月~6月に少なくなる傾向がある。
このため同社の売上高及び利益は第1四半期(1月~3月)の構成比が高く、第2四半期(4月~6月)の構成比が低くなる。
ただし公的研究費で年度繰越や複数年予算が認められるようになったため、年度末に予算消化が集中する傾向は緩やかになっていると言う。
同社の四半期収益も同様に平準化が進むと考えられる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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