電算システムHD Research Memo(2):「情報サービス事業」と「収納代行サービス事業」を展開(1)

Fisco

発行済 2022年09月29日 17:02

更新済 2022年09月29日 17:15

■会社概要

電算システムホールディングス (TYO:4072)は、2021年7月に単独株式移転の方法により独立系総合情報処理サービス企業である電算システムの完全親会社として設立し、東証プライム市場及び名証プレミア市場に上場している。
電算システムが保有する(株)ソフトテックス、DSテクノロジーズ、ガーデンネットワーク(株)、(株)ゴーガ、(株)ピーエスアイ、(株)システムエンジニアリング、マイクロリサーチの全株式を同社へ現物配当することにより、同社の直接出資会社としている。
併せて、完全子会社である(株)システムアイシーを電算システムに吸収合併したほか、システム開発の(株)CMCを2022年3月に完全子会社化した。
さらに、同年3月より、十六フィナンシャルグループ (TYO:7380)(以下、十六FG)との合弁事業会社十六電算デジタルサービス(株)(以下、JDDS)における事業をスタートした。


1. 沿革
同社は1967年、岐阜県内の企業の情報処理業務を受託することを目的として、地元企業や地銀の共同出資により「(株)岐阜電子計算センター」として設立した。
地方企業ではあるものの、技術力と先進的なことに積極的にチャレンジする企業風土とが相まって1973年4月には民間企業初の「口座振替サービス」を開始するなど、着実に業容とプレゼンスを高めていった。
1977年に、岐阜県外での事業拡大を企図して社名を電算システムへと変更した。


同社の創業事業は情報サービス事業であるが、この分野では1982年のPOSオンライン・サービスの開始や1986年の郵便局「ふるさと小包」事業のバックオフィス業務受託など、データ処理だけにとどまることなく事業領域と顧客層の拡大に取り組んできた。
1997年には再び全国初のサービスとして、コンビニエンスストアでの代金決済代行サービスを開始した。
これは後に「払込票決済サービス」として、収納代行サービスの中核事業へと成長を遂げた。


2020年7月にはインターネット、モバイル、IoTの普及に伴い、セキュリティ事業をより拡大・発展させるため、情報セキュリティ事業会社ピーエスアイをグループ会社化した。
さらに、2021年7月に電算システムの単独株式移転により、電算システムホールディングスを設立した。
なお同社は収納代行サービス事業、クラウドサービス事業等の拡大戦略を推進していることから、これら事業において顧客の情報セキュリティを堅牢に守るニーズとサイバー攻撃の深刻化・高度化を背景に、セキュリティ事業を本格的に立ち上げた。
2022年3月には、十六FGとの合弁事業会社JDDSを設立し、地域企業や行政のデジタル化及びDX推進に取り組んでいる。


2. 事業概要(グループ会社)
(1) 電算システム
同社グループの中核事業会社であり、情報サービス事業と収納代行サービス事業の2つの事業を展開している。
独立系企業であるため、メーカーに縛られることなく「ワンストップサービス」の提案を行っている。
売上高の事業構成比は、情報サービス事業が売上の約6割、収納代行サービス事業が約4割となっている。


a) 情報サービス事業
情報サービス事業は、「SI・ソフト開発(Google事業含む)」「情報処理サービス(BPO(業務処理アウトソーシング))」「商品及び製品販売」の3つのサブセグメントに分けられる。
このうちSI・ソフト開発は、顧客の注文に応じて業務システムやネットワークの構築、ソフトウエア開発等を行うのが主要業務であり、同社が近年力を入れているクラウド関連サービスもSI・ソフト開発の中に含まれている。
システム構築に際しては、コンピュータ端末やネットワーク機器の販売なども取り扱うことがあり、その売上高は商品販売として計上する。
基本的にSI・ソフト開発の事業はフロー型ビジネスに分類されるが、そのなかでクラウド関連サービスについてはストック型ビジネスの性格を有している。
また、オートオークション(中古車販売オークション)向けシステム開発なども手掛けている。


同社のクラウド関連サービスのなかにはデジタルサイネージなど様々なものが含まれるが、Google関連サービスの売上高が多くを占めている。
法人、教育機関向けのメールやカレンダーといったグループウェアをはじめ、データ分析や企業内ポータルサイトなど様々なGoogleソリューションを提供している。
そしてGIGAスクール構想を支援し、教室での学びを支援する教育リソースである「Google for Education」を活用した遠隔学習支援プログラムに参加している。
足元ではGIGAスクール構想に一巡した感が見られるものの、「Google Workspace(旧「G Suite」)」は引き続き好調である。


情報処理サービスは、同社の情報処理システムや情報処理技術を活用して役務・サービスを提供する。
顧客データの管理や顧客データに基づいて商品の受注・発送業務などを行うBPO業務においては、郵便局関連や百貨店のギフト通販のデータ処理や発注作業で年間約9,400万件を処理するなど、各企業の業務に応じて様々なBPOサービスを提供している。
単体業務にとどまらずバックオフィス業務、コールセンター業務、請求・入金管理業務など、業務を一括受注する。
情報処理サービスはストック型収入の事業となっている。
また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)においては、「ロボット」と呼ばれるソフトウエアにより業務を自動化し、人手不足の悩みに貢献している。
また、請求書作成代行サービスが好調であり、さらに請求書電子化、インボイス制度要件にも対応した「DSKマルチインボイスサービス」の提供を開始している。


b) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業については再定義している。
従来の「払込票決済サービス、口座振替サービス」「ペーパーレス決済サービス」「送金サービス」「収納代行窓口サービス」「払込票決済サービス」から、「収納・集金代行サービス」「オンライン決済サービス」「送金サービス」「収納代行周辺サービス」「その他の収益」とした。


「収納・集金代行サービス」は、メインのコンビニエンスストア等で支払いができる払込票サービスと銀行の口座振替のサービスである。
コンビニ収納代行サービス(DSK後払いサービスは含まない)、ゆうちょ振替MT代行サービス、キャッシュレス決済サービス(PayPayやLINE Pay、銀行Payなど)、モバイル決済サービス「モバライ☆DSK」、口座振替サービスがある。


「オンライン決済サービス」は、クレジット決済サービスとペーパーレス決済サービスがある。
ペーパーレス決済では、消費者は払込票を使わずにコンビニエンスストア等の様々な決済窓口で支払うことが可能で、同社の顧客企業は支払案内を郵送する代わりに利用者である一般消費者にメールで送る形となる。


「送金サービス」は、国内送金・国際送金がある。
国内送金(第2種資金移動業)は、日本国内の顧客への返金や送金業務を代行するサービスであり、イベントなどの中止に伴う返金作業でも利用されている。
国際送金については、ファミリーマートとWILL CALL(収納窓口サービス、店頭対面型送金サービス)店舗でウエスタンユニオン国際送金サービスを展開している。
割安な手数料で小口現金を海外に送金するサービスであり、外国人に対する労働市場の開放は、この事業にとっては追い風となっている。


「収納代行周辺サービス」は、「払込票」の支払い場所として、コンビニエンスストア・金融機関等だけでなく、スーパーやドラッグストア、各種売店などでも支払いできるサービスである。
「Biz@gent(ビズエージェント)」名で展開している。
同社が契約店舗を開拓することで、同社の顧客企業と一般消費者双方の利便性を高めることができる。


(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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