日経平均は5日ぶり反落、タカ派化を止めないFRB

Fisco

発行済 2022年10月07日 12:11

 日経平均は5日ぶり反落。
161.54円安の27149.76円(出来高概算5億3999万株)で前場の取引を終えている。


 6日の米株式市場でダウ平均は346.93ドル安(-1.14%)と続落。
連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げを懸念する売りが続き下落スタート。
低調な雇用関連指標を受けて長期金利が低下すると一時上昇に転じたが、FRBの3人の高官が揃って利上げ継続の必要性を再主張すると警戒感から売りに押され再び下落。
長期金利も上昇し、引けにかけて主要株価指数は下げ幅を拡大した。
ナスダック総合指数も-0.67%と続落。

米国株安を受けて日経平均は連日の上昇の反動もあり335.38円安と27000円割れからスタート。
ただ、時間外取引のナスダック100先物などが堅調に推移するなか、日経平均は寄り付き直後から下げ渋る展開となり、その後は緩やかに値戻しが進む展開、前場終盤には27198.91円(112.39円安)まで下げ幅を縮めた。


 個別では、米AMDの業績下方修正や韓国サムスン電子の減益決算を受けてアドバンテスト (TYO:6857)やスクリン (TYO:7735)などの半導体関連が下落。
ディスコ (TYO:6146)は速報値での出荷額がネガティブ視されたことも加わり大幅安。
ハイテクではTDK (TYO:6762)、イビデン
(TYO:4062)、新光電工 (TYO:6967)が大きく下落。
三菱重 (TYO:7011)、IHI (TYO:7013)、住友鉱 (TYO:5713)、日本製鉄 (TYO:5401)などの市況関連株や、マツダ (TYO:7261)、日産自 (TYO:7201)、三菱自 (TYO:7211)の自動車関連なども総じて安い。
7&I−HD (TYO:3382)は業績予想を上方修正も事前の観測報道から出尽くし感に繋がり大きく下落。
住友化学 (TYO:4005)は営業利益の下方修正で売り優勢。
C&R (TYO:4763)は6-8月の営業減益が嫌気されて急落。


 一方、前日にレーティング格上げがあったレーザーテック (TYO:6920)が大きく逆行高。

メルカリ (TYO:4385)、サイボウズ (TYO:4776)、Sansan (TYO:4443)などグロース株には上昇しているものが散見される。
ダブル・スコープ (TYO:6619)は連日の大幅高。
JR東 (TYO:9020)、JR東海 (TYO:9022)の陸運やJAL (TYO:9201)、ANA (TYO:9202)の空運のほか、エイチ・アイ・エス (TYO:9603)、エアトリ (TYO:6191)、オープンドア (TYO:3926)などインバウンド関連が総じて高い。
ローム (TYO:6963)は業績予想を上方修正し大幅に上昇。
レーティング最上位でのカバレッジが観測されたエノモト (TYO:6928)、上半期決算が堅調だった乃村工藝社 (TYO:9716)はそれぞれ急伸となった。


 セクターでは保険、機械、電気・ガスを筆頭に全般売り優勢となり、上昇したのは空運、陸運の2業種に限られた。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は33%となっている。


 本日の日経平均は今週に入って初めての下落となり、5日ぶりの反落。
前日までの4日続伸で一気に1400円程上昇し、25日、75日、200日など主要な移動平均線が集中する水準まで戻したことからもテクニカル面で戻り一服が意識されやすいところ。
今晩に米9月雇用統計の発表も控えていることを踏まえれば当然の反応といえ、ネガティブ視する必要はないだろう。
むしろ、朝方300円以上下落して始まったにもかかわらず、寄り付き直後から急速に下げ渋った動きの方が評価され、かなり強い動きといえる。
需給面では、これまでに発表済みの投資部門別売買動向や先物手口から、海外投資家による売り方の買い戻しはすでに一巡していると推察され、足元では新たにロング(買い持ち高)の積み上げを意識させるような動きとなっている。


 今晩の米雇用統計の市場予想は非農業部門雇用者数が25.5−27.5万人(前月31.5万人)、失業率は3.7%(3.7%)、平均賃金は前年比+5.0%(+5.2%)、前月比+0.3%(+0.3%)となっている。
予想並みの結果となれば、短期的なリバウンド相場が目先続く可能性があろう。


 しかし、一昨日、米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁が利下げ転換について
「全くあり得ないと思う」などと言及したのに続き、昨日は、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「政策スタンスを実際に変更するハードルは非常に高い」と発言。

さらに、クリーブランド連銀のメスター総裁も「来年の利下げは全く予想していない」と発言したという。
特に印象的だったのはカシュカリ総裁のコメントで、同氏は
「利上げを継続していくに伴い、世界経済に対してある程度の喪失や不具合が生じるのは十分想定しているが、それは資本主義の本質に過ぎない」とも発言した。
改めてFRBはインフレ抑制のためには景気後退をも厭わないタカ派なスタンスが確認されたといえる。


 来週は米国の消費者物価指数(CPI)のほか米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録
(9月20−21日開催)の公表もある。
上述の今週に入ってからのFRB高官らの発言も踏まえると、株式市場のリバウンドは目先続くとみられるものの、息の短いものになりそうだ。

(仲村幸浩)
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