クレディ・スイス40億ドル増資へ、再建目指し事業再編と人員削減

Reuters

発行済 2022年10月27日 15:17

更新済 2022年10月27日 20:36

[チューリヒ 27日 ロイター] - スイスの金融大手クレディ・スイスは27日、新規および既存株主が引き受け先となる40億スイスフラン(40億ドル)の増資を実施すると発表した。戦略見直しにより一部事業から撤退し、数千人を削減する計画も明らかにした。相次ぐ不祥事で企業イメージが悪化しており、「成功への青写真」(アクセル・レーマン会長)で再建に着手する。

この日発表した第3・四半期決算は40億フラン超の赤字となった。クレディ・スイスは、顧客がここ数週間、流動性に関する一部規制要件を逸脱するほどのペースで資金を引き揚げたと説明。全体としては安定していると付け加えた。

事業再編では投資銀行を分離、助言や資本市場関連業務を手掛ける「CSファーストボストン」を創設する。外部からの出資も募る考え。

高リスクの非戦略事業の縮小・閉鎖に向け、資産を移管するキャピタル・リリース・ユニット(CRU)を新設。また、証券化商品事業の大部分をアポロ・グローバル・マネジメントが率いる投資家連合に売却すると発表した。

増資を巡っては、サウジアラビア政府が過半出資するサウジ・ナショナル・バンク(SNB)が最大15億フラン(15億2000万ドル)分引き受け、最大9.9%保有すると発表した。「助言と資本市場活動に焦点を当てた独立投資銀行の設立を支援することを目的とする」クレディ・スイスによる将来の増資に参加する可能性があるとも表明した。

クレディ・スイスにはすでにサウジ有数の複合企業オラヤン・グループが5%出資しており、SNBの参画で一段とサウジ色が高まる可能性がある。

約5%保有するカタール投資庁は、増資を引き受けるかについてコメントを差し控えた。