三井物、通期純利益を上方修正 円安・LNGトレーディングで収益増

Reuters

発行済 2022年11月01日 14:13

更新済 2022年11月01日 16:28

[東京 1日 ロイター] - 三井物産は1日、23年3月期の連結純利益(国際会計基準)を上方修正し、前期比7.1%増の9800億円になる見通しだと発表した。従来予想は8000億円。IBESがまとめたアナリスト8人の予想平均値9387億円も上回った。豪原料炭事業会社SMCの持分売却益、液化天然ガス(LNG)トレーディングの収益増や為替の円安などを織り込んだ。

重田哲也CFO(最高財務責任者)によると、天然ガスを除いて主な商品価格は上半期比較で下落すると見込む。地政学リスクの顕在化、各国のインフレ抑制のための金融引き締めの影響で「需要の低下など不透明感・不確実性が高まっている」といい、「下半期は若干保守的な見立て」と述べた。為替前提は1ドル=140円で、通期で1080億円の増益要因となっている。

1株当たり配当金を中間・期末で5円ずつ上乗せし、通期で130円に修正した。同時に発行済株式の3.8%にあたる6000万株、1400億円を上限とする自己株式の取得と、取得株式に1000万株追加した株式の消却も発表した。

22年4―9月期純利益は前年同期比33.2%増の5391億円で、同期で過去最高を更新した。上半期にはLNGトレーディングでデリバティブ損失を先行認識したが、米国のキャメロンLNGからの引き取り数量増加に伴い、通期は事業計画対比で増益を予想する。自動車事業も堅調に推移するなど「市況に左右されない事業ポートフォリオからの収益、利益が強固なものになってきている」(重田CFO)という。