アトラグループ Research Memo(1):鍼灸接骨院ほねつぎを全国でチェーン展開

Fisco

発行済 2022年11月16日 17:31

更新済 2022年11月16日 17:45

■要約

アトラグループ (TYO:6029)は、鍼灸接骨院「ほねつぎ」を全国に184院(2021年12月末時点)チェーン展開している。
柔道整復師、はり師・きゅう師をターゲットに、鍼灸接骨院の経営を総合的に支援する事業を展開している企業だ。
具体的には鍼灸接骨院のほねつぎチェーン事業に加えて、主に自費施術で必要となる機材を販売する「機材、消耗品販売」、療養費の請求を代行する「アトラ請求サービス」、鍼灸接骨院の予約システムと物販サービスを提供する「HONEY-STYLE」、セミナーの開催や情報発信を行う「アトラアカデミー」の事業を行っている。
また、鍼灸接骨院と親和性の高い介護支援やフィットネス関連の事業も手掛ける。
さらに2021年12月には、おもちゃ、雑貨、文具販売の(株)ペリカン(2022年4月1日に(株)ビーユーから社名変更)を買収し、玩具販売事業に進出した。
戦略としては、少子高齢化のなかで国民医療費抑制の傾向が高まっていることを受けて、療養費に過度に依存しないよう、自費施術の拡大を推進している。
これにより、顧客である鍼灸接骨院業界全体の市場規模の拡大と同社業績の成長を実現していく構えだ。


1. 2022年12月期第3四半期の業績概要
2022年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比67.4%増の3,384百万円、営業利益が3百万円(前年同期は134百万円の損失)、経常利益が1百万円(同143百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が11百万円(同125百万円の損失)だった。
売上高に関しては介護支援が好調に推移した。
これは、「ほねつぎデイサービス」のブランド名でフランチャイズ展開するデイサービス事業が伸びたことが要因だ。
また、「ワンサードフィットネス」のブランド名で直営店・フランチャイズ店舗を展開するフィットネス関連事業、デイサービスやフィットネスなどの工事及び福祉車両の販売、子会社のペリカンが行う玩具販売事業も売上高増大に寄与した。
利益は、増収などにより、営業利益が3百万円、経常利益が1百万円と黒字化を実現した。
国民医療費の抑制や人材確保の難しさを受けて新規開設院の急伸が見込みにくいなかで、今後は鍼灸接骨院の新規開設に依存し過ぎない収益モデルを確立する方針だ。
具体的には、「デイサービス事業」「機材、消耗品販売事業」「フィットネス関連事業」を成長させることを計画している。


なお、同社は2022年12月期の期初より「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始している。
そのため、前年同期との比較は参考値として記載している。


2. 2022年12月期の業績見通し
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比54.5%増の4,881百万円、営業利益で104百万円(前期は223百万円の損失)、経常利益で97百万円(同224百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で50百万円(同351百万円の損失)を見込んでいる。
国民医療費の抑制や人材確保の難しさなどの外部要因はあるものの、「ほねつぎデイサービス事業」「フィットネス関連事業」に注力し、売上の拡大を目指す。
また、自費施術用の機材販売及び物販に注力することによって顧客基盤である鍼灸接骨院業界全体の成長も支援する構えだ。
さらに「玩具販売事業」では不採算店の閉店及び新店の開店を促進し、増収に繋げるとしている。


3. 成長戦略
同社は、国民医療費の抑制、人材確保の難しさという外部要因があるなかでも、鍼灸接骨院の新規開設に依存しすぎない事業モデルを構築していくことによって業績の拡大と企業価値の向上を実現する方針だ。
具体的には鍼灸接骨院との親和性が高い「ほねつぎデイサービス事業」と「フィットネス関連事業」に注力する。
既存加盟院の業態多角化としてデイサービスとフィットネスを提案するほか、異業種からの参入による新規加盟も拡大させていく。
また、既存の鍼灸接骨院に対して、自費施術に使用する機材の販売と物販にも注力していく。
これにより、顧客である鍼灸接骨院の経営の安定化に貢献する考えだ。
自費施術メニューに合わせた機器の開発を推進することによって、機材の販売も伸ばすことを計画している。
さらに「ほねつぎチェーン事業」では、業界経験のない経営者でも成功できるようサポート体制を引き続き充実させていく方針だ。
これにより、異業種からの参入を促進し、チェーン加盟院の着実な増加を実現していく。


■Key Points
・鍼灸接骨院「ほねつぎ」を全国でチェーン展開
・鍼灸接骨院の経営を支援する総合的なサービスを提供
・介護、フィットネス、機材、消耗品販売に注力し、新規開設院に依存しすぎない事業モデルへ
・親和性の高い介護、フィットネス事業が好調

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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