PBシステムズ Research Memo(9):SCL事業は数値より実態良好、EMO事業は業績底入れ感

Fisco

発行済 2022年12月05日 15:19

更新済 2022年12月05日 15:31

■ピー・ビーシステムズ (TYO:4447)の業績動向

2. 2022年9月期のセグメント別業績動向
2022年9月期のセグメント別業績は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の売上高が2,451百万円、セグメント利益284百万円、エモーショナルシステム(EMO)事業の売上高が51百万円、セグメント損失が14百万円となった。
単純比較は馴染まないが、セキュアクラウドシステム(SCL)事業は前年同期比で実質的に売上高が2桁の伸びとなっているほか、エモーショナルシステム(EMO)事業も規模は依然小さいながら、売上高が大幅に伸び、セグメント損失が縮小している。


セキュアクラウドシステム(SCL)事業については、前期に受注した自治体のネットワーク強靭化基盤構築等の案件を期初計画通りに第4四半期に計上。
同社が重要戦略製品と位置付けているDellのDP4400導入を通じた既存顧客のレジリエンス構築案件も順調に増加した。
加えて、SaaS事業者の需要はクラウド基盤の拡張と老朽化したクラウド基盤のリプレースニーズなどにより順調に推移、こちらも増収に大きく貢献した。


セグメント営業利益率については、上期まで好調に推移していたものの、通期では11.6%と前期(13.0%)及び前々期(12.2%)を下回る結果となった。
最大の要因として、2022年9月期に売上予定だった難易度の高いクラウド基盤構築プロジェクトの進捗遅延を会社側は挙げている。
複数社員の新型コロナ罹患等もあったようだが、こちらについては既に人員体制を強化し、2023年9月期の第1四半期中に完了の見込みとなっていることも踏まえれば、あくまで一時的な押し下げ要因との認識で十分だろう。
その他、下期に急激に進行した為替の円安推移などもあって、製品販売等を伴う一部案件で利益が目減りしたことも影響したもよう。
これらの要因を踏まえると、同事業については最終的な数値よりもやや良好な実態が見えてきそうだ。


エモーショナルシステム(EMO)事業については、人流は全体的に回復しているとはいえ、主要処を除き、残念ながらコロナ禍による投資控えが依然としてアミューズメント領域の事業者側には残っている。
そのため、主力製品である4DOHの新規受注には至らなかった。
ただし、第1四半期に受注したBOAT RACE 若松における4DOHイベント運営案件が想定以上に反響を呼び、売上好調が継続し、増収と赤字縮小に貢献した。
併せてメタバース分野の営業活動も推進し、2022年8月31日付で発表した通り大英産業 (HK:2974)の「社史メタバース企画」及び「社史メタバース応用企画」の企画開発の第一歩として、相互協力によって開発することを目的とする合意書を締結するなど今後に向けた進展がみられている。


なお、期末受注残についても単純比較は馴染まないが、参考までに見てみるとセキュアクラウドシステム(SCL)事業において前年同期の約2倍水準の906百万円と好調な積み上がりになっている。
この背景としては、関東圏においてはSaaS事業者における旺盛なクラウド基盤拡張需要の継続が挙げられる。
加えて、後述するOracleといった同社パートナー経由での新規顧客開拓の進展も重要なポイントである。
九州においては、クラウド基盤の構築案件の受注が増加している他、同社が戦略製品と位置付けているDELL TECHNOLOGIES製のバックアップ統合製品「DP4400」の既存ユーザー企業向けという形で災害やシステム障害への対策投資需要を順調に取り込めているもよう。
エモーショナルシステム(EMO)事業についても、受注残高は1百万円、両事業の合計で期末受注残高は過去最高を更新した格好だ。


3. 2022年9月期の営業地区別売上高
地区別売上高については、関東圏と九州近郊の売上比率はほぼ6:4の関係になっている。
2021年9月期末段階で関東圏が51%、九州近郊が49%となっていたことを踏まえれば、弊社の予測通りしっかりと関東圏が伸びている点は評価したい。
特に関東圏では、サイバー攻撃への耐性強化を求める顧客が増加している傾向があるようだ。
サイバー攻撃の手口も高度化、発生リスクも高まり続け、従来よりも高度な技術力が事業者に求められるなか、CitrixやOracleといった同社パートナーである大手メーカーからの直接紹介が新規開拓の良い契機となっているもようであり、今後も関東圏での需要取り込みの動きは続くことになろう。
なお、上期決算の際に新たに公表されたロイヤルカスタマー(※各種システム投資案件に関して同社が安定的な受注を期待できる、規模感のあるエンドユーザー企業)及びパートナー企業の数については、定義見直しのため、社数は開示されていない。


(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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