フェイスNW Research Memo(3):土地の仕入から一棟販売まで一括管理するワンストップサービスが強み(1)

Fisco

発行済 2022年12月20日 15:03

更新済 2022年12月20日 15:15

■事業概要

フェイスネットワーク (TYO:3489)は、城南3区を中心に不動産投資支援事業及び不動産マネジメント事業を展開している。
主要顧客は機関投資家、事業会社、個人富裕層などであり、販売は不動産投資セミナー開催を中心としたプル型の販売体制を整えている。
また、創業者の蜂谷二郎(はちやじろう)氏は金融機関出身の起業家であり、経験と分析に裏打ちされた危機管理能力を持つ。
トップコンサルタントとして、セミナーから面談を一手に担い、顧客との強い信頼関係が高いリピート率と新規顧客紹介の実績につながっている。


1. 不動産投資支援事業
不動産投資支援事業では、不動産投資用の新築一棟RCマンション及び中古一棟ビルリノベーション、不動産小口化商品の企画・開発・販売を行っている。


新築一棟RCマンションでは、自社ブランド「GranDuo」シリーズを展開している。
同社がメインターゲットとする城南3区は「住みたい街」の上位にランクされる人気エリアで、通年の賃貸入居需要が多く、賃料相場も高いため長期安定的な収益性を実現できる立地だが、一方では建築規制が厳しいため設計・プランニングも難しいという立地特性がある。
このような立地特性に対応して、戸建てには価格が高く、区分販売マンションには規模が小さくて向かない100~200平方メートル程度の土地を取得し、鉄筋コンクリート造(RC造)5階建て、家賃10万円前後、部屋数15戸程度、25~50平方メートルのワンルーム・1LDKを中心とした自社企画開発物件を主力商品としている。
不動産オーナーが長期安定的な収益性の確保を図れるような物件の提供をコンセプトとし、安定した賃貸収入が得られる物件を目指して、入居者のメインターゲットとなる20代から40代の女性向けにデザイン性と居住性の両立により入居者目線での住みやすい部屋づくりを行っている。


中古一棟ビルリノベーションでは、自社ブランド「GrandStory」シリーズを展開している。
現代社会に求められるスタイルによって姿を変化させる「創作支援型シェアリング」として2017年5月から販売を開始し、シェアオフィス、シェアハウス、リノベーション賃貸などのタイプがある。
「GranDuo」シリーズで培った企画・開発ノウハウを活用して利回りを追求しつつ、若者やクリエイターを応援したいと考える不動産オーナーの社会貢献の思いに応える物件をコンセプトとして、新たなニーズを掘り起こしている。


不動産小口化商品では、不動産特定共同事業法を活用して「GrandFunding(グランファンディング)」を展開している。
一棟マンションを小口化して共同持分で所有できるため、投資家の資産状況に応じた投資が可能となる。
今後も需要の拡大が見込まれる相続対策市場を見据え、商品展開の拡充を計画している。


開発物件のトピックスとしては、「GranDuo代々木2」(2024年3月期に竣工予定)が挙げられる。
地上4階、地下1階建てのRC造(鉄筋コンクリート造)で、同社開発物件としては最大級となる。
耐震性・耐久性に優れ、デザインと居住性を両立させた独自設計により、入居者のライフスタイルに合わせた居室選びが可能となっている。
同社は、メインブランド「GranDuo」シリーズを安定した賃貸需要を生み出す物件と位置付けており、高資産価値と長期的な高入居率を実現する源泉になっていると弊社では考える。


2. 不動産マネジメント事業
不動産マネジメント事業は、不動産オーナー及び同社が保有する不動産を管理・運営(入居者募集、入退去更新手続、賃貸借条件の交渉窓口、クレーム対応、入金管理、資産価値向上のための施策立案・実践、メンテナンス、所有者向け送金、所有者向けレポート作成など)するPM事業を行っている。
収益は受託管理手数料と、販売物件を在庫として保有している期間の家賃収入である。
管理運営受託戸数の積み上げによってストック型収益となる。


入居者募集については自社の賃貸仲介業務を担う「3区miraie(ミライエ)」で行っている。
自社の賃貸物件を専門に扱うことで、入居希望者に城南3区や物件の魅力をより深くアピールできるため、不動産オーナーにとって物件の収益性を高めることにつながっている。


3. 特徴・強み
同社は、土地の仕入から設計・施工・賃貸募集・物件管理・一棟販売まですべてを一括して管理する「ワンストップサービス」を提供し、特に自社で設計・施工していることが強みとなっている。
一般的な不動産デベロッパーの場合は、不動産会社が土地を仕入、設計事務所が設計、工務店が施工、不動産仲介会社が賃貸募集、管理会社が物件管理という分業体制になっていることが多いが、同社の場合は自社内に設計・施工体制を整え、ワンストップですべての工程管理やコスト管理を行っている。
この「ワンストップサービス」によって、中間コストの削減が可能となっている。
これは不動産オーナーの利益にもつながるため、不動産オーナーに高く評価されており、結果として仕入用土地情報を得やすくなり、多数のリピート受注・販売につながっているようだ。
このほかにも、「ワンストップサービス」によって工期の短縮や収益性を高める企画の実行など、様々なメリットを生み出している。
なお、2022年3月末時点の従業員の構成比は設計・プランニングが19%、施工が26%を占めている。
また、協力会社も活用することで、販売物件の約半分を自社で設計・施工している。


4. 販売件数と受注実績
不動産投資支援事業の過去5期間の販売件数と受注実績の推移については、受注高・受注残高は期ズレなどによって変動する場合があるものの、販売件数はおおむね増加基調で推移している。


なお、同社の自社企画開発物件は、販売形態によって不動産商品及び建築商品に分類している。
不動産商品は竣工した時点で新築一棟RCマンション及び中古一棟ビルリノベーションを投資商品として販売する物件、建築商品は新築一棟RCマンション建築予定の土地を先行販売し、設計・請負工事契約を締結して建築・竣工する物件となる。
不動産商品は物件の竣工・引き渡しをもって収益・費用を認識しており、建築商品は先行して販売する土地についての引き渡しをもって収益・費用を認識し、設計・請負工事契約については工事の進捗に応じて収益・費用を認識している。
これにより、建築商品の場合は土地保有・在庫リスクが軽減されるメリットがある。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)

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