サークレイス Research Memo(3):提案型のリモートサービスで順調に売上拡大

Fisco

発行済 2022年12月23日 15:23

■事業概要

3. 事業内容
サークレイス (TYO:5029)は、「コンサルティングサービス」と「プラットフォームサービス」の2つの主力事業を有する。
2022年3月期の売上高構成比を見ると、「コンサルティングサービス」事業が62%、「プラットフォームサービス」事業が38%である。
さらに「プラットフォームサービス」事業の売上高構成比を細分化して見ると、カスタマーサクセス30%、エデュケーションサービス5%、DX3%である。
現状は、「コンサルティングサービス」による割合が高い。


同社は自らが労働集約型だった過去から変革し、「人手不足解消」「働き方改革」「事業協働」を実践し、完全リモートサービスを推進することで出社率は5%以下とし、国内各地からのIT人材を集約することにも成果を上げている。
こうした同社自らの経験と実績を基に顧客提案することで、売上拡大にも結び付けている。


(1) コンサルティングサービス
a) Salesforceコンサルティング
Salesforceは全世界で約15万社のクライアントを持つが、このクラウド製品の導入・運用・保守等のコンサルティングサービスを提供する。
国内に数社Salesforceコンサルティングを行う企業があるが、ほとんどがシステムの初期導入サービスに特化しており、同社のように保守・運用、さらには人材育成や運用内製化支援までのサービスを提供する企業は少ない。


b) Anaplanコンサルティング
Anaplanは、個々の組織でExcelを駆使して手作業で立案しているような計画について、ワークシートを共通化しデータを一元管理することで、標準プロセスの確立が可能になり、メールなどを利用したExcelのリレーから解放され、他部門の計画を参考にしながらプランニングに専念できる。
同社は、Anaplanのノンカスタマイズの導入から顧客独自のアプリケーション開発・連携まで顧客の最適な環境を支援するコンサルティングを行う。


(2) プラットフォームサービス
a) カスタマーサクセス
Salesforceを主力として、マルチクラウドに対応するカスタマーサクセスを提供する。
サービスの提供の方法は、1)チケット制によりプラットフォーム上で内製化をサポートする「サブスクリプション型」、2)複数チーム制によるリモート支援を行う「準委任型」、3)Salesforceに精通したエキスパートを専任で派遣する「派遣型」がある。
現状の戦略として、「派遣型」を大幅に減らし、リモート支援を中心とした「サブスクリプション型」「準委任型」による「デジタル型コンサルティング」を主流に置くことで、競合他社との差別化を推し進めている。


b) エデュケーション
設計から最終的なリリースまでアプリケーション開発ライフサイクルについてプロセスを学習する18コースの(株)セールスフォース・ジャパン認定トレーニングサービスや、基本的なデスクトップ・パソコンやサーバーに関する製品の知識やスキル及びアナリストとしての知識等を深める5コースのTableau Software認定トレーニングサービスを提供している。
2017年から2022年9月までに同社のトレーニング受講者数は6,400名を超える。


c) DX
DXコンサルティングサービスを提供している企業の多くは役務提供型のサービスを中心としているが、同社は自社で開発した統合型デジタルコミュニケーション・プラットフォーム「Circlace(R)」、海外駐在員の煩雑な管理を解決するクラウドサービス「AGAVE」をSaaSとして販売すると同時に、同プラットフォームを活用して業務の自動化や付加価値向上を高めるコンサルティングサービスを提供することにより、非基幹系システム領域においても顧客のDX実現を支援している。


4. 競合他社と同社の強み
同社の競合他社は、世界的コンサルティングファーム及びシステム設計・開発・運用等を手掛けるITサービス企業であるAccenture (NYSE:ACN)(アクセンチュア)や、日本のシステムインテグレーション(以下、SI※)企業であるテラスカイ (TYO:3915)が挙げられる。
アクセンチュアはコンサルティング系の総合型SI企業、テラスカイはシステム開発系のSI企業である。
同社のコンサルティングサービスはアクセンチュアが得意とする超大手企業というよりは、大手企業から中堅企業を注力領域としており、現状、大手顧客の信頼も勝ち取り、盤石な顧客基盤を有している。


※顧客の使用する情報システムの企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一貫して請け負うサービスのこと。



同社は、一般的なシステム開発企業が行うウォーターフォール型ではなく、アジャイル型の開発サービスを推進している。
ウォーターフォール型が要件定義から運用までの一連の工程を、上流から下流まで順番に進めるシンプルな手法であるのに対し、アジャイル型は、システム開発のプロセスのうち、設計・開発・テスト・リリースの小さな開発サイクルを何度も繰り返す手法である。
同社は、顧客の要望どおりに実際に作って見せて、顧客からのフィードバックを繰り返すことで、より早く顧客のニーズに沿った製品開発を進めると同時に、小さく開発を進めることで“大きく失敗しない”ことを心掛けたサービスを展開している。
契約の面では、請負一括契約ゼロの指針の下、下請契約を行わない、顧客との直接契約であるプライム契約と特定の業務を遂行する準委任契約を軸とするとともに、準委任契約を推進することで修正や保証のリスクを軽減している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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