エノモト Research Memo(3):車載向けやウェアラブル端末向けに高付加価値部品を製造

Fisco

発行済 2022年12月27日 15:33

更新済 2022年12月27日 16:15

■事業概要

1. 事業内容
エノモト (TYO:6928)は主として、半導体チップを支持固定し外部配線と接続するリードフレームや、電子回路や光通信において配線を接続するコネクタ用部品などの製造販売を行っている。
同社の製品は、パワー半導体用リードフレーム※1、オプト※2用リードフレーム、コネクタ用部品、その他といった製品群に分けられる。
用途別では、パワー半導体用リードフレームは自動車やデータセンター、産業機器となる。
オプト用リードフレームは自動車や信号・照明・ディスプレイ向け、コネクタ用部品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル端末向けが多く、その他はリレー用部品などとなっている。
すべての製品群、用途別において、同社の高度な技術力と品質は定評があり、他社との差別化要因となっている。
2023年3月期第2四半期の製品群別売上高構成比はパワー半導体用リードフレームが37.4%、オプト用リードフレームが13.2%、コネクタ用部品が47.1%、その他が2.2%で、用途別量産品の売上高構成比は、車載向け32.8%、スマートフォン向け27.7%、ウェアラブル端末向け5.3%、民生・産機・その他向け34.2%となっている。


※1 2023年3月期第1四半期より、製品群の「IC・トランジスタ用リードフレーム」を「パワー半導体リードフレーム」へと名称変更した。

※2 オプト:光電子工学(オプトエレクトロニクス)の略称。



(1) パワー半導体用リードフレーム
パワー半導体用リードフレーム製品群では、パワー半導体用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器を製造し、各種部品メーカーに販売している。
パワー半導体は民生用機器や産業用機器、自動車部品などに幅広く使用される電子部品で、同社は金属材を精密加工してパワー半導体の部品となるリードフレームを製造している。
同社は、パワー半導体用リードフレームをはじめとする技術的要求の高い製品を安定した品質で大量に製造できる点に特徴がある。
なかでも様々な異形状材料への対応力や放熱効果の高いカシメ※部品などに強みがある。
また同社は、基本の「抜く・曲げる」に「つぶす(コイニング)・絞る」など多彩で高度な技術を組み合わせることができるため、あらゆる分野において顧客の高度な要求に対応することができる。
製品の性質上、製造原価における材料費率(主に銅及び鉄)が高いため、こうした技術力の違いが大きな差別化要因となる。
これまで多彩な分野で高難易度の製品を多数開発、また環境に配慮した製品づくりを推進してきた。
近年は、後述するように、EV(Electric Vehicle:電気自動車)といった電動車やスマートフォンなどデジタル機器向けに、高機能のパワー半導体用リードフレームの需要が急増している。


※カシメ:金属の塑性変形(変形が増すにつれてより硬くなること)を利用した接合方法。



(2) オプト用リードフレーム
オプト用リードフレーム製品群では、LED用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。
現在、様々な分野で樹脂成形を含めた一貫生産の要求が高まってきたことで、金型と樹脂成形を融合した同社の技術がオンリーワンとして不可欠となってきた。
同社はLED用リードフレームについて、金型の設計・製作から試作品開発、大量生産まで一貫して対応しているが、完成品の形状を決定する重要な部品であることから、LEDメーカーと連携して生産している。
主要製品はLEDディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト、自動車の各種ランプ、そのほか産業用や民生用、照明用のLEDに使用されるリードフレームである。
なかでも大型ディスプレイ向けに強みがあり、タテ型(砲弾型)LED用リードフレームは国内トップシェアとなっている。
また、輝度や耐久性といった面で難易度の高いデザインへの要求も多く、長年の経験とノウハウによってカスタマイズした最適な提案で応えている。


(3) コネクタ用部品
コネクタ用部品製品群では、コネクタ用部品とその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。
コネクタは電子回路や光通信において配線を接続するために用いられる部品・器具のことで、同社はスマートフォンなどに利用されるBtoB(Board to Board:基盤対基盤用)コネクタやFPC(Flexible Printed Circuits)コネクタ、細線同軸コネクタなどの金属端子部品を製造している。
近年、スマートフォンやウェアラブル端末のハイスペック化・小型化に伴って、コネクタやコンタクトピンの極小化が求められるようになり、付加価値の高い狭ピッチ品へのニーズが高まっている。
こうしたニーズに対して同社は、金属プレス加工の複雑な曲げ形状の技術と樹脂成形加工の技術を融合することで、世界最小クラスの狭ピッチコネクタ部品を開発・製造している。
このように、長年培ってきたプレス技術と成形技術を背景に、難易度の高い様々な要求に対して、同社は最適なソリューションを提供することが可能となっている。
このため同社は、OEM(Original Equipment Manufacturer)や、精密性と堅牢性が厳しく求められる自動車の電装化向けにも対応することができるのである。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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