アクシージア Research Memo(4):中国ECの売上構成比が約7割。「Douyin」の売上が急拡大

Fisco

発行済 2023年01月16日 15:24

■アクシージア (TYO:4936)の事業内容

1. 主要ブランドと製品
「AXXZIA」は目元製品を中心としたリテール向け主力ブランドで、「エッセンスシート」のヒーロープロダクツ化に成功した。
美容液は「目元」に必要な美容成分をマルチに配合しており、シートを密着させることで集中した目元ケアができる。
中国市場で定番製品となっており、2023年7月期第1四半期の「AXXZIA」シリーズの売上高構成は38.7%となっている。


「AGtheory」は、「AGドリンク」をコアに化粧品と融合させた第2のリテール向け主力ブランドとなる。
ヒーロープロダクツ化に成功した「AGドリンク」愛用者へ、同一コンセプトでの化粧品と融合させブランド化した。
“抗糖化”を訴求してヒット商品となった「AGドリンク」は安定的に月1万本を出荷し、ARPU(1顧客当たりの平均売上金額)が高いことが特長である。
2023年7月期第1四半期の「Agtheory」シリーズの売上高構成は36.5%となっている。


美白訴求分野では、化粧品「サンスクリーン」、美容サプリメント「ホワイトアミノズ」及び同製品をリニューアルしたヴィーナスレシピ「ザ ホワイト ドリンク」を育成分野として位置付け、第3の主力ブランド化を目指している。
2022年2月に発売した「ザ ホワイト ドリンク」が特に好調で、ヒーロープロダクツ化しつつある。
2023年7月期第1四半期の育成分野の売上高構成は13.3%と、存在感を増している。
育成分野はバランスよく成長しており、美白訴求分野の売上構成の約90%を占める。


このほかサロン専売ブランド(プロフェッショナル分野)として、「Le Ciel de L’aube (ル シエル ド ローブ)」のほか、「アイテール」シリーズや「The B(ザ ビー)」などがある。
サロン専売ブランドは創業以来の同社の強みかつ特長分野であり、高価格帯(平均単価10,000円以上)で販売される。
その他の分野としては、ユイット・ラボラトリーズのスキンケア基礎化粧品「リスブラン」が、中・低価格帯(平均売価3,000円)のBtoCブランドとして販売されている。


2. チャネル別の売上構成とその特長
同社の成長の原動力は中国市場、特に中国ECチャネルでの成功である。
これは、2023年7月期第1四半期累計の地域別・チャネル別売上構成のうち、中国ECが69.4%(1,817百万円)であることからも明らかである。
次に売上構成が高いのが中国サロン向けで18.4%(480百万円)となる。
2022年7月期は上海ロックダウンの影響を受けたものの、顧客であるエステサロンは600店舗以上あり、堅調に成長している。


中国ECでは3大イベント※として「W11」「3.8」「618」があり、開催時期に大きな売上が発生するという特長がある。
EC各社は大幅な値引きを行う場合が多く、消費者の購買意欲も高まり販売が急増する。
一方、同社は他社と比較して値引き幅を低くしつつも、大きな売上を記録してきた。
2022年11月に開催された「W11」の売上高は前年比23%増の1,020百万円(1人民元20円で計算、流通総額ベース)と、過去最高を更新した。
「Douyin」が公表したランキングでは、ブランドランキングで「AXZIA」が4位、商品ランキングで「AGドリンク」が3位を記録するなど、好調を維持している。


※毎年11月11日に中国で行われる独身の日(シングルデー)を祝う中国最大のECセール「W11」、3月8日の「国際女性デー(International Women's Day)」に合わせて行われる女性関連製品のECセール「3.8」、中国のECサイト「京東(JD.com)」による、毎年6月18日付近に開催されるECセール「618」のこと。



3. ビジネスモデル
同社のビジネスモデルは中国市場に最適化している。
そのプロセスは、(1) 製品開発、(2) 製造、(3) 販売、(4) アフターサポートの4段階に分かれており、それぞれのプロセスで特長がある。


(1) 製品開発
「Tmall」との戦略的連携や「Taobao(淘宝網)」(以下、Taobao)等でのテストマーケティング(KOL:key opinion leaderや現地サロン経由)などにより、消費者のニーズをタイムリーに入手できる。
同社では、これらのニーズの中から年間200に及ぶコンセプトを立案し、試作や品質チェックを繰り返しながら20前後のアイテムを量産化する。
ECチャネルでは市場での評価を早期に確認でき、製品改廃のタイミングも早い。
このようなハイペースのリリースサイクルは、同社がヒーロープロダクツを継続して生み出し、育てることができる要因と言えよう。
一例を挙げると、主力製品の1つである「AGドリンク」は2016年の発売以来5回リニューアルをしており、顧客の声を反映するサイクルの速さがわかる。
また、処方開発や容器開発、許認可確認や薬事など、化粧品開発に必要な機能をすべて内製している点も同社の強みとなっている。
なお、ユイット・ラボラトリーズの子会社化を契機にR&D※の強化を図っており、2022年11月には「アクシージア R&Dセンター」を設立した(詳細は後述)。
中国ユーザーの嗜好を捉えたスピーディーな製品開発が同社の強みと言えるだろう。


※Research & Developmentの略で、研究開発のこと。



(2) 製造
中国で高く支持されているMade In Japanブランドを重視し、日本企業に製造を委託し、自社工場生産レベルの高い品質管理基準を徹底している。
一方で、ユイット・ラボラトリーズの子会社化により製造の一部を内製化することで、製造ノウハウ取得のほか、コスト削減を見込んでいる。


(3) 販売
オンラインとオフライン(サロン向け高額品が主体)を並行して進め、ブランドの維持に寄与している。
販売チャネルや販売促進においては、「Tmall」を中心としたトップダウン型と「Taobao」や「Douyin」などを活用したボトムアップ型の両面でのプロモーションにノウハウが蓄積されている。
ちなみに、「Taobao」はアリババグループが運営する中国最大のマーケットプレイス型(CtoC)ECプラットフォームで、同社の売上高は598百万円(2023年7月期第1四半期)である。
「Tmall Global(国際天猫)」はアリババグループが運営するBtoC越境EC専門モールで、同社の売上高は545百万円(同)である。
「Douyin」は有力な販売チャネル(ライブコマース、興味EC)として注目度が高く、同社の売上高で567百万円(同、前年同期は140百万円)と急激に存在感を増している。


(4) アフターサポート
充実したカスタマーサービスが各チャネルで評価されている。
中国市場では模造品、横流し、不当廉価販売への対策が求められるが、同社ではブランド維持の取り組みとして、全製品にQRコードのセキュリティラベルの貼り付け及びナンバリングを行うことで購入者が正規品を確認でき、流通時の問題に即時に対応できる体制を整備している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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