ヨコレイ Research Memo(1):冷蔵倉庫事業、食品販売事業を手掛ける食品流通のエキスパート

Fisco

発行済 2023年01月17日 15:11

■要約

横浜冷凍 (TYO:2874)は、1948年に横浜で創業した企業である。
冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つを柱に創業以来75年にわたって、世界の食の安定供給に貢献してきた。
冷蔵倉庫事業は、全国に高品質の食品を安定供給するために国内外に冷蔵倉庫がある。
顧客の多岐にわたるニーズに対応するため、同社冷蔵倉庫における「自然対流冷却方式」や同社社員による庫内オペレーションなどの強みを培ってきた。
食品販売事業においては、世界中の産地から高品質な食品を仕入れ、国内外への販売を行っている。
今後は2030年9月期を最終年度とする「ヨコレイ事業ビジョン2030」「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」の下で、持続可能な社会の実現と株主価値の向上をともに目指す。


1. 2022年9月期の連結業績概要
2022年9月期の連結業績は、売上高が前期比4.0%増の115,257百万円、営業利益が同65.9%増の4,252百万円、経常利益が同81.0%増の4,999百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.0%減の3,317百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にあったノルウェー養殖事業再編に伴う特別利益2,646百万円がなくなったため、減益となった。
セグメント別に見ると、冷蔵倉庫事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響が薄れ、段階的に経済活動が再開するなかで荷動きが回復し、業績を押し上げた。
食品販売事業は、水産品と農産品が増収増益、畜産品が減収増益となった。
畜産品のみ減収となったものの、中期経営計画で定める収益性向上のための構造改革を実施した結果と言える。
そのほか、水産品と農産品に関しても中期経営計画の各施策が着実に実行されたことにより、増収増益を達成した。
加えて、2021年9月期に食品販売事業の赤字の主因となったノルウェーサーモン養殖事業の非連結化がセグメント利益を大きく押し上げた。
これを受け、連結ベースの営業利益も同65.9%増と急伸した。
ボラティリティの高いノルウェーサーモン養殖事業の非連結化も収益性向上・安定化のための構造改革の一環であり、総じて中期経営計画が順調に進捗していることが窺える。


なお、同社は2022年9月期の期初から「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。
このため、前期比の増減率は参考値として記載している。


2. 2023年9月期の連結業績見通し
2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比7.6%増の124,000百万円、営業利益で同17.6%増の5,000百万円、経常利益で同4.0%増の5,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.5%増の3,400百万円を見込んでいる。
増収増益によって、営業利益に関してはコロナ禍前の2019年9月期(営業利益4,774百万円)を上回る想定だ。
業績予想の達成に向けて、中期経営計画で定めた重点施策を着実に実行する構えだ。
冷蔵倉庫事業に関しては、1) 環境配慮型物流センター、2) ヨコレイ品質の推進と深化、3) 国内事業の新たな展開、4) 海外事業の拡充に注力していく。
食品販売事業に関しては、1) 収益性向上のための構造改革、2) 事業品の販売拡大、3) 独自商品の開発、4) 販売チャネルの開発、5) 海外における販路拡大に重点的に取り組む方針だ。
2022年9月期においては、中期経営計画の各重点施策が順調に進行したことによって業績が拡大した。
2023年9月期においても中期経営計画が着実に進行し、業績予想を達成することが期待される。


3. 中期経営計画の概要
同社は長期ビジョンとして「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」「ヨコレイ事業ビジョン2030」を公表している。
同ビジョンの下で、中長期的な視点で持続可能な社会の発展に事業活動を通じて貢献する方針だ。
加えて、業績の拡大と企業価値の向上も実現していく。
具体的には連結ベースの定量目標として、2030年9月期に売上高1,700億円、営業利益100億円、EBITDA170億円の達成を目指す。
また、これらの目標を達成するために、2023年9月期を最終年度とする中期経営計画「創る力」を策定した。
「創る力」では2023年9月期に売上高1,240億円、営業利益50億円、EBITDA110億円、自己資本比率40%半ばの維持達成を目指している。


■Key Points
・1948年の創業以来、「食のインフラ」として食材の安定供給に貢献
・冷蔵冷凍技術と社員オペレーションが強み
・2022年9月期は営業利益が急伸、中期経営計画の重点施策が寄与
・2023年9月期も増収増益を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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