トヨタ約14年ぶり社長交代、豊田氏は会長に 佐藤氏昇格で変革加速

Reuters

発行済 2023年01月26日 15:51

更新済 2023年01月26日 19:54

[東京 26日 ロイター] - トヨタ自動車は26日、佐藤恒治執行役員(53)が4月1日付で社長に昇格し、豊田章男社長(66)が代表権のある会長に就任する人事を発表した。およそ14年ぶりの社長交代。若返りを図り、自動車の電動化、IT化時代に必要な変革を加速する。

自社のインターネット番組に出演した豊田氏は、佐藤氏を後任に選んだ理由として「トヨタの思想・技・所作の体現者」であること、若さと車好きという点を挙げた。モビリティ―カンパニーへの変革に向けて「これまでは個人技で引っ張ってきたところがある」と振り返り、「私はもう古い人間だと思う」とも述べた。

その上で「未来のモビリティーはどうあるべきか」という新しい章に入るには「私自身が一歩引くことではないか」と話した。持続的な成長に向けて適材適所のメンバーが力を合わせてやっていくことに賭けたいとし、若さと行動力のある「新チームに期待したい」と述べた。新チームの使命は「トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすること」といい、「私にはできないことも新チームならできると思う」と語った。

豊田氏は世界金融危機でトヨタが赤字に転落した直後の2009年6月、14年ぶりに創業家出身者として社長に就任。翌10年には米国で大量のリコール問題、11年には東日本大震災が発生して難しいかじ取りを迫られたが、22年3月期には6年ぶりに営業最高益を更新した。

独フォルクスワーゲン(VW)と世界販売台数の首位を争う一方で、海外の主要市場で電気自動車(EV)が急速に普及し、EV専業の米テスラや中国メーカーなどと比べて出遅れ感も指摘されてきた。豊田社長は「私自身はどこまで行っても車屋。車屋だからこそトヨタの変革を進めることができた。しかし車屋を超えられない。それが私の限界でもある」と語った。

豊田氏は会長として今後、社内では佐藤次期社長の新体制を支えるほか、取締役会議長を務める。トヨタ車、高級車ブランドのレクサス車の乗り味を吟味するマスタードライバーも続ける。社外では世界の自動車産業が抱える問題の解消に取り組み、産業の発展にも尽力する。