■事業概要
(1)事業内容
AOI Pro. (TOKYO:9607)は、大手CM制作会社の一角として、テレビCMの企画・制作を主力とするとともに、需要が拡大しているWeb等のデジタルコンテンツや海外展開にも積極的に取り組んでおり、市場の伸びを上回る高い成長を実現してきた。
今後は、新たな成長領域である動画コンテンツマーケティング事業(動画コンテンツとデータ解析を組み合わせたマーケティング領域)への本格展開を目指している。
2015年3月期までの事業セグメントは、主力の「広告制作事業」のほか、初めてのB to C事業である「写真スタジオ事業」、雑誌とWebの融合による新たなサービス展開を目指してきた「メディア関連事業」の3つに区分されるが、「メディア関連事業」については2014年10月1日付で事業譲渡を行い今期廃止となっている。
広告制作事業が売上高の98%を占めるとともに、それ以外の事業は先行費用等の影響によりセグメント損失となっている。
各事業の概要は以下のとおりである。
a)広告制作事業
テレビCM作品やWeb作品の制作及びイベントの運営等、広告に関わる制作を行う。
主力となる国内テレビCM制作は主に同社本体が手掛け、Web等のデジタルコンテンツや海外事業は主に連結子会社が展開している。
海外事業は、主に日系企業向けにアジアを中心とした海外でのテレビCM制作を行っている。
また、CM作品以外の映像・Web制作として、テレビ番組や映画、Webムービー、ミュージックビデオにも実績がある。
同社では、多数のプランナーや演出家をかかえており、多様で創造性に富んだ提案を可能としているほか、同社グループで撮影スタジオや編集スタジオを保有している。
そのため、映像、Web、紙等の各種プロモーションツールやイベントなどすべてを同社グループで制作可能となっている。
b)写真スタジオ事業
一般消費者向けの写真スタジオの運営などを行う。
連結子会社である(株)ホリーホックが手掛けている。
同社グループの映像制作ノウハウを活かした質の高いサービス提供をコンセプトとする。
プロのカメラマンによる撮影や照明技術のほか、画像データの提供などで差別化を図っている。
2010年9月に六本木東京ミッドタウンに1号店となる旗艦店を出店。
その後も、自由が丘(路面店)、横浜ベイクォーター(商業施設)、港北みなも(商業施設)への出店を行っており、2015年3月期末現在で4店舗となっている。
同社グループのブランド認知を高めることが主目的であるが、今後も集客力のある大型商業施設などを中心に出店を継続していく方針としている。
c)メディア関連事業
2014年10月1日付の事業譲渡により廃止された事業である。
2011年4月に学研ホールディングス (TOKYO:9470)よりゴルフに関わる出版・広告・オンライン事業を行う「パーゴルフ」((株)Pargolf & Companyとして連結子会社化)を取得し、雑誌メディアとオンラインメディアを連動させた新たなプラットフォームの提供に取り組んできた。
しかしながら、雑誌メディアを取り巻く環境の変化を受け、同社グループのおける当事業の位置付けや他の事業とのシナジー等を改めて検討した結果、事業譲渡に至った(当事業を営んでいた連結子会社Pargolf & Company及びP.A.R. Sports Marketing は2015年1月に解散を決定、現在清算手続き中)。
連結子会社は、国内13社と海外7社(中国、インドネシア、タイ2社、シンガポール、マレーシア、ベトナム)が存在する。
国内子会社には、需要が拡大しているデジタルコンテンツの制作等を行う(株)ビジネス・アーキテクツや、自社で保有する撮影スタジオの運営等を行う(株)メディア・ガーデン、写真スタジオ事業を展開する(株)ホリーホックなどがある。
また、海外子会社の大半は、経済成長の著しい東南アジアを中心にテレビCM制作を展開するための拠点として開設されたものである。
広告主の業種別売上高構成比率(単体)は多岐にわたっているが、「食品」「サービス・電力・他」「輸送・精密」「化学」の4業種の比率が例年上位を占めている。
また、販売チャネル別の売上高構成比率(連結)は、博報堂グループと電通グループで約6割を占める。
主力のテレビCM制作の伸びに比例して、博報堂DYホールディングス (TOKYO:2433)と電通 (TOKYO:4324)向けの売上高も増える傾向にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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