システムサポート Research Memo(10):中期計画の初年度は順調な滑り出し(1)

Fisco

発行済 2023年03月14日 15:50

更新済 2023年03月14日 16:01

*15:50JST システムサポート Research Memo(10):中期計画の初年度は順調な滑り出し(1) ■今後の見通し

2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
システムサポート (TYO:4396)は、2023年6月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。
『成長と更なるイノベーションの創出』をテーマに掲げ、「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「ESG経営の強化」に取り組むことで、2025年6月期に売上高218.9億円以上、営業利益21.8億円以上、営業利益率10%以上を目指す。
3年間の年平均成長率では売上高で10.6%、営業利益で22.3%を上回る成長を計画していることになり、初年度となる2023年6月期は既述のとおり順調に滑り出した格好だ。


事業セグメント別売上高の年平均成長率は、クラウドインテグレーション事業が25.0%と最も高く、次いでプロダクト事業が15.0%となる。
システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業、海外事業は5.5~7.0%の堅実な成長を計画している。
今後3年間で57億円以上の売上増加を計画しており、このうち5割強はクラウドインテグレーション事業で稼ぎ出すことになる。


一方、セグメント利益(営業利益)についても傾向はほぼ同様で、クラウドインテグレーション事業が26.2%と最も高く、次いでプロダクト事業が15.3%、その他3つの事業が8.1~9.7%となり、ほぼすべての事業セグメントで利益率も上昇する見込みとなっている。
唯一、プロダクト事業については横ばい水準が続く計画だが、これは既存製品の機能強化や新製品開発などの投資を継続する予定であるためだ。


(2) 事業セグメント別成長戦略
a) クラウドインテグレーション事業
中期経営計画の達成の鍵を握るのは、クラウドインテグレーション事業の成長に懸かっている。
ITシステムのクラウドシフトが継続することを背景に、クラウドサービス市場が中期的に2ケタ前後の成長が続くとの予測があるなかで、同社は市場平均を上回る25%の売上成長を計画している。
同計画を達成するために同社は、1) 技術者育成によるクラウドベンダーとの関係強化を図り、顧客紹介案件を増やしていくこと、2) 主要3大クラウドプラットフォーム(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)及び「ServiceNow」を中心に、クラウド移行や移行後の最適化(リフト&シフト)に取り組み受注を拡大していくこと、3) 海外の有望なクラウドサービスの情報をキャッチし、技術者の育成・ノウハウの蓄積により、いち早く日本市場で事業化して新規顧客の開拓につなげていくこと、の3点に注力する方針だ。


有望な新サービスの取り組みについては、複数準備を進めているようだ。
そのうちの1つは、2022年6月に販売パートナー契約を締結したCelonisの業務実行管理プラットフォーム「Celonis EMS」で、既に導入実績も出始めている。
同ツールは業務プロセスの情報を収集・分析することで非効率となっている業務を抽出し、業務オペレーションの最適化を実現するツールで、2020年10月に発表されて以降、グローバル企業への導入が広がり、国内においても今後、普及拡大が期待される注目製品である。


Celonisの国内パートナーは40社程度あるものの、同社が「ServiceNow」の豊富な導入実績を背景に、「Celonis EMS」についても早期に導入実績を積み上げていくことは可能と見られる。
と言うのも、CelonisとServiceNowの2社が2021年10月に戦略的パートナーシップを結んでおり、両製品の連携を実現したほか、今後開発やマーケティング、販売面でも協業していくことで基本合意したためだ。
いずれも生産性向上を実現するツールであり、組み合わせて使うことで導入効果もより大きくなることから、「ServiceNow」を導入した企業が「Celonis EMS」の有力な見込み顧客となる。
同社では「ServiceNow」の認定資格保有者の育成・増員を積極的に進めており、今後の売上成長が期待される。


b) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業では、主力のERP関連やデータベース関連、RPA関連等の拡大に向けて技術者の採用・育成に取り組んでいくほか、顧客企業と密接な関係を築くことで既存顧客内のプロジェクト拡大や継続受注につなげ、売上拡大を図っていく。
また、品質・期間・コスト・リスクコントロールの観点でプロジェクトマネジメントを強化・継続し、不採算案件の発生を抑制するとともにサービス品質を向上することで着実な成長を目指す。


c) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、データセンターサービスにおいて大手パブリッククラウドベンダーの顧客層とは異なる顧客をターゲットに、AI関連等の独自サービスをフックツールとして顧客の獲得とデータ利用量の積み上げを図っていく。
2022年以降、為替の急速な円安によりパブリッククラウドのサービス利用料の負担増が意識されるようになり、一部の企業ではプライベートクラウドを構築する動きも出てきており、こうした需要を取り込んでいく。
また、データセンターの能力増強に関しては稼働状況に応じて徐々に実施することで、品質向上と収益性確保を両立する方針だ。
そのほかSAP社のERP製品の保守については、2027年に向けてニーズが高まることが見込まれるため、金沢地区でのニアショア要員の育成を進め体制強化を図っていく。


d) プロダクト事業
プロダクト事業では、新規顧客開拓のため代理店等の販路拡大や広告宣伝を強化していくほか、既存顧客内の利用部門拡大によるユーザー数増加を図っていく。
また、既存プロダクトの機能強化についても継続する方針だ。
既存主要4製品の導入社数は2022年6月期末の1,505社から、2025年6月期は2,500社程度まで積み上げる計画だ。
2022年12月末時点では1,643社となっており、おおむね順調なペースで増加している。


主力製品の「MOS」については、M&Aにより取り込んだWebマーケティング事業を活用することで、Webマーケティングによる拡販を進めていくほか、顧客に対して「MOS」とWebマーケティングサービスをワンストップで提供することで差別化を図り、顧客開拓を進める戦略だ。
2022年7月の吸収合併以降、組織体制作りを進めていたことから、まだその効果は顕在化していないものの、今後の展開が期待される。


e) 海外事業
海外事業では、米国子会社にて北米に進出する日系企業に対するITインフラや人材採用、マーケティング等の支援サービスを行っていくほか、カナダの子会社において日本との時差を利用した日本企業へのリモート監視サービスの提供、並びに会計業務のアウトソーシングサービスを強化する。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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