ベイシス Research Memo(6):事業環境は良好、事業領域の拡大先としてIoTを第2の柱に挙げる

Fisco

発行済 2023年03月27日 17:16

更新済 2023年03月27日 17:31

*17:16JST ベイシス Research Memo(6):事業環境は良好、事業領域の拡大先としてIoTを第2の柱に挙げる ■今後の見通し

1. 2023年6月期の業績見通し
ベイシス (TYO:4068)の2023年6月期の業績予想については、売上高7,150百万円(前期比14.1%増)、営業利益504百万円(同3.0%増)、経常利益494百万円(同1.9%増)、当期純利益309百万円(同4.7%減)とする、期初計画を据え置いている。
引き続き旺盛な5G投資及び拡大するIoT機器設置需要を背景に、売上高は2ケタ成長を計画している。
中長期的な成長に向け積極的な追加投資を実施するため、利益率は一時的に低下する見込みだ。


モバイルエンジニアリングサービスにおいて、通信キャリアの5Gサービスなどの設備投資額は引き続き高い水準を維持するであろう。
ただし、5Gのエリア整備が一巡したと考えられることから、前期からは減少するとみられる。
もっとも、前述の通りミリ波整備に伴う投資が本格化するのはこれからであるほか、「空間自在プロジェクト」等のように新サービスへの展開が増えてくることが見込まれることから、キャリア各社の投資計画が大きく減少する可能性は低いと、弊社では考えている。


IoTエンジニアリングサービスにおいては、ガス向けのスマートメーター設置・交換の需要が引き続き高まるほか、空中ディスプレイ、ワイヤレス給電システム、各種ビーコン、AIカメラ、スマートロック、IoT機器用基地局設置等の引き合いが増えている。
小売や物流業界ではAIカメラ活用による需要予測や発注作業の簡略化、人手不足の解消に向けたDXの動きが加速している。


空中ディスプレイでは、2022年5月から大日本印刷 (TYO:7912)、MIRAI BAR(株)と空中ディスプレイの設置推進に向けた共同プロジェクトに参画している。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はようやく落ち着いてきたが、アフターコロナを支えるインフラ構築の需要は高まるだろう。
また、日本においても治安悪化に対する不安が高まるなか、防犯対策の観点からもスマートロックの需要が伸びている。
マンションなどでは各棟に一括設置されるほか、ビジネスにおいても入退室等での活用が増えている。
通信インフラの設計・施工・運用・保守サービス及び各種プロジェクト支援等のサービスを一貫で提供している同社の強みがこうした領域でも発揮されると、弊社では考えている。


2. 中長期成長戦略
(1) モバイルの安定継続成長
インフラ業界は5Gの拡大を受け、利用エリア拡大に向けた電波環境の構築、保守運用ニーズが増加している。
同社はその事業機会を確実に捉え、今まで培ったノウハウやテクノロジーをベースに事業領域を拡大し、高成長を目指す。
安定収益基盤としては、モバイルの安定継続成長を挙げており、ローカル5Gを含めた5G時代のモバイルインフラを構築することに伴う、順調な成長を見込んでいる。
なお、第2四半期は通信キャリアのコスト抑制要請の高まりにより、稼働人員数は2,503人と進捗率45.1%、計画比98.4%と若干ビハインドして進行中である。


(2) 事業領域の拡大、IoTを第2の柱に
成長ドライバーとしては、IoTエンジニアリングサービスを事業領域の拡大先として第2の柱に挙げている。
今後、多種多様な業界に広がり、急成長が予測されるIoTインフラビジネスを拡大することで、事業の第2の柱を作る計画である。
第2四半期において、ストック型収益である保守・運用サービスの将来的な獲得を見据え、設置台数の拡大を最優先としている。
5Gの拡大、通信技術のさらなる高度化によって、生活インフラ分野や環境、エネルギー、モビリティ、農業・畜産分野など、事業領域は拡大していくことになろう。
また、各種IoT機器は、設置後一定の期間で交換の必要が生じるため、毎年一定の更新需要が発生し、安定・継続的にキャッシュ・フローの創出が期待できると弊社では考えている。


(3) アライアンス・M&Aでさらなる成長
そして新領域については、アライアンス及びM&Aを通じたさらなる成長を目指している。
アライアンスやM&Aを活用し、新たな商品・サービスの追加、新たな顧客を開拓することでさらなる成長エンジンを作る狙いである。
これについては、2021年10月に業務提携している(株)INDUSTRIAL-Xへ資本参加することを決議している。
INDUSTRIAL-Xは、DXを推進するためのリソース(戦略、ビジネスモデル、人、モノ、金、情報、セキュリティ)をサービスとして提供するRaaS(Resource as a Service)のビジネスモデルであり、同社のインフラテック事業(IoTエンジニアリングサービス)との事業シナジーがあると見込んで、2020年3月に業務提携した。
5G通信のサービスが開始され、その普及が加速度的な広がりを見せ始めており、近い将来に一段と進んだIoT社会の到来が予見されるなか、さらなる関係の強化を図ることで双方の企業価値向上を目指す。
さらに、モバイルエンジニアリングサービスの売上拡大のため、移動体通信関連企業のM&Aを模索中である。
現在、複数社から問い合わせがあり、同社の事業拡大や価値を高められる企業を選定中としており、M&Aによる利益成長が期待されてくるだろう。


(4) 2023年6月期の重要施策
また2023年6月期の重要施策としては、モバイルエンジニアリングサービスにおいて、楽天モバイル、ソフトバンク、KDDIとの取引拡大による各キャリア内でのシェア拡大によるストック売上高の増加を図る。
なお、同社はNTTドコモとの取引実績はないが、NTTドコモについてはNTTグループ内で業務対応する慣例が残っていることも関係していると推察される。
二次請け・孫請けまでしてNTTドコモとの取引を取りに行くよりも、楽天モバイル、ソフトバンク、KDDIとの取引拡大を進めた方が全体最適であると弊社では考えている。
もっとも、価格面では同社の優位性は高く、コスト競争力の観点からは、いずれNTTグループの牙城を崩す時期が訪れる可能性はあると期待したい。
また、IoTエンジニアリングサービスにおいては、IoT設置台数の増加及びフロー型からストック型への提案強化となっている。


その他、最大の強みである「人×IT」に戦略的に投資を進める。
営業部門を新設し、営業・製造体制と管理部門を強化するほか、システムエンジニア(自社システム開発等を行う)の採用・育成を計画している。


なお、同社は通信工事会社とは一線を画している。
自社・系列のメンテナンス会社を独占的に行ってきたエレベーターメンテナンス業界を、質の高いサービスを適正価格で提供することで大きく変えたジャパンエレベーターサービスホールディングス (TYO:6544)、多重下請け構造の印刷業界を大きく変えたラクスル (TYO:4384)のように、同社は通信工事業界に新たな旋風を巻き起こす可能性がある企業として弊社では期待している。


(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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