SFP Research Memo(7):地方都市への出店や低投資で安定的に稼ぐ「ネオ大衆酒場」の拡大などにも注力

Fisco

発行済 2023年04月24日 14:07

*14:07JST SFP Research Memo(7):地方都市への出店や低投資で安定的に稼ぐ「ネオ大衆酒場」の拡大などにも注力 ■今後の方向性

1. 今後の方向性とこれまでの進捗
SFPホールディングス (TYO:3198)は、2020年2月期までは毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を公表してきたが、2021年2月期以降はコロナ禍の影響により先行き不透明な状況にあることから公表を見送っている。
ただ、今後の環境変化等を見据え、短・中期的な方向性を明示しており、(1) 地方都市への出店、(2) 注力業態「ネオ大衆酒場」の拡大、(3) 既存店の伸び(訪日観光客・深夜営業)、(4) インフレ対策(価格転嫁等)、(5) DX推進(キャッシュレス等)などに取り組む考えだ。


(1) 地方都市への新規出店
主力業態「磯丸水産」の展開は1都3県が中心となっているが、他の業態も含めコロナ禍前から地方都市への進出を模索してきた。
2023年2月期までの実績を振り返ると、京都・大阪・兵庫(3エリア合計15店舗)に加え、仙台(2店舗)、静岡(1店舗)、長野(1店舗)、熊本(2店舗)への出店※に成功したほか、FC展開により、札幌(1店舗)、愛知(8店舗)、福岡(5店舗)をカバーしてきた。
同社では、未開拓の中核都市への出店機会に目を向けており、中期的な成長ドライバーの1つとして位置付けている。
特に中部・北陸・中国・四国・南九州を重点開拓エリアとし、まずは足場を固めてから追加出店することで、エリア単位での規模拡大を図っていく考えだ。


※そのうち、長野、熊本への出店は「アライアンス構想」によるもの。



(2) 注力業態「ネオ大衆酒場」の拡大
コロナ禍をきっかけとした環境変化へ機動的に対応するため、これまでの主力業態の強みを生かしながら、低投資で安定的に稼げる「ネオ大衆酒場」業態に注力していく方針である。
「ネオ大衆酒場」は、1) 住宅/商店街、2) 路面、3) 小型、4) 17時から29時(翌朝5時)までの営業、5) 少人数/高回転などに特長を持つ業態(収益モデル)であり、現在は「ホームベース」「五の五」「浜焼ドラゴン」「鳥平ちゃん」の4ブランドを展開している。
「ネオ大衆酒場」のジャンルのなかでも複数の業態を有していることから、市場の立地や客層、競合他社の状況と照らし合わせて最もマッチする業態を選んで出店することが可能となっており、この点も強みとなっている。
すなわち、主力業態における路面立地や昼夜までの営業(利用シーンに応じた幅広い需要の取り込み)、高回転などの優位性を残しつつ、住宅/商店街を中心として低投資で安定的に稼げる業態と定義することができる。
今後は、既存店の業態転換を含め、1都3県を中心に出店を増やす考えだ。
2023年2月期は業態転換により4店舗(浜焼ドラゴン、鳥平ちゃん)を出店し、合計12店舗となった。
また、2024年2月期も新規出店を予定している。


(3) 既存店の伸び(需要の取り込み)
前期業績に寄与した訪日観光客の増加や深夜営業の再開(深夜帯の取り込み)は、さらなる既存店の伸びしろとして期待できるため、需要の取りこぼしが出ないように体制(人材の確保等)を整えていく方針である。


(4) インフレ対策
今後も原材料価格やエネルギー価格の高止まりが想定されるなか、引き続き適正な価格転嫁等により原価率を維持していくとともに、販管費の抑制にも努めていく。


(5) DX推進(キャッシュレス・省人化)
キャッシュレス化の推進により業務の効率化(省人化)や利便性の向上につなげていく方針であり、ここ数年、店舗の現金会計の割合は70%(2019年)から56%(2022年)にまで低下してきた。
同社ではさらなるキャッシュレスの利用拡大に向け、2024年2月期中にオールインワン端末※を全店に導入する計画である。
また、中長期的には予約から注文、決済までをワンストップで行える仕組みの導入や、販売データや顧客データベースの活用、バックオフィス業務の効率化などにより、人材の最適配置や顧客サービス向上などを実現し、コスト抑制と顧客満足(利便性向上)の両立を図っていく考えである。


※1台で様々な決済手段に対応可能な「stera(ステラ)」の導入を進めている。



2. 弊社の注目点
弊社でも、アフターコロナに向けて、同社の主力業態がどこまで回復していくのかとともに、地方都市への進出や「ネオ大衆酒場」業態の出店加速が今後の新たな成長の軸になるかどうかに注目している。
特に、地方都市への進出については、これまで実験的に運営してきた地方店舗(磯丸水産)も総じて堅調に推移しており、コロナ禍の収束とともに、いよいよ本格的な展開が予想される。
その際、直営店なのか、FCなのか、M&A(アライアンス構想)なのか、展開方式が気になるが、スピード、収益性、投資負担(リスク)などの面から、状況に応じて複数の選択肢を有していることも成功確率を高める要因になるものと考えられる。
一方、「ネオ大衆酒場」については、まさに「磯丸水産」の収益モデルを環境変化に合わせてチューニングしたものと捉えることができ、すでに想定どおりの結果を示していることから、今後どのような進化をとげていくのか、これからの動向を見守りたい。
また、インフレ対策やDX推進については、クリエイト・レストランツ・ホールディングス(グループ各社)との連携が大きなアドバンテージとなるだろう。
いずれもスケールメリットがポイントとなる分野であり、こういった動きのなかから業界の再編が進む可能性も高いと見ている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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