インタビュー:勝てる株主提案をしたい、コスモは再エネ事業の議論が目的=村上絢氏

Reuters

発行済 2023年05月01日 13:09

[東京 1日 ロイター] - 「物言う株主」として知られる村上世彰氏の長女で投資家の村上絢氏は、ロイターのインタビューで「株主にとって良いことで、株主構成的にも勝てる株主提案しかしたくない」と述べた。旧村上ファンド系で20%超の株式を取得したコスモエネルギーホールディングスについては、再エネ事業の上場についてきちんと議論して欲しいとし、会社をコントロールする考えはないと話した。

<3年ぶり株主提案、取締役会で議論を>

シティインデックスイレブンスと村上絢氏らはコスモエネルギーホールディングス株を計20.01%保有している。村上氏は「20%を持っているのは大きなこと。20%も持っているからこそ、きちんと自分たちの考えを示そうということで株主提案した」という。株主提案は約3年ぶりとなる。

コスモに対しては、社外取締役1人の選任を求めている。候補者は弁護士の渥美陽子氏。コスモの株主価値向上策として再生エネルギー事業の上場を求めているが、取締役会で真摯な検討が行われていないとし、株主が推す取締役を入れて、取締役会での議論を促す狙いがある。

村上氏は「取締役会の過半数を取ったり、われわれの思い通りにコントロールするというのではなく、再エネ事業の上場についてきちんと議論をして欲しい、何が1番株主価値向上につながるのか議論して下さいということなので、他の株主にとってもあまりデメリットがない。賛成しやすい提案だと思っている」とした。そのうえで「コスモの事業運営に問題があると言っているわけではなく、成長ビジネスの再エネにどうやって資金を投下していくのか。サブビジネスに対する考え方を議論してもらうことが目的であり、取締役会を全部変える必要はないと考えた」と説明した。

コスモエネHDの山田茂社長は4月27日、記者団に対し「長期的に、永続的に成長し、株主に還元するという(会社側の)考え方に対し、(旧村上ファンド側は)短期的な収益を求める感じもあるので、そこは少し溝がある」と考えの違いを指摘している。

これに対し、シティインデックスイレブンスの福島啓修社長は「これだけ好業績の会社は、短期も中期も長期もPBR(株価純資産倍率)1倍を超える目線で経営して欲しいというのがわれわれの真意。直近のミーティングで最も主張したのは、10年後の日本の石油精製のあるべき姿を取締役会でしっかり議論できるような社外取締役を入れるべきということ」と述べ、短期目線との批判に反論している。

アプリを入手する
Investing.comで、世界の金融市場の最新動向をチェックしましょう!
今すぐダウンロード

コスモの山田社長は、現時点で再生可能エネルギー部門を切り離して上場する計画はないと繰り返した。山田社長は「風力発電を柱に、グリーン電力サプライチェーンを強化していく。陸上風力は着実に拡大しているので、あとは洋上風力を(入札で)獲得しながら、蓄電など需給調整体制をきっちり仕上げ、電力サプライチェーンを事業の柱の1つとしたい」と述べている。

<買い増しは総会の結果見て判断>

今後、コスモ株の買い増しを行うかについて、村上氏は「株主総会の結果を見てみてから考える。今はまだ何も考えていない」と述べるにとどめた。

コスモは今年1月、大規模買い付け者以外の株主への新株予約権の無償割り当てなどの買収防衛策の導入を決めた。村上氏側が20%を超えて買い増す場合には、事前に会社側に通知。その後開かれる株主意思確認総会で承認されると、会社側が対抗措置を取ることになる。

<投資先選定、PBRが大きな要素>