米SEC、バイナンスを提訴 ビットコイン3カ月ぶり安値

Reuters

発行済 2023年06月06日 04:41

更新済 2023年06月06日 08:09

[ワシントン 5日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は5日、暗号資産(仮想通貨)交換業最大手のバイナンスと同社のチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)らを提訴した。これを受け、ビットコインは約3カ月ぶりの安値に下落した。

SECはバイナンスが取引量を人為的に膨らませ、顧客の資金を流用したほか、米国の顧客が国外の交換所で取引できるようにし、市場規制について投資家に誤解を与えたなどと指摘。ワシントンDCの連邦裁判所に提出された訴状には、バイナンスとジャオ氏、同社の米交換所運営会社に対する13の容疑が記載されている。

SECはバイナンスとジャオ氏が顧客資産を分別管理せず、ジャオ氏が所有する別の会社に移していたと指摘。

バイナンスが「米証券法を回避する巧妙な計画の一環」として米国法人を設立したとも主張した。

また、約3年前から2022年6月まで、ジャオ氏が所有する会社がいわゆるウォッシュトレードを行い、米交換所「バイナンス・ドット・US」上の暗号資産証券の取引量を人為的に膨らませていたとした。

SECのゲンスラー委員長は声明で、ジャオ氏とバイナンス関連会社が「大掛かりな偽り、利益相反、開示の欠如、計画的な法律回避に従事した」と述べた。

バイナンスは声明で、SECと当初から積極的に協力してきたとし、その主張に反対すると表明。合理的な解決策の模索にともに取り組んできたが、SECが土壇場で新たな要求を出して提訴したとし、SECの措置は「他の規制当局から管轄権を主張」するための試みに見えるとした。

また、ブログで「われわれのプラットフォームを断固として守るつもりだ」とした上で「バイナンスは米国の交換所ではないため、SECの措置が及ぶ範囲は限られる」と指摘。「バイナンスとバイナンス・ドット・USを含む系列プラットフォームの顧客資産は全て安全だ」と強調した。