アジア投資 Research Memo(1):2023年3月期は各段階利益で赤字計上も、プロジェクト投資で一定の成果

Fisco

発行済 2023年06月12日 12:21

*12:21JST アジア投資 Research Memo(1):2023年3月期は各段階利益で赤字計上も、プロジェクト投資で一定の成果 ■要約

1. 会社概要
日本アジア投資 (TYO:8518)は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。
1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。
革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。
同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は15,850百万円(9ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は14,133百万円となっている(2023年3月末時点)。
PE投資については、VC業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高も減少傾向にある。
ただ、ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも成果をあげている。


2. 2023年3月期の業績
2023年3月期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前期比20.9%増の3,872百万円、営業利益が11百万円(前期は237百万円の損失)となった。


※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。
ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。
同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。



従来連結基準では、営業収益が前期比25.2%増の3,017百万円、営業損失が185百万円(前期は86百万円の利益)と増収ながら減益となり、各段階利益で赤字を計上する結果となった。
営業収益は、国内の上場株式の売却進捗や国内外での未上場株式の売却が増収に寄与した。
プロジェクト投資についても5件の売却益(うち1件は前期売却分)を計上するに至った。
一方、各段階利益が赤字となったのは、1) 株式売却損の発生、2) 投資先に対する引当金の増加、3) プロジェクトからの損失などの要因が重なり営業原価が増加したことが主因である。
活動面では、戦略投資先の株式売却を実現した一方、プロジェクト投資の実行(屋根置型蓄電池付太陽光発電設備や障がい者グループホームなど)や新たな戦略投資先への投資実行(2件)などで一定の成果をあげることができた。


3. 2024年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。
ただ、2024年3月期については、ある一定の前提をもとに策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。


同社の「従来連結基準による見込値」によれば、2024年3月期については、営業収益を前期比23.8%減の2,300百万円、営業利益を200百万円と減収ながら株式売却益の改善等により、黒字転換を見込んでいる。


4. 中期経営計画の方向性と進捗
同社は、2022年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進している。
投資活動のコアバリューを「ベンチャー投資と特色有るアジアのネットワークを活用した日本とアジアの未来に貢献するSDGs投資」と位置付け、少子高齢化とポストコロナの日本の未来社会で生み出されるイノベーションから創出される事業を見出し、投資活動を通じて成長を支援する方針である。
もっとも、基本的な投資方針に大きな変更はなく、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指してきた。
ただ、業績面では株価低迷等の影響により計画を下回って推移している。


■Key Points
・2023年3月期の業績(従来連結基準)は、増収ながら株式売却益の下振れや引当金の増加等により減益となり、各段階利益で赤字を計上
・活動面では、戦略投資先の株式売却を実現した一方、プロジェクト投資の実行や新たな戦略投資先への投資実行などで一定の成果
・2024年3月期の業績予想については株式売却益の改善等により黒字転換を見込む
・2022年3月期より中期経営計画を推進。
前中計の投資方針をさらに推し進めるとともに、SDGsを強く意識した投資活動に取り組む方向性

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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