シュッピン Research Memo(4):好調な「カメラ事業」の伸びにより高い業績水準を確保(1)

Fisco

発行済 2023年06月21日 12:04

更新済 2023年06月21日 12:15

*12:04JST シュッピン Research Memo(4):好調な「カメラ事業」の伸びにより高い業績水準を確保(1) ■決算概要

1. 2023年3月期決算の概要
(1) 決算の概要
シュッピン (TYO:3179)の2023年3月期の業績は、売上高が前期比5.0%増の45,618百万円、営業利益が同21.6%減の2,463百万円、経常利益が同23.5%減の2,439百万円、当期純利益が同23.1%減の1,697百万円と増収減益となったが、売上高は過去最高、営業利益は過去2番目の水準を確保した。
ただ、期初予想に対しては、「時計事業」の落ち込みにより下回る着地となっている(2023年2月7日公表の修正計画に対しては超過)。


主力の「カメラ事業」については、AIを活用したOne to One マーケティングが奏功したことや、カメラメーカー各社からの大型新製品の販売により市場全体が活況を呈したことも手伝って大きく拡大した。
ただ、全社業績が期初予想を下回ったのは、もうひとつの柱である「時計事業」の落ち込みによるものである。
中国のロックダウンなど国際情勢等の影響を受けて免税売上(店舗売上)が低調に推移したことに加え、下期に入ってからはグローバル価格相場の大幅な下落が業績の低迷を招いた。
したがって、「時計事業」の想定外の落ち込みを「カメラ事業」の伸びでカバーし、業績全体では高い水準を維持した格好と言える。
もっとも、足元では「時計事業」も回復傾向にあるようだ。
また、「筆記具事業」及び「自転車事業」については堅調に推移している。


利益面でも、「カメラ事業」が高い売上総利益率を維持した一方、「時計事業」における赤字販売の実施や商品評価損の計上などが利益を圧迫し、全体での売上総利益率は17.0%(前期は18.5%)に大きく低下した。
また、給与ベースアップに伴う人件費やクレッジット手数料の増加等により販管費率も11.6%(前期は11.3%)に上昇した結果、営業利益率は5.4%(前期は7.2%)に低下した。


財政状態については、「現金及び預金」や「商品」在庫の増加等により総資産は前期末比4.6%増の15,066百万円となった。
一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同18.5%増の6,477百万円となったことから、自己資本比率は42.9%(前期末は37.9%)に改善した。
なお、「商品」在庫については8,812百万円(前期末比5.8%増)と前期末比では若干増えているものの、年末商戦により一旦膨らんだ12月末の残高(11,234百万円)からは大きく圧縮を図っているほか、在庫の入れ替え等により仕入原価も下がっているようだ。


(2) 売上総利益率及び販管費の状況
2023年3月期の売上総利益率(全体)は17.0%(前期は18.5%)に大きく低下した。
前述のとおり、「カメラ事業」についてはAIMDの安定稼働により高い売上総利益率を維持したものの、「時計事業」における価格相場の下落に合わせた販売価格の見直しや在庫整理(適正化)を目的とする赤字販売の実施、棚卸商品評価損の計上などが利益を圧迫したことが理由であり、同社の事業モデル自体の収益性が低下しているわけではないことに注意が必要である。
したがって、在庫の適正化が一巡した2024年3月期の売上総利益率については再び18.0%に回復する見通しとしている。
また、販管費についても給与ベースアップに伴う人件費の増加に加え、売上高連動の販売促進費やクレジット利用手数料、新たなシステム開発投資に伴う運用費等が増加し、販管費率は11.6%(同11.3%)に若干上昇したが、11%台でコントロールできているという見方が妥当と言える。


2. 事業別の業績
(1) カメラ事業(EC比率:86.2%)
売上高は前期比17.3%増の32,721百万円、セグメント利益は同20.8%増の3,810百万円と順調に拡大し、過去最高業績を更新した。
前期から取り組んでいるAIMD、AIコンテンツレコメンドといった、AI活用による独自機能やサービスによるOne to One マーケティングが奏功し、EC売上が好調に推移している。
特にメール、アプリに加え、2022年5月からはLINE でのお知らせ機能(プッシュ通知)を開始し、スマートフォンでの利便性をさらに高めたことや、カメラメーカー各社から新製品が発売され市場全体が活況を呈したことも追い風となったようだ。
店舗売上についても、新製品効果も手伝ってコロナ禍による落ち込みから順調に回復してきた。
利益面では、AIMDの安定稼働により中古カメラの売上総利益率が改善し、大幅な増益を実現するとともに、高水準にあるセグメント利益率も11.7%(前期は11.3%)とさらなる改善を図ることができた。


(2) 時計事業(EC比率:50.5%)
売上高は前期比19.2%減の11,603百万円、セグメント損失は191百万円(前期は1,129百万円の利益)と減収減益となりセグメント損失に陥った。
前期から取り組んできた戦略的商品ラインナップの拡充として、人気ブランド「ロレックス」の買取強化による国内最大級の在庫量確保と、ECサイトでの圧倒的な品ぞろえに注力した。
ただ、中国政府による「ゼロコロナ」政策により、免税売上(店舗売上)が低調に推移したことに加え、高級腕時計の価格相場※が国際的に下落した影響を受けて業績は大きく落ち込んだ。
特に、年末商戦に向けて戦略的在庫投資を増やしたことと価格相場の低迷が重なったことが拍車をかける格好となり、12月以降はやむなく原価を下回る価格水準での販売(赤字販売)を行い在庫水準の適正化を図ったことに加え、期末の商品在庫に対して評価損(219百万円)を計上したことが利益を大きく圧迫する要因となった。
もっとも、2023年2月以降の価格相場は緩やかながらも回復の途にあり、免税売上もインバウンド需要の復活とともに戻りつつある。


※欧州における地政学リスクの長期化や、各国の金融政策による急激な為替、商品価格の変動等に伴う世界的なインフレの進行等の余波を受け、期中を通じて腕時計価格は大幅に下落し、特に、ロレックス等の人気商品においては30%強の下落となった。



(3) 筆記具事業(EC比率:76.9%)
売上高は前期比12.2%増の438百万円、セグメント利益は同593.2%増の38百万円と増収増益となった。
メーカーとの協業によるオリジナル商品の企画・販売に加え、レアモデルの万年筆等を多数取り揃えるなど、独自の商品ラインナップを充実させたことや、中古品の買取強化などが増収に寄与した。
利益面でも、適切な販売価格の設定や売り場改装を通じた生産性の向上等により大幅な増益となった。


(4) 自転車事業(EC比率:63.7%)
売上高は前期比7.8%増の854百万円、セグメント利益は同36.1%増の55百万円と増収増益となった。
コロナ禍における需要増が一巡したものの、スマートフォンアプリによる日常的な情報発信やECサイト上での様々な営業施策が奏功したことに加え、店舗では世界的に人気の高い日本メーカーのパーツに対する免税需要が高まったこともあり、増収となった。
利益面でも、引き続き効率性を重視した運営により収益性の改善も着実に進んできた。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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