iーplug Research Memo(4):個別最適なマッチングを実現する「OfferBox」

Fisco

発行済 2023年06月29日 12:24

*12:24JST iーplug Research Memo(4):個別最適なマッチングを実現する「OfferBox」 ■i-plug (TYO:4177)の事業概要

1. 「OfferBox」
「OfferBox」の企業側のビジネスフローは、企業情報や採用担当者の紹介文など自社のプロフィールを入力した後、検索機能を利用して学生を検索、気になる学生を見つけたらプロフィールを確認して学生に説明会や面接への参加を促すオファーを送る。
学生がオファーを承認したら、少人数座談会や個人面談などに招待して学生との相互理解を深める。
企業は一連のフローのなかで学生を選考し、採用したい学生が決定したら学生との間で入社合意の確認をする、という流れである。


(1) 「OfferBox」の競争優位性
「OfferBox」の特長は、業界初のオファー送受信数制限、企業からアプローチする仕組み、豊富な学生プロフィール情報、行動データを用いた機械学習、適性検査結果を含む多様な検索軸、決定に導くナレッジと支援体制、成功報酬型×低価格など多岐にわたる。
一方、こういった仕組みは模倣可能であり、現に類似サービスも出てきている。
しかし、そのなかで「OfferBox」が高い成長性を実現できているのは、独自モデルの競争優位性とそれを可能にした企業文化にある。
独自モデルの競争優位性は、アプローチの起点、採用手法の構造、ビジネスの要所という3つの違いにある。


a) 起点の違い
新卒採用市場において、就活生は卒業に伴い毎年入れ替わるため、各学生にとって就職活動は一度きりの活動となるが、企業は毎年新卒採用を行っているため、新卒採用に関するナレッジが蓄積されやすい状態にある。
このため就職活動では、情報弱者の学生と情報強者の企業という情報格差が生じる構造となっている。
こうした状況であるにもかかわらず、就職ナビなどのエントリー型サービスは情報弱者の学生から情報強者の企業にアプローチするモデルになっているためミスマッチが発生しやすい。
これに対し「OfferBox」などダイレクト型サービスは、情報強者の企業から情報弱者の学生にアプローチするモデルになっている。
このようにアプローチの起点に違いがあるため、エントリー型サービスで待っていても会うことができない学生を、ダイレクト型サービスは見つけることができ、情報の非対称性を乗り越えて個別最適なマッチングが可能となるのである。


b) 構造の違い
これまで多くの就活生と企業に利用されてきたエントリー型の就職ナビサイトでは、情報弱者の学生からアプローチしなければならないため、認知度やブランド力の高い企業に応募が集まる傾向があった。
一方、情報強者とはいえ企業側も、短期間に大量の応募学生から選ばなければならないため、偏差値や在籍大学といった学歴などで選別する傾向にあった。
このようにエントリー型サービスは、認知度や偏差値といった特定の軸を頼りにマッチングするため、採用手法は偶然性の強い構造となっていると言うことができる。
一方、ダイレクト型の「OfferBox」は、企業が充実したプロフィールを見て学生に直接アプローチするという構造になっているため、必然性の高いWin-Winのマッチングが可能となるのである。


c) 要所の違い
従来のエントリー型サービスは偶然性の強いマッチング構造となっているため、サービス内にいかに多くの企業と学生を集めるかが要所となっていた。
一方、1名1社ごとの個別最適なマッチングが可能なダイレクト型サービスでは、サービス内に「集める」ことより、サービス内で登録した学生と企業をいかに「動かす」※かが重要な要所となる。
「集める」と「動かす」というビジネスの要所の違いが競争力の差につながるわけだが、「動かす」ためには、ミスマッチを解消するという強い信念のもと、業界初のオファー送受信数制限機能のサービスへの実装や、決定人数をKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)としたKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)ツリーを用いた改善の積み重ね、導入企業への1to1コミュニケーションの必要性の啓蒙など、日々のサービス改善の徹底が欠かせない。
したがって、徹底して「動かす」という企業文化も競争優位の一要素と言うことができる。
直近で会員制ラウンジ事業をM&Aしたが、「動かす」ことを目的に、企業と学生がリアルに出会う機会を増やしているのである。


※「動かす」:企業にとって学生を検索しオファー送信すること、学生にとってはログイン・プロフィールの充実や企業からのオファーへの着実な返信などを指す。



(2) 収益の特徴
「OfferBox」には成功報酬型と早期定額型という2つの料金体系がある。
同社は、成功報酬型を入口に独自の営業マーケティングによってリピート利用企業数を伸ばすことで、安定収益源となる早期定額型を着実に増やしていく手法を取っている。
成功報酬型は、3月1日の採用広報解禁日からオファー送信ができ、入社合意に至った時点で費用が発生する。
導入のための費用がないうえ、入社以前に学生が内定を辞退した場合は成功報酬を返金する契約となっており、初めてダイレクトリクルーティングを利用する企業にとって利用しやすいという特長がある。
早期定額型は、学生3年次のインターンシップへの参加促進など採用広報解禁以前からオファー送信が可能となっている。
また、契約時に利用料金と採用枠料金を一括して支払うことで、1人当たりの採用単価を低く抑えることができる。
料金は内定辞退が生じた場合でも返金しない契約となっているが、長期間サービスを利用できるため、採用の可能性を高めることができる。
成功報酬型で成果を得た企業が、翌年度から早期定額型を利用するケースが多くなっている。
また、早期定額型で超過した採用枠を、成功報酬型でカバーするケースも多くなっているようだ。


収益貢献に関して、成功報酬型の場合、採用決定時に一括して売上を計上するのに対し、早期定額型は利用料金が3年次の契約から4年次の利用終了までの期間に按分されるため、翌期の売上となる料金について当該期は契約負債(前受収益)として計上される(「OfferBox」のサービス特性から売上高は下期偏重型になっている)。
したがって、投資を強めると当該期の費用が立つ一方で契約負債(前受収益)も大きくなるため、利益率が下がる傾向がある。
一方で、受注時に料金が一括入金されるため、営業キャッシュ・フローは営業利益に対して大きくなるという傾向もある。
このため「OfferBox」は、安定した顧客基盤と収益基盤を同時に生み出す仕組みになっていると言うことができる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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