ウェーブロックHD Research Memo(2):M&A戦略により事業基盤の強化と領域拡大を進める樹脂加工メーカー

Fisco

発行済 2023年06月30日 12:02

更新済 2023年06月30日 12:15

*12:02JST ウェーブロックHD Research Memo(2):M&A戦略により事業基盤の強化と領域拡大を進める樹脂加工メーカー ■会社概要

1. 会社沿革
ウェーブロックホールディングス (TYO:7940)は、1964年に糸強化プラスチックシートに関する製法特許「ウェーブロック」技術をイタリアから導入するために、日商(株)(現 双日 (TYO:2768))、日本カーバイド工業 (TYO:4064)、丸登化成工業(株)(現 龍田化学(株))の3社が均等出資して設立した日本ウェーブロック(株)が起源となる。
ウェーブロック製法とは、2枚のプラスチックフィルムの間に合成繊維の糸を波状(wave)に複数配列し、接着固定(lock)してサンドイッチ構造にする製法のことであり、同製法で作られた樹脂加工シートは、伸縮性を持つと同時に物理的強度も大幅にアップするといった特長がある。
1960年代当時、農業分野で使用されていたビニル製品は強度が弱く破れやすいという課題があったことから、創業者である木根渕弘水(きねぶちひろみ)氏が、同分野においてウェーブロック製品のニーズがあると見て農業用雨合羽から技術導入を図り、その後、その特性を生かせる分野としてビニルハウスやレインコート、産業用資材等へと市場の裾野を広げながら事業を拡大していった。


1979年には壁紙ベースメーカーとして壁紙業界に参入したほか、1980年に現在のアドバンストテクノロジー事業の礎となる金属蒸着ポリエステルフィルム等の複数の素材を組み合わせた多層ラミネートシートの製造販売を開始するなど、創業者の強力なリーダーシップにより事業の多角化を進めながら成長を続け、1990年には日本証券業協会の店頭売買銘柄に登録、株式公開を果たした。
2003年4月に創業者の長男で前代表取締役社長であった木根渕純(きねぶちじゅん)氏に経営がバトンタッチされると、成長戦略の1つとしてM&Aにも活発に取り組み、2005年4月には純粋持株会社体制に移行した。


海外市場への展開について見ると、マテリアルソリューション事業では編織事業の製造機能強化のため2012年に中国に合弁会社を設立した。
さらに、2018年にASEAN地域での事業活動強化を目的としてタイに子会社を設立している。
一方、アドバンストテクノロジー事業では販売子会社を2012年に韓国、2018年に米国、2019年にドイツに相次いで設立しており、欧米子会社については主に自動車分野をターゲットに営業活動を推進している。

その他、2013年にグループのアジア地域における商社機能強化を目的に香港に子会社を設立している。


なお、2021年3月に(株)ウェーブロックインテリア(現 クレアネイト(株))の株式の51%をサンゲツ (TYO:8130)に譲渡し、主力事業の1つであったインテリア事業を切り離した。
サンゲツはインテリア商社の最大手で、インテリア事業の主要取引先として2015年に資本業務提携を締結、同社の筆頭株主でもあったが、双方の協議によりインテリア事業を譲渡することとし、資本業務提携も併せて解消した。
2022年5月に残りのすべての株式を譲渡し、クレアネイトの株式売却で得た資金を活用して成長が見込めるアドバンストテクノロジー事業や新規事業への投資、M&Aなどを実施し企業価値の向上を目指す戦略となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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