澁澤倉庫 Research Memo(1):長期ビジョン達成に向けて、業績は極めて順調

Fisco

発行済 2023年07月06日 12:01

更新済 2023年07月06日 12:15

*12:01JST 澁澤倉庫 Research Memo(1):長期ビジョン達成に向けて、業績は極めて順調 ■要約

1. 専門性、DX、業域拡大に強みを持つ総合物流企業
澁澤倉庫 (TYO:9304)は、倉庫業を祖業とする総合物流企業である。
事業は物流事業と不動産事業に大別され、物流事業では倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務の5つの業務を展開している。
また、不動産事業では不動産開発と賃貸や不動産管理などを行っている。
同社は、“日本資本主義の父”と言われ、現在のサステナビリティ(持続的成長)に通じる精神を持った渋沢栄一(しぶさわえいいち)が1897年に創業した。
その後、昭和初期にかけ全国に支店を開設し、戦後は陸・海・空へと事業領域を拡大、平成に入って海外展開を加速するなど業容拡大を進めた。
同社の強みは、飲料・日用品など消費財物流や多品種少量貨物で培った専門性、デジタル化や自動搬送機の導入などのDX、海外や物流周辺への業域の拡大にある。


2. 長期ビジョンで2031年3月期に営業利益60億円を目指す
同社は、創業者・渋沢栄一の「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」という精神を基軸に「Shibusawa 2030 ビジョン」を策定し、2031年3月期に営業収益1,000億円、営業利益60億円を目指している。
ビジョン達成へのステップとして、2022年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」を推進している。
新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や世界的インフレなど不透明な環境のなか、自動搬送機の実用化などDXによる業務効率化、国内物流拠点の新設やフィリピン現地法人の稼働など専門性を追求した拠点拡充、アウトソーシングサービスなどによる業域の拡大を進めている。
さらに、リニューアブル燃料や商用EV(Electric Vehicle:電気自動車)の活用など、サステナビリティへの取り組みも積極化した。


3. 経常減益は一時的要因、2023年3月期業績は好調
2023年3月期の業績は、営業収益78,504百万円(前期比9.4%増)、営業利益4,894百万円(同8.4%増)と中期経営計画を1年前倒して達成した。
中期経営計画で掲げた事業戦略に基づき、国内外で投資や営業活動を積極化して貨物取扱量を拡大したほか、業務の効率化や採算性の向上に努めた。
その結果、倉庫業務や輸配送業務が順調に推移、海上・航空運賃単価の高止まりや新規連結の影響もあって、営業収益は2ケタ近い増加を確保し、営業利益も営業収益に近い伸びとなった。
施設稼働率が向上した不動産事業も増収増益を達成した。
なお、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったものの、これは一時的要因で期初より減益を見込んでいたことを考慮すると、業績は好調だったと言える。


4. 中期経営計画の進捗を考慮し長期ビジョンを上方修正の可能性
2024年3月期の業績見通しについて同社は、営業収益79,000百万円(前期比0.6%増)、営業利益4,700百万円(同4.0%減)を見込んでいる。
増収減益予想となっているが、作業費や既存設備の改修費用などの増加を見込んでいるためで、最終年度も中期経営計画の目標を超過達成する見込みとなっている。
次期中期経営計画では海上運賃・航空運賃の高止まりや円安といった特殊要因はなくなる見込みであるが、2024年に横浜・本牧埠頭倉庫や関西の危険物倉庫が稼働する予定になっており、好調に推移している現中期経営計画の成長路線を継続すると見られる。
このため、2024年3月期本決算発表時に公表が期待される次期中期経営計画の定量目標は、長期ビジョンの上方修正も視野に入れつつ設定されることになると思われる。


■ Key Points
・渋沢栄一のサステナビリティに通じる精神を受け継ぐ総合物流企業
・長期ビジョン達成に向け中期経営計画が順調に進捗、目標を前倒し達成
・2024年3月期は先行投資で減益予想も、新倉庫建設など中期成長路線継続へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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