加藤製作所 Research Memo(7):計画1年目は営業黒字に転換。中期経営計画の進捗は順調

Fisco

発行済 2023年07月11日 14:17

更新済 2023年07月11日 14:30

*14:17JST 加藤製作所 Research Memo(7):計画1年目は営業黒字に転換。
中期経営計画の進捗は順調 ■成長戦略

1. 中期経営計画(2022~2024)
加藤製作所 (TYO:6390)は、コロナ禍に伴う需要の大幅減少やグローバルサプライチェーンの混乱など急激な事業環境の変化に対応し、2022年3月に中期経営計画(2022~2024)を策定した。
テーマ及び基本方針として「スリムで骨太体質への変革」を掲げ、基本方針は収益改善・強化(コア事業への経営リソース集中及び抜本的改革)、財務体質の改善(在庫を中心とした運転資本の適正化及び資金効率向上)、将来の基盤構築(開発機種のコア事業への集中)を掲げた。
次なる飛躍に向けた徹底的な変革と位置付けて、コスト構造を根本から見直し、強靭な利益体質へ生まれ変わるための抜本的対策を織り込んだ。
そして主要財務目標値には、2025年3月期の売上高66,400百万円、製造原価率83.2%、営業利益率4.7%を掲げている。


なお、2022年3月期の営業損失7,222百万円に対して、2025年3月期は3,100百万円の営業利益を目指している。
増減要因として原料費700百万円の増加を見込むものの、構造改革に伴い計上した一過性の費用6,000百万円がなくなるほか、収益改善施策により合計4,800百万円の増益(営業施策で1,300百万円、商品施策で820百万円、製造施策で580百万円、人事施策で1,200百万円、その他施策で940百万円)を計画している。
営業施策としては販売価格アップ、販売台数拡大、国内販売拠点統廃合などを推進する。
商品施策としては既存製品の徹底的なコストダウン、新製品群の市場投入などを推進する。
製造施策としては生産コストの抜本的見直し、生産の平準化などを推進する。
人事施策とその他施策としては各種固定費の削減やアフターサービス事業の強化などを推進する。
なお2022年3月に希望退職者を募集し、実施した。


こうした施策の推進により、計画1年目の2023年3月期は4期ぶりに営業黒字に転換した。
2024年3月期は一部部品の調達難による主力製品の供給制約などにより減益予想としているが、2025年3月期までに収益改善に向けて引き続き利益率の高い機種やアフター部品の拡販に注力する方針であり、中期経営計画の進捗はおおむね順調と弊社では考えている。



サステナビリティ経営を推進。
環境保全の一翼を担う商品を開発
2. サステナビリティ経営
同社は経営理念に「優秀な製品による社会への貢献」を掲げ、サステナビリティ経営の推進にも取り組んでいる。
事業面では、安心・安全性の向上と燃費効率向上を両立させる新製品の開発に取り組み、2023年3月には、世界初の「ハイブリッドラフター(ラフテレーンクレーン)」製品化計画を発表した。
走行燃費及びクレーン作業燃費の向上によってCO2排出量を削減するとともに、走行騒音及び作業騒音を低減する。
カーボンニュートラル対応機種の第1弾として2024年春の上市を予定しており、こうした製品の製造・販売を強化して環境保全の一翼を担うことを目指すとしている。
また2023年にはサステナビリティ委員会を設置し、同社ホームーページにESGに関する活動状況やデータなどを紹介する「サステナビリティサイト」を開設した。



プライム市場上場維持基準適合を目指す
3. 「プライム市場上場維持基準の適合に向けた計画書」
同社は、2022年4月の東証の市場区分見直しに伴ってプライム市場に移行したが、移行基準日(2021年6月30日)時点で、プライム市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額が上場維持基準を充たしていなかったため、2021年12月10日付で「プライム市場上場維持基準の適合に向けた計画書」を作成し、開示している。
中期経営計画で掲げた各種施策を着実に実行して業績の向上を図るとともに、株主還元策の充実、IR活動の強化などにより企業価値の向上(時価総額の増大)に努め、プライム市場上場維持基準適合を目指すとしている。


4. アナリストの注目点
同社は現在の中期経営計画の期間を、徹底した収益性改善施策の推進によって利益を回復する期間と位置付け、売上高よりも利益を優先した販売戦略を推進している。
中期経営計画2期目となる2024年3月期は一部部品の調達難による供給制約の影響を受けて収益回復が一服する形となる見込みである。
3期目の2025年3月期には供給制約が解消され、新製品の投入や、大型のラフターやオルターといった利益率の高い主力機種の拡販戦略などにより、一段の収益回復が期待できると弊社では考えている。
元来、同社は建設用クレーン市場において大手メーカーとして一定のポジションを確立しており、次期中期経営計画では、さらなる収益性向上に向けた意欲的な計画が打ち出される可能性があることも注目点であると弊社では考えている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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