ヒーハイスト Research Memo(6):主に3つの重点施策を推進

Fisco

発行済 2023年07月20日 13:06

*13:06JST ヒーハイスト Research Memo(6):主に3つの重点施策を推進 ■中長期の展望

ヒーハイスト (TYO:6433)では2023年6月27日に中期経営計画を発表し、今後の中期的戦略(重点施策)として、「スマート生産」「直動機器の製品力強化」「稼働率の平準化(機会損失の回避)」を掲げている。


(1) スマート生産
中長期のトレンドに合った設備を揃え、生産能力を生かした計画を立て、計画どおりに出来高を毎日達成する生産を言う。
また、直動機器のリニア製品においては、顧客からの注文(仕様)に合わせて生産するものが多い。
そのため、営業部門が得た顧客からの要望・仕様を的確に製造部門へ伝え、最終的に顧客が満足・納得する製品を納めることが重要だ。
営業・製造情報を一元管理し、計画どおり安定した生産が行えるような「スマート生産」を推進する。
その結果として、生産数が増加し、生産コストを下げることを目指す。


この計画に沿って、直動機器の増産のために、「無人工場棟」の建設を同社埼玉工場の敷地内に進めていたが、2023年4月に竣工した。
この工場を建設した理由として会社は、「デジタル化の進展で、半導体の需要は年々高まっていることや、自動化関連及び医療関連の需要が伸長しており、既存の工場は高稼働状態が続いているため、製品の供給に将来支障をきたす状況が予測される。
また新型コロナウイルス感染症流行の収束後を見据えた設備投資計画において、既存工場が手狭になることも予測される。
このため、直動機器のスマート生産体制の確立を目的として、埼玉工場に無人工場棟を新設し、生産の増強を図る」と述べていた。
投資額は約200百万円(生産設備、移動費用は含まず)で、自己資金と借入金で賄った。
これにより、直動機器の生産性は一段と向上するものと期待される。


(2) 直動機器の製品力強化
同社の主要顧客であるTHKは、「2022年12月期決算説明会資料」の中で、「産業機器事業+その他」の売上高を2022年12月期の2,821億円から2026年12月期に3,650億円(2022年12月期比29.4%増)を目指すことを発表している。
これに合わせて同社でも、「製品力の強化」と「生産能力の向上」を図っていく考えだ。


各種機械に使われる製品市場において、同社はストレート型ではトップシェアを誇っているが、フランジ付きではシェアが低くフランジ付きの生産力強化を図っている。
また、THK向けに新製品をラインナップし、直動機器の製品力強化も図っており、THK向けOEM品としてTHKブランドをどこまで生かせるかが重要課題だろう。



在庫負担増だが稼働率の平準化に挑戦する
(3) 稼働率の平準化(機会損失の回避)
同社の直動機器のほとんどがTHKに販売されるため、THKの産業機器の受注動向によって同社の直動機器の売上高が左右されるのは言うまでもない。
THKの過去の受注動向は2017年と2022年にかけて大きな山があった。


一方で同社の売上高と設備投資の推移も2017年と2022年に上昇しており、THKの受注推移と連動性が高い。
しかし会社は、「確かに相関はあるが、この過去の2つの山においては、生産能力が十分ではなく、かなりの機会損失が発生した」と述べている。
このような機会損失を回避するため、同社はTHKの2026年の計画(前述)に合わせて数年前から生産能力を拡大することを決定し、積極的な設備投資を行っている。
今後もこの方針は継続する方針だ。


その一方で、一般的には生産能力が上がると、受注・生産が落ちた時には稼働率が低下し単位当たりの原価率が上がる。
しかし同社は今後に対して、「受注が多少落ちた場合でも、定番品を中心にある程度の稼働率は維持して、将来の機会損失を回避する」と述べている。
ただし当然であるが、受注低迷時にある程度の稼働率を維持すれば在庫が膨らむことになる。
それでも同社は、「多少の在庫負担を負っても、将来に備えてこのような方針に挑戦する」と述べている。
まさに尾崎社長が述べている「挑戦なくして成功なし」を実践することになるが、2026年に向けての同社に注目したい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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