サイバーコム Research Memo(4):ソフトウェア開発事業が売上高、利益の約8割を占める収益柱

Fisco

発行済 2023年07月24日 12:04

更新済 2023年07月24日 12:15

*12:04JST サイバーコム Research Memo(4):ソフトウェア開発事業が売上高、利益の約8割を占める収益柱 ■会社概要

2. 事業概要
サイバーコム (TYO:3852)は、ソフトウェア開発事業とサービス事業を主力事業として展開しており、その他にファシリティ事業(不動産賃貸)を行っている。
ここ数期間の売上構成比を見ると、ソフトウェア開発事業が全体の約8割、サービス事業が約2割と安定して推移しており、利益構成についてもほぼ同様の傾向となっている。


(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業では、通信ソフトウェア開発、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発における受託開発や常駐派遣を行っている。
受託開発では2次・3次請けの案件が大半だが、元請け企業とは長年の取引関係で構築した強固な信頼関係があり、案件の約7割をリピート受注で占めるなど顧客基盤が安定しているのが特長だ。
これは品質方針として掲げる「け・や・き」※の精神に基づき、通信技術で培ってきた高品質なソフトウェア開発力が、顧客から高く評価されている証左と言える。


※同社が掲げている品質方針で、「け:検査の徹底、や:約束の厳守、き:機密の保持」を意味する。
同社の創業の地、宮城県の県木に由来している。



a) 通信ソフトウェア開発
通信ソフトウェア開発では、高速性、安定性、信頼性が要求される無線通信システムや制御装置等の「通信基盤」分野の開発を主に行っている。
具体的には、無線通信システム装置(5G/LTE)、コアネットワーク装置、公衆回線網装置、ネットワーク監視システムなどで、これらシステムの機能の一部を同社で受託開発している。
通信インフラシステムの開発に関しては、機能ごとに受託開発先が決められており、高度な技術力だけでなく継続性に伴うノウハウの蓄積が重要となるため、同社にとって安定した受注先となっている。
このほかにも、情報通信端末や通信アプリケーション分野の開発を行っている。
主要顧客はNECグループや日立製作所 (TYO:6501)グループなどが挙げられる。


b) 制御ソフトウェア開発
制御ソフトウェア開発では、自動車の制御に関わるECU関連やCASE関連などの車載システムのほか、半導体製造装置システムやOA機器などに組み込まれるソフトウェアの開発を行っている。
主要顧客は、NECグループ(トヨタ自動車 (TYO:7203)向け等)や東京エレクトロン (TYO:8035)グループ、リコー (TYO:7752)グループなど業界大手が多い。


c) 業務ソフトウェア開発
業務ソフトウェア開発では、企業向けシステム、生命保険会社向け営業支援システム、公共向けシステム、流通関連システム、医療向けシステム、エネルギー関連システム、ECサイトなどのWeb系支援システムのほか、顧客ニーズに対応した各種の業務支援ソリューションなど幅広く手掛けており、顧客も多岐にわたる。


(2) サービス事業
サービス事業では、ソフトウェア開発事業で培った技術を基盤として、企業のネットワーク/サーバ構築や仮想化、クラウドの導入支援(AWS、Microsoft Azure)、保守・運用及び通信プロトコル等の評価検証を行うSIサービスが売上の約9割を占めている。


また、オフィス電話ソリューション「Cyber Smart」シリーズ※1やクラウドVPNサービス※2「楽々セキュアコネクト」、高精度屋内位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」、「Oracle Cloud版 Cyber Position Navi」など自社プロダクトの販売も行っている。
2022年2月には、自社プロダクトだけでなく他社製品も合わせたワンストップソリューション「Cyber Solution Plus」シリーズの第1弾としてテレワーク・リモートワークソリューション(30アイテム)の販売を開始した。


※1 「Cyber CTI」(コールセンターシステム)、「Cyber IP-PBX」(IPネットワークを活用したPBX)、「Cyber Phone」(スマートフォンの内線化対応システム)など企業の通信料金や経費削減に寄与するサービスをオンプレミス版、クラウド版で提供している。

※2 通信事業者の公衆回線を経由して構築された仮想的な組織内ネットワークまたはそのようなネットワークを構築できる通信サービスのこと。
企業内ネットワークの拠点間接続などに使われ、遠隔地の拠点においても自社ネットワーク内部の通信として利用できる。



「Cyber Smart」シリーズは、同社が持つ通信分野での高度な技術開発力を基盤として開発されたもので、企業のニーズに合わせてカスタマイズ対応できることが強みとなっている。
中小企業を顧客ターゲットとしており、導入実績は2万ライセンスを超えている。
また、2019年8月に販売開始した「楽々セキュアコネクト」は、既存の通信キャリアや通信装置を変更する必要がなく、同社の接続装置を設置するだけで簡単・安全にVPNサービスを利用できることが特長となっており、リモートワークに取り組む企業が増えるなかで中小企業を中心に着実に導入件数を伸ばしている。


2022年3月に提供開始した屋内型の高精度屋内位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」は、2020年に投入した位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」の高精度版で、スマートフォンとビーコン(近距離無線通信を利用した位置特定技術)を活用することで、誤差10~50cmの高精度で人やモノの動線を正確に把握し、これらのデータを収集・解析することで業務の効率化等を支援するクラウド型ソリューションサービスである。
他社が提供する高精度な位置情報システムよりも安価にシステム構築が可能であるほか、工場や倉庫、店舗、オフィスなどあらゆる場所で利用可能な点が特長である。
工場や倉庫では作業員の動線解析を行うことで、人員配置や作業手順の最適化を図り生産性向上を実現する。
また、店舗では来店客の動線解析を行うことで、商品配置を最適化し店舗売上高の拡大につなげるといった活用方法が考えられる。
なお、要求精度がある程度許容できる顧客については、コストの安い「Cyber Position Navi」を提案している。
さらに、2022年11月には日本オラクル (TYO:4716)と連携し、「Cyber Position Navi」で収集した膨大な位置情報データを、より高度なデータ分析で顧客ニーズに応じてカスタマイズできる「Oracle Cloud版 Cyber Position Navi」の販売を開始した。
オラクルが提供するOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で提供され、OCIの機能と連携することで様々な活用が可能となる。
なお、高精度版である「Cyber Position Navi Plus」のOracle Cloud版も2023年にリリースする予定となっている。


(3) ファシリティ事業
ファシリティ事業は、横浜本社ビル及び東神奈川ビルにおける不動産賃貸収入となり、「その他」セグメントとして開示しているが、売上高、利益ともに全体に占める比率は1%未満であり、業績への影響は軽微となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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