エスプール Research Memo(3):障がい者雇用支援サービスは2ケタ増収を継続、過去最高を更新

Fisco

発行済 2023年08月02日 12:23

*12:23JST エスプール Research Memo(3):障がい者雇用支援サービスは2ケタ増収を継続、過去最高を更新 ■エスプール (TYO:2471)の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業の売上高は前年同期比27.5%増の5,969百万円、営業利益は同22.0%増の1,621百万円と2ケタ増収増益が続いた。
主要サービスの動向は以下のとおり。


a) 障がい者雇用支援サービス
障がい者雇用支援サービスの売上高は前年同期比22.3%増の3,274百万円となり、営業利益も同207百万円の増益となった。
営業利益率は売上構成比の変化(ストック型売上となる農園管理収入の構成比上昇)や減価償却費の増加により若干低下したものの、30%台後半と高水準をキープしている。
2023年1月に一部のメディアで農園を活用した障がい者雇用支援サービスに対して否定的な報道があり、その影響が懸念されたが、設備販売区画数は前年同期比10.6%増の690区画と期初計画(610-710区画)の上限近い水準で着地し、マイナスの影響はなかったと考えられる。
実際、2023年4月に開催された厚生労働省の労働政策審議会(障害者雇用分科会)において、否定的な見解や規制等を検討するような動きもなく、今後は市場の健全化に向けて行政として支援や周知啓発を行っていく意向であることが明らかとなっている。
足元の需要も好調なことから、同社では今後も積極的に農園を開設し同事業を拡大する方針を示している。
また、業界全体の健全化に向けた団体の設立準備も並行して進めている。


売上高の内訳を見ると、設備販売高は同7.5%増の1,108百万円となった。
新たに3施設(屋外2/屋内1)を開設し、新規に41社の顧客を獲得した(第2四半期末で556社)。
解約も8社あったが解約理由は今回のメディア報道とは関係なく顧客事由※による。
屋外型の販売構成比が上昇したため販売単価は若干低下した。
第2四半期末の運営管理区画数が前年同期比22.8%増の6,835区画となり、運営管理収入が同32.5%増の1,848百万円となったほか、人材紹介料も販売区画数の増加に伴って同25.6%増の314百万円となった。


※解約理由の内訳は、業績不振が3社、親会社との経営統合が2社、その他が3社。
解約通知期限は6ヶ月前となっている。
第3四半期は1社の解約が見込まれている。



b) ロジスティクスアウトソーシングサービス
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は前年同期比15.8%増の743百万円、営業利益も2ケタ増益となった。
EC通販発送代行サービスの売上高は同16.3%増の679百万円、物流センター運営サービスが同11.0%増の64百万円とそれぞれ伸長した。
低採算案件の整理を進めたほか、現場の品質改善に取り組んだ効果もあり、営業利益率も10%台前半の水準まで上昇した。


c) 広域行政BPOサービス
広域行政BPOサービスの売上高は前年同期比76.9%増の652百万円となったが、先行投資費用の増加により営業利益は同70百万円の減益となった。
BPO拠点数が前年同期の8拠点から19拠点に拡大したことが増収要因となったが、四半期ベースの売上推移を見ると、マイナンバー関連業務がピークアウトしたことにより、第1四半期の351百万円から第2四半期は300百万円に減少した。
また、本部の営業リソース不足が影響して、新規拠点の開設数も計画の7拠点から5拠点と未達となった。
新規事業として2021年11月期下期より開始して以降、急速に成長してきたが、本部の体制整備が追い付かなかったようだ。
現状20~30人体制だが中途採用も積極的に行い、体制強化を図る。


d) 環境経営支援サービス
環境経営支援サービスの売上高は前年同期比34.0%増の396百万円、営業利益は同74百万円の増益となった。
営業利益率は50%超になったと見られる。
上場企業に対するTCFD開示支援※1のコンサルティング業務が順調に拡大した。
また、第3四半期に納品が集中するCFD回答支援※2の受注社数も既に通期計画をクリアしており、売上高、営業利益ともに計画を上回る好調な進捗となった。


※1 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、企業の気候変動の取り組みや影響に関する財務情報についての開示のための枠組みのことで、プライム市場に上場する企業については開示が実質義務化されている。
同社はTCFD開示の支援サービスを提供(契約期間6ヶ月、約500万円)しており、2023年11月期の受注目標は70社(前期58社)。

※2 CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)とは、企業の環境行動(温室効果ガスの排出削減や気候変動への取り組み等)を調査・評価し、そのデータをステークホルダーに情報公開している英国の非営利団体のことで、世界の多くの機関投資家がESG関連銘柄の投資を行う際にCDPの情報を活用している。
CDPでは、気候変動、フォレスト、水セキュリティの3テーマにおける質問書を調査対象企業に対して年に1回送付し、その回答をスコアリングして情報開示している。
日本では2021年まで上場企業500社に質問書を送付していたが、2022年からプライム企業全社(約1,850社)に質問書を送付している。
スコアリングに関してはCDPのトレーニングを受けたパートナー企業が実施しており、ブルードットグリーン(株)ではスコアリング業務のほか、企業が質問の回答を適切に行うためのコンサルティングサービスを提供している。
2023年11月期の受注目標は160社(前期124社)。



e) 採用支援サービス
採用支援サービスの売上高は前年同期比31.3%増の367百万円と2年ぶりに過去最高を更新し、営業利益も2ケタ増益となった。
経済活動の正常化に伴い主要市場である飲食業界におけるアルバイト・パートの求人件数の回復基調が続き、応募受付件数が同22.5%増の353千件と伸長したことが増収要因となった。
また、受付件数の増加に伴うセンターの稼働率上昇により利益率も上昇した。
なお、顧客企業数は前年同期比19社増加の161社となっている。


(2) 人材ソリューション事業
人材ソリューション事業の売上高は前年同期比20.3%減の7,206百万円、営業利益は同30.1%減の697百万円と計画をやや下回った。
主力のコールセンター業務の売上高がスポット案件(新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や臨時給付金関連業務)の減少により、同23.5%減の6,092百万円と大きく落ち込んだことが主因だ。
当初の想定では第2四半期以降に上向くと見ていたが、新規案件の不足により第2四半期も前四半期比で若干ながら減収となった。
ただ、主要顧客における取引シェアは維持しているようだ。
そのほか、販売支援業務は約7割を占める携帯電話ショップ向けの減少を人手不足が深刻なホテル・航空関連業界向けの伸長によりカバーし、同15.0%増の729百万円となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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