タナベ Research Memo(4):2023年3月期はグループシナジーも寄与し、2期連続2ケタ増収増益を達成(1)

Fisco

発行済 2023年08月09日 14:34

更新済 2023年08月09日 14:45

*14:34JST タナベ Research Memo(4):2023年3月期はグループシナジーも寄与し、2期連続2ケタ増収増益を達成(1) ■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
タナベコンサルティンググループ (TYO:9644)の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比11.2%増の11,759百万円、営業利益で同24.4%増の1,152百万円、経常利益で同24.9%増の1,163百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.9%増の724百万円と2期連続で2ケタ増収増益となり、売上高は2期連続で過去最高を更新した。
また、2022年11月に上方修正した計画に対してもそれぞれ上回って着地し、人員体制強化に伴う人件費・採用費・教育費やテレビCM等のブランディング投資関連の費用を計上するなかで、好決算となった。


ウクライナにおける地政学リスクの高まりに端を発したエネルギー価格の高騰や物価上昇、円安の進展などにより、企業収益の先行きについて不透明感が強まる環境ではあったものの、ウィズコロナやアフターコロナ時代に対応するための成長戦略の立案・推進、DX戦略の立案・推進、人的資本経営の実装、M&A、ブランディング支援に至るまですべての経営コンサルティング領域において売上高が伸長した。
グループ会社同士での経営コンサルティングメニューの共同開発や顧客の相互送客、専門マーケティングサイトを通じた見込み顧客の獲得など、成長に向けてここ1~2年で取り組んできた施策の成果が顕在化した格好だ。
特に、上場大企業や中堅企業、自治体からの引き合い増加が目立ち、期初計画には織り込んでいなかった大型案件を複数受注したことも収益増に貢献した。


売上高のうち、チームコンサルティング契約売上高は前期比26.7%増の7,768百万円、期中平均契約社数は同14.6%増の971社といずれも過去最高を更新し、売上構成比率も前期の58.0%から66.1%に上昇した。
ジェイスリーが新たに加わった効果もあるが、既存事業会社も売上高、契約社数ともに順調に拡大した。
また、チームコンサルティング契約の平均売上単価も大口案件を受注したこともあり、前期比10.5%増の800万円に上昇した。


売上総利益率は前期の45.3%から44.2%に低下した。
子会社が今まで販管費に計上していたコンサルタントの人件費を売上原価に振り替えたことや外注費の増加が要因となっている。
販管費については人的資本投資やブランディング投資を実施したことにより、前期比191百万円の増加となった。
営業利益の増減要因を見ると、人的資本投資の増加(人件費及び採用費)で436百万円、持株会社体制への移行費用や創業65周年記念事業費用、ブランディング費用(テレビCM等を実施)等による販管費の増加103百万円を増収効果で吸収した格好だ。
この結果、売上高営業利益率は前期の8.8%から9.8%に上昇した。


また、子会社3社の業績も協業効果もあっていずれも順調に拡大した。
リーディング・ソリューションについては過去最高売上を更新した。
グローウィン・パートナーズについても、クロスボーダー案件や国内スタートアップ企業のM&A案件、ERP実装案件などを受注し収益に貢献した。
ジェイスリーについても規模は小さいものの計画通り順調に推移したようだ。
なお、2023年2月に子会社化したカーツメディアワークスについては2024年3月期から連結業績に上乗せされることになる。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が経常利益よりも低くなっているのは、これら子会社の収益拡大により非支配株主に帰属する当期純利益が前期の18百万円から45百万円に増加したためだ。


なお、半期ベースの業績推移を見ると、下期の売上高は前年同期比5.6%増だったのに対して、営業利益は同12.6%減の550百万円と79百万円の減益に転じている。
これは持株会社体制への移行費用や周年記念事業費用、ブランディング費用、人材採用費などの一時的な費用が下期に偏重したことに加え、人員増による人件費の増加が要因となっている。


(1) ストラテジー&ドメイン
ストラテジー&ドメイン領域の売上高は前期比10.4%増の2,729百万円となった。
「中長期ビジョンの策定・推進」「業種別の事業戦略(グローバル含む)・ビジネスモデル再構築」「SDGs実装」等を中心に全体的にチームコンサルティング契約件数が伸長した。
なかでも、大企業や上場企業(建設、インフラ、物流、食品、SaaS業界)向けや地方自治体向けの大型契約が増加し、テーマ別では「中長期ビジョンの策定・推進」が同12.7%増と好調に推移したほか、「SDGs実装」も同84.0%増と大きく伸長した。
地方自治体向けに関しては、2023年3月期より注力分野として本格的に取り組むべく、戦略総合研究所に専門チームを組織化して、全国に配置する事業拠点と連携しながら営業活動に取り組んだ結果、地域の産業振興や観光ビジョン策定、パブリックサービス等に関するコンサルティング案件を受注した。


また、新たなコンサルティングサービスとして、「CX戦略構築」「IPOに向けたエクイティストーリー策定」等を開発・推進したほか、リード獲得施策として「長期ビジョン・中期経営計画策定」に関するマーケティングサイトを立ち上げ、リード獲得に取り組んだ。


(2) デジタル・DX
デジタル・DX領域の売上高は前期比16.4%増の2,469百万円となった。
「DXビジョン&IT化構想の策定」「デジタルマーケティング」「業種別のERP等の導入・実装」「ブランディングDX(Webサイト・SNS等)」等を中心に、全体のチームコンサルティング契約数が伸長した。
なかでも大企業や上場企業(ヘルスケア、製造、専門商社業界等)、行政団体向けのERPリプレイス案件やBPO案件(決算業務や開示実務等の財務業務支援)、地域上場中堅企業や行政法人向けのブランディング支援(Webサイト制作等)案件が好調だった。


また、新たなコンサルティングサービスとして、ロジスティード(株)との共同でERPシステム「物流業DX Cloud」を開発・推進したほか、「デジタル・DXの戦略・実装」に関するマーケティングサイトを立ち上げ、リード獲得に取り組んだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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