日経平均は反発、国内連休中の海外市場に注目

Fisco

発行済 2023年08月10日 12:23

*12:23JST 日経平均は反発、国内連休中の海外市場に注目  日経平均は反発。
134.62円高の32338.95円(出来高概算8億6096万株)で前場の取引を終えている。


 9日の米株式市場でダウ平均は191.13ドル安(-0.54%)と続落、ナスダック総合指数も-1.16%と続落。
イタリア政府が銀行の追加課税案について一部緩和を発表、欧州株の反発に連れて買いが先行した。
ただ、10日に発表される消費者物価指数(CPI)を警戒した売りに押され、下落に転じた。
原油市況の上昇も先行き警戒感を誘った。
米株安を受けて、8月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買などが交錯するなか、日経平均は188.37円安からスタート。
ただ、為替の円安進行や時間外取引のナスダック100指数先物の堅調推移を背景にすぐに切り返すと、その後は前引けまで一本調子で値を切り上げ、プラス圏に浮上して前場を終えている。
なお、SQ値は概算で32013.86円。


 個別では、業績・配当予想の上方修正と自社株買いを発表したINPEX (TYO:1605)が急伸し、第1四半期の好決算や株式分割を発表したホンダ (TYO:7267)も大幅に上昇。
ほか決算関連では第1四半期決算から業績予想を上方修正した日本板硝子 (TYO:5202)、ロート製薬
(TYO:4527)、日本空港ビルデング (TYO:9706)、第1四半期が好スタートとなった長野計器 (TYO:7715)、千葉興業銀行 (TYO:8337)、武蔵精密工業 (TYO:7220)、今期増益見通し及び中期経営計画の見直しが評価されたやまみ (TYO:2820)、4-6月期の営業黒字転換や新中計の発表が材料視されたコカ・コーラ (TYO:2579)、上半期が計画比で上振れ着地となり自社株買いも発表したネクソン (TYO:3659)、上半期が大幅に上振れたメック (TYO:4971)、業績予想を上方修正した東洋炭素 (TYO:5310)などが急伸している。


 決算以外では、中国が日本行きの団体旅行を解禁する方針と伝わり、三越伊勢丹<
3099>、高島屋 (TYO:8233)、パンパシHD (TYO:7532)、ラウンドワン (TYO:4680)、マツキヨココカラ
(TYO:3088)、エアトリ (TYO:6191)などのインバウンド関連が前日に続き、大幅高となった。


 一方、第1四半期はほぼ想定線も半導体や映画事業の不振などが嫌気されたソニーG (TYO:6758)、第1四半期が2桁減益で市場予想を大幅に下回ったオリンパス (TYO:7733)、第1四半期が2桁減益決算で低い進捗率となった三菱マテリアル (TYO:5711)、減益基調が続いたサントリー食品 (TYO:2587)、4-6月期営業利益が市場予想を下回ったコーセー (TYO:4922)などが大きく下落。
増益決算と利益予想の上方修正を発表したJMDC (TYO:4483)はインダストリー向けの伸び率鈍化が嫌気されたか大幅安。
ほか、決算関連では第1四半期が大幅増益も計画据え置きが失望された円谷フィールズ (TYO:2767)、第1四半期好決算もサプライズに乏しく出尽くしにつながったじげん (TYO:3679)、第1四半期の低い進捗率が嫌気されたシンクロ・フード (TYO:3963)、業績予想を下方修正したグローブライト (TYO:7990)、減益決算が嫌気されたオプトラン (TYO:6235)などが急落。


 セクターでは鉱業、石油・石炭、保険が上昇率上位に並んだ一方、精密機器、電気機器、サービスが下落率上位に並んだ。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の62%、対して値下がり銘柄は34%となっている。


 本日の日経平均は寄り付きと同時に一時32000円割れ目前の水準まで下落したが、その後は前引けまでほぼ一本調子で水準を切り上げ、前日比でプラス圏に浮上。
本日の安値からの上げ幅は300円を超える。


 日経平均はこれまで度々32000円を割り込む局面があったが、毎回、32000円台に早期に浮上し、押し目買い意欲を見せていたが、今週に入ってからは特に32000円手前からの下げ渋りが目立っており、底堅さを改めて確認できている。


 日米長期金利の上昇や米国債の格付け引き下げなどを背景に先週から株式市場のムードが悪くなっていたが、日本株はかなり粘り強さを見せているといえる。
日米長期金利の上昇も今週は一服しており、前日に行われた米10年物国債入札でも需要の堅調さが確認され、安心感につながっている。


 一方、国内は明日から3連休で立ち会いは本日が最後となる。
こうしたなか、今晩には米7月消費者物価指数(CPI)、明日11日には米7月卸売物価指数(PPI)が発表予定だ。
米7月CPIは総合および食品・エネルギーを除いたコア指数ともに前月比+0.2%と前回6月分と同じ伸びが予想されている。
一方、前年同月比では総合が+3.3%と6月(+3.0%)から加速する見込みで、コア指数は前年同月比+4.7%と6月分
(+4.8%)から小幅な鈍化が予想されている。
ある程度は織り込み済みとはいえ、CPIコア指数が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を大幅に上回ったままであるなか、CPI総合の伸びが13カ月ぶりに加速に転じるとなると、インフレ高止まりが想起される恐れがある。


 商品市況の動きなどを背景に、米CPIは次回以降の8月分、9月分の方が警戒されていて、今回の7月分については、事前の市場関係者の間ではさほど警戒する声は聞かれていない。
しかし、前日は、労働者のストライキを背景とした供給リスクから欧州の天然ガス先物価格が急上昇したほか、直近、上昇基調を強めている原油市況は、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト、期近物)が一時1バレル=84ドル台後半と9カ月ぶりの水準にまで上昇した。
コモディティ価格の動向が気がかりななか、警戒度が低い7月分から予想比で上振れとなると、次回8月分以降への警戒感は一段と上昇するだろう。
その場合には、株式市場で再びリスク回避の動きが強まる恐れがある。


 米物価指標の上振れは日米金利差の拡大による円安・ドル高を通じて日本株の相対的な底堅さに寄与する可能性もあるが、現値水準から一段と円安・ドル高が進むと、輸入インフレが再燃する恐れがあり、日本銀行の年内の追加政策修正への思惑なども高まりかねない。
国内連休の間の海外市場の動向には注意したい。

(仲村幸浩)
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