アングル:米株「マグニフィセント・セブン」が正念場、評価維持できるか

Reuters

発行済 2023年10月20日 15:30

Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米株式市場で圧倒的な影響力を持つ超大型7銘柄、いわゆる「マグニフィセント・セブン」が正念場を迎えつつある。米国債利回り急騰で株式投資の妙味が薄れる中で、割高感の広がったこれらの企業は好業績を発表する重圧にさらされているからだ。

アップル、マイクロソフト、グーグル親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズで構成するマグニフィセント・セブンのこれまでの大幅な値上がりこそが、S&P総合500種を年初から12%上昇させる原動力になってきた。

そうした大幅高によってバリュエーションが膨らんだこともまた、マグニフィセント・セブンの最新業績発表の持つ意味合いを重大にしている。7銘柄の平均株価収益率(PER)は足元で33.5倍と、S&P総合500種全般の18.3倍よりずっと高い。

一方で米国債は一部の利回りが5%近辺かそれ以上の水準まで跳ね上がり、株式の相対的な魅力が低下しているだけに、しっかりした業績を残せない企業に対して投資家は従来ほど寛大ではなくなるかもしれない。

実際、マグニフィセント・セブンの先陣を切って18日に第3・四半期決算を公表したテスラは、粗利益率と利益、売上高がいずれもアナリスト予想に届かず、株価が急落した。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュート(WFII)のシニア・グローバル市場ストラテジスト、サミア・サマナ氏は「マグニフィセント・セブンが(ある程度の)利益を計上するのは誰もが承知している。唯一の問題は増益のペースと、投資家がその対価をどれほど過大に払っているかにある」と述べた。

WFIIは6月、アップルとマイクロソフト、エヌビディアが属する情報技術セクターの投資判断を「好ましい」から「中立」に引き下げている。

マイクロソフトとアルファベット、アマゾン、メタは来週、アップルとエヌビディアは来月に入って四半期決算を発表する予定だ。

LSEGのシニア調査アナリスト、タジンダー・ディロン氏によると、マグニフィセント・セブンの今年通期の増益率は32.8%で、残りのS&P総合500種銘柄は2.3%の減益になると見込まれる。

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ただ先行きを読みにくくしているのが、止まらない金利の上昇。マグニフィセント・セブンのような成長株・ハイテク株は、投資家がリスクフリーの国債でより高いリターンを得られる局面では、将来期待される力強いキャッシュフローの価値がずっと下がってしまうため、利回り上昇に対する脆弱性が大きいとされる。

キャップウエルスのティム・パグリアラ会長兼最高投資責任者は「市場参加者は今までなかった選択肢を手にしており、従来と違う形で資金を配分するだろう。この再配分がマグニフィセント・セブンにとってリターンを低下させ、市場の先導役でいることをより困難にする」とみている。

パグリアラ氏は、キャップウエルスはマイクロソフト株を保有し、アップルとアマゾンについてはベンチマーク以下のポジションを構築していると明かした。

<進む割高化>

マグニフィセント・セブンの今年に入ってからの堅調な値動きで、足元の合計時価総額はS&P総合500種の3割を超えたことが、LSEGデータストリームの分析で分かる。

BofAグローバル・リサーチが今週公表した最新の月例機関投資家調査で、「大型ハイテク株の買い持ち」を最も混雑した取引と回答した割合が3分の1強に上ったことも判明した。

アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トーステン・スロク氏はノートに「年初来のS&P総合500種のリターンは全面的にマグニフィセント・セブンのリターンにけん引されており、マグニフィセント・セブンは過大評価が進む一方となっている」と記した。