モビリティショー26日開幕、日本勢がEV積極展示 出遅れ感払拭へ

Reuters

発行済 2023年10月24日 15:05

Daniel Leussink Maki Shiraki

[東京 24日 ロイター] - コロナ禍での中止を挟み、4年ぶりとなる「ジャパンモビリティショー」(旧東京モーターショー)が26日開幕する。ソフトウエアとの融合が進む電気自動車(EV)で出遅れ感が指摘される日本勢が存在感を示し、巻き返しの機運を高められるか、正念場の祭典となる。

<日本勢、EV試作車披露>

トヨタ自動車は今年、EV向け次世代電池の本命とされる「全固体電池」の実用化計画、「ギガキャスト」と呼ぶ車体部品を一体成型する技術の採用などを相次いで発表、EV強化戦略を積極的に打ち出してきた。同社は現時点で、高級車ブランド「レクサス」の試作車を含むEV計6車種などを今回のショーで披露するとしている。

日産自動車も全固体電池と完全自動運転機能を搭載する予定のEV試作車4車種と発売中のEVなどを出展するとこれまでに発表。ホンダもEV試作車、「空飛ぶ車」と呼ばれるeVTOL(イーブイトール=電動垂直離着陸機)、26年から東京都内で始める自動運転タクシーサービスのEVなどを展示する。

一方、海外勢は、中国EV最大手のBYDが中国車メーカーとして初めて参加する。日本で発売中・投入予定の3車種のほか、高級SUV(スポーツ多目的車)や独メルセデス・ベンツとの合弁で開発したミニバンの計5車種を展示する。

ただ、海外自動車メーカーの出展はBYDのほかメルセデス・ベンツ、独BMWの3社にとどまる。EVも、試作車を多く展示する日本車メーカーに対し、実際に生産予定か、すでに生産中の車を中心に披露する予定だ。

トヨタの場合、今年相次いで公表した取り組みがEVへの出遅れ感といった批判をかわすのに一役買っている。だが、SUBARU、マツダ、三菱自動車など、EV展開でさらに困難な課題に直面する可能性があるメーカーの見通しは暗いとの指摘もある。

SBI証券の遠藤功治企業調査部長は、日本勢の中でもトヨタやホンダのように過去最高の営業利益見通しを示すメーカーと他のメーカーの間で「格差が広がっている」ように見えると話す。日本車メーカーは高いコストと主力市場の中国での販売不振にも業績が圧迫されており、日産や中国生産を終了すると報じられた三菱自は特に大きな打撃を受けている。

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<縮小する日本市場>

モーターショー自体、海外勢の参加が少なく地盤沈下が叫ばれて久しい。主催者である日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ会長)は「自動車はみんなで一緒にやる産業」として他業種やスタートアップ(新興企業)にも呼び掛け、参加企業は前回の192社から過去最多の470社超に拡大した。

展示内容も乗用車・商用車・二輪車のほか、空飛ぶ車や電動キックボード、ドローン、ロボットなどにも広がる。より幅広い層にアピールしようという試みでもあるが、急速に進む高齢化と人口減少で、日本勢は販売減少という現実に直面している。

自工会によると、22年の乗用車新規登録台数は前年比6.2%減の約344万台と1987年の約327万台以来の低水準となった。昨年は半導体不足による生産制約の影響もあったが、3年連続で400万台を下回った。

日本とは対照的に東南アジアの自動車市場は成長を続けている。アセアン自動車連盟によれば、東南アジア7カ国の22年の乗用車販売は同24%増の220万台と急増した。日本勢はタイなどの主要市場でのシェアを維持すべく、中国の新興EVメーカーと争っている。