三菱自の今期は一転営業増益へ、円安効果で 販売計画は引き下げ

Reuters

発行済 2023年10月30日 12:31

更新済 2023年10月30日 17:27

Atsuko Aoyama Maki Shiraki

[東京 30日 ロイター] - 三菱自動車は30日、2024年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。営業利益は前年比5%増の2000億円となる見通しで、従来予想の1700億円(同10.8%減)から引き上げた。為替の円安効果が収益を押し上げる一方、通期の販売台数計画は引き下げた。

IBESがまとめたアナリスト15人のコンセンサス予想では、24年3月期通期の連結営業利益の平均値は1898億円。

純利益予想も1100億円(34.8%減)から1400億円(17%減)に上方修正した。

世界販売計画は、従来予想の91万7000台(前年比10%増)から86万8000台(同4%増)に引き下げた。従来19%の伸びを想定していた東南アジア諸国連合(ASEAN)の販売台数が3%の伸びにとどまる見込み。フィリピンは好調だが、上期実績や総需要の回復が遅れているタイ、ベトナム、インドネシアなどの販売状況を織り込んだ。

加藤隆雄社長は決算会見で、「下期以降も各国の景気後退懸念に加え、地政学的リスク等、期初に想定していた以上に不透明感の強いマクロ環境下」にあるとし、船舶不足などのさまざまなリスクに「柔軟に対応する」と述べた。

一方、連合を組む仏ルノーの電気自動車(EV)新会社への出資に伴う協業について加藤社長は、現時点では欧州向けのみで、ASEAN向けは「特に決まっていない」と話した。

<円安が追い風>

通期予想の前提となる為替レートは1ドル=139円(前回予想は131円)、1ユーロ=152円(同148円)と、それぞれ円安方向へ見直した。

松岡健太郎CFO(最高財務責任者)は「円安になればなるほど営業利益が増加する構造」と語り、現状1ドル=150円前後で動いているが、「下期の想定は1ドル=138円。今後は年明けに向けて円高になることも十分想定されるため、保守的に想定を見ている」と説明。「現行水準のままに行った場合は、今回の修正金額以上に営業利益が数百億規模で上振れる可能性がある」とも述べた。