UBSのAT1債に強い需要、35億ドル調達 CS買収後初起債

Reuters

発行済 2023年11月09日 19:24

更新済 2023年11月09日 19:45

Yoruk Bahceli Noele Illien

[チューリヒ 8日 ロイター] - スイスの金融大手UBSは8日、3月のクレディ・スイス救済合併後初となる「AT1債(その他Tier1債)」を起債し、35億ドルを調達した。

UBSのAT1債は5年物と10年物で、利回りはともに9.25%。販売開始当初の約10%から低下した。それぞれ17億5000万ドルを販売した。

LSEG傘下のIFRによると、UBSのAT1債には260億ドルを超える投資家の強い需要があった。

格付け会社S&Pグローバルは「BB」の格付けを付与した。

この債券は、資本水準が一定の基準を下回った場合、または政府の特別な支援を受けるなどの重大な事象が発生した場合に株式に転換される。S&Pによると、こうした機能はUBSの年次株主総会で承認される必要があるが、クレディ・スイス救済時のように債券が紙くずとなることは回避できる。

アクシオム・オルタナティブ・インベストメンツのリサーチ部門責任者、ジェローム・レグラス氏は「今回のストラクチャーは非常に新しく、投資家の不満に耳を傾けたことを示している」と述べた。

UBSによる買収に当たりクレディ・スイスが発行した170億ドルのAT1債は無価値とされた。銀行の資本が一定水準を下回った際の「緩衝材」としての役割に疑問が生じ、市場が動揺した。