米鉄鋼業界は来年第1四半期増益見通し、在庫拡充需要に伴う価格高騰で

Reuters

発行済 2023年11月16日 13:34

Ananta Agarwal Nathan Gomes

[15日 ロイター] - 米国の鉄鋼メーカーは来年第1・四半期に増益が予想される。全米自動車労働組合(UAW)が米自動車大手3社(ビッグスリー)に対してストライキを実施する前に一時調達を休止していた買い手が、再び急いで在庫を積み増そうとしており、鉄鋼価格が高騰しているためだ。

最終財の鉄鋼製品として最も活発に取引される熱間圧延鋼板(HRC)のスポット価格は、9月にショートトン当たり平均734ドルだったが、現在は950ドル前後まで跳ね上がったことが、コモディティー調査会社CRUグループのデータで分かる。

各メーカー向け鉄鋼製品供給で重要な役割を果たしている「サービスセンター」は、ビッグスリーのUAW加入労働者によるスト開始前、購入を停止していた。

ただ在庫水準が低かった上に、ビッグスリーが操業を再開したこともあり、多くのサービスセンターはすぐに大口の発注を迫られた。

CRUのシニアアナリスト、ライアン・マッキンリー氏は「価格が底を打ったと認識し、安定的な需要を踏まえてサービスセンターは製鉄所に大口の注文を出し、UAWのストに入る2週間で価格をまた上昇基調に戻した」と述べた。

米鉄鋼製品需要のうち自動車セクターはおよそ25%で、どの年でもその65%前後をビッグスリーが占める、とCRUのデータは示す。

こうした中でクリーブランド・クリフスの自動車部品向け鉄鋼製品出荷は第3・四半期に過去最高水準を記録。同社はHRCのスポット取引価格を9月以降で4倍に引き上げ、現在はショートトン当たり1000ドルと、足元の市場価格を上回っている。