中国アリババ、クラウド事業の分離撤回 米の半導体輸出規制が理由と説明

Reuters

発行済 2023年11月17日 00:19

更新済 2023年11月17日 10:01

Casey Hall Akash Sriram

[16日 ロイター] - 中国電子商取引(EC)大手アリババ・グループ・ホールディングは16日、クラウド事業のスピンオフ(分離・独立)計画を撤回した。人工知能(AI)用半導体に対する米国の輸出規制拡大で不確実性が生じたためと説明している。

アリババは「このところの先端半導体輸出に対する米規制の拡大により、クラウド・インテリジェンス・グループの見通しに不確実性が生じた」とコメントした。

今後はクラウド事業の成長とAI関連への投資に注力すると説明。同事業は今後も独立した運営を維持するという。

アリババは3月、同社の約24年間の歴史で最大となる組織再編の一環でクラウド事業を分離する方針を明らかにしていた。

生鮮スーパー事業「盒馬(フーマー)鮮生」の新規株式公開(IPO)の計画も留保。一方、海外デジタル・コマース事業については外部資金調達を準備するとした。

物流部門の菜鳥(ツァイニャオ)は9月に香港で上場を申請した。

アリババの米上場株は9.1%安で引けた。

ヘッジファンド、グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長はX(旧ツイッター)で、投資家は成長が期待できるクラウド事業の株式を個別に受け取ることを望んでいたと指摘した。

アナリストは3月、クラウド部門に410億─600億ドルの価値があると見積もっていたが、同部門が管理する大量のデータにより、上場は中国と海外の規制当局から精査を受ける可能性があると警告していた。

規制当局に提出された書類で、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の家族信託がアリババ・グループ・ホールディングの米預託株式1000万株を約8億7100万ドルで売却する計画も明らかになった。