ノムラシステム Research Memo(1):2023年12月期は減益を想定も、各利益は第3四半期で計画上振れを達成

Fisco

発行済 2023年12月12日 12:11

*12:11JST ノムラシステム Research Memo(1):2023年12月期は減益を想定も、各利益は第3四半期で計画上振れを達成 ■業績動向

ノムラシステムコーポレーション (TYO:3940)は1986年2月に設立以来、企業のオープン化コンサルティング業務、それに関連するソリューション提供業務などを展開し、発展を遂げてきた。
ITが急速に進化する時代の流れに乗り、ソフトウェア設計・制作請負中心の事業構造から、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹系統合システム)パッケージ導入におけるコンサルティング業務に経営資源をシフトしている。
同社が注力している次世代戦略事業部では、ライセンス販売を積み重ね、システム更新需要等で安定的に収益を上げるビジネスのストック化を目指す。
ストックビジネスが増えれば、中長期的に業績が着実に向上するシナリオが描ける。
同社は国内ERP市場について年平均成長率8%と堅調に推移すると見ており、クラウド市場やビッグデータ市場の拡大も見込んでいる。
コンサルティング企業として同社の成長余地は大きいと弊社は考えている。


同社は、SAP導入コンサルティング、SAP保守サポートセンター運営、Webシステム開発コンサルティング、情報サイトコンサルティングなどを展開している。
2001年にドイツのソフトウェア開発企業SAP (NYSE:SAP)とサービスパートナー契約を結んだことが、同社が飛躍するきっかけとなった。
2009年にはSAPのチャネル・パートナーとなり、SAP ERPのスペシャリスト集団として収益を伸ばした。
2016年9月に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ市場への上場を果たし、2018年3月には同2部市場に上場した。
同年6月には1部市場に指定替えとなり、2022年4月の東証市場再編では最上位のプライム市場に上場した。
その後は国内ユーザーに寄り添ったビジネスを行うために2023年10月20日付でスタンダード市場に移行した。
企業プレゼンスを上げたことにより、信頼度が高まり受注が拡大している。


2023年12月期第3四半期累計決算は、売上高が2,146百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益が315百万円(同24.3%増)、経常利益317百万円(同16.3%増)、四半期純利益236百万円(同25.6%増)と、増収増益となった。
通期見通しに対する進捗率は、売上高は78.0%とやや強含みの水準だが、営業利益が114.8%、経常利益が115.2%、四半期純利益が125.8%と、通期計画の予想数値を上振れた。


受注は順調に推移した。
第2四半期までに電力関係の大口案件を直接契約で受注したほか、大手テレビ局グループから受注したSAP S/4HANA導入プロジェクトが引き続き貢献した。
2020年11月から開始したこのプロジェクトは、業界においては納期どおりに終わることなく1~2年の遅れが通常であるところを期限どおりに納入し、同社の信頼度を高めている。


総じて見ると、プライム※案件にシフトする一方、既存のFIS(Function Implement Service)が減少する傾向が続いている。
FIS案件は外注コストがかかるため売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。
全体の売上高に占めるプライム比率は従来35%前後だったが、直近では約40%に上昇した。
こうした直接的な受注が増加したことで利益率が上昇し、想定数値から上振れる大きな要因になっている。


※クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する。



一方、次世代戦略事業部のDX事業への先行投資に力を注いでおり、DX事業への前向きな投資によるコスト上昇が懸念要因ではあるが、今後の成長につながるため不安材料とはならない。
2023年12月期の通期見通しは現時点においては減益を予想するものの、現時点における進捗から上積みが十分期待できる状況だ。
その理由として直接取引の比重が高まったことが挙げられる。


今後も利益率向上を図るために、プライム案件、準プライム案件の比重をさらに高める方針だ。
従来型のFIS案件のように、プライムベンダーから依頼を受け、支援する形で部分的に対応することと比べて、売上総利益率に10ポイントほどの差が生じることから、当面はプライム案件の受注確保が業績向上のカギを握る。


前述したように、足元の状況は直接取引の増加により好転している。
期初に立てた売上高2,760百万円(前期比2.0%増)、営業利益275百万円(同21.9%減)、経常利益275百万円(同25.9%減)、当期純利益187百万円(同26.7%減)の計画は変更していない。
同社の想定はどちらかと言えば保守的に提示する傾向がある。
ただ受注やプロジェクトの進行が順調となっている点を踏まえれば、各利益の進捗率から上方修正は濃厚だろう。
同社は、業績見込みが当初計画に比べて差異が大きいと確認できた段階で、速やかに公表するとしている。
受注は順調に拡大する見込みながら、5年後の飛躍を見込み引き続き人材投資に力点を置く考えだ。


収益向上のカギとなるプライム案件は着実に積み上がる見込みだ。
今後も「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、1)「SAP S/4HANA」のリプレース需要を取り込むため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化、2)「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化を重点施策とする。
また、既存のシステムについてクラウドを導入していない企業が多いため、クラウドへの置き換えを進めるといったビジネスチャンスが広がりそうだ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

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