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巴川紙 Research Memo(3):半導体・ディスプレイ関連事業は半導体実装用テープに強み、新製品投入に期待

発行済 2023-12-27 17:03
更新済 2023-12-27 17:15
© Reuters.
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*17:03JST 巴川紙 Research Memo(3):半導体・ディスプレイ関連事業は半導体実装用テープに強み、新製品投入に期待 ■巴川製紙所 (TYO:3878)の会社概要

(2) 半導体・ディスプレイ関連事業
半導体・ディスプレイ関連事業は、半導体実装用テープ、半導体製造装置向け製品、FPD(フラットパネルディスプレイ)向け光学フィルムを3本柱に事業を営んでいる。
半導体実装用テープはICメーカーやリードフレームメーカー、半導体製造装置向け製品は国内大手半導体製造装置メーカー、FPD向け光学フィルムはフィルムメーカー等へ販売している。


この事業は1981年に半導体の高集積化が急速に進展するなかで半導体チップ保護接着テープの開発から始まった。


同事業の中心事業はICチップ搭載用リードフレーム固定接着テープを核とする半導体実装用テープである。
これはリードフレームの中心部に置いたICチップとリードフレームのピンの先端を金線でワイヤボンディングする際に、リードフレームの接触を防止するためのもの。
1984年に発売を開始、国内だけでなく米国・韓国・東南アジアでも使用された。
1989年に入り、ノートPCなどの拡大による多ピン化ニーズからQFP(Quad Flat Package;半導体パッケージの1種で、リードが4側面に伸びている)が成長し、急速に生産量が伸びた。
またTAB(Tape Automated Bonding)テープを開発、1986年に上市、1988年には受注が急増した。
電子材料事業は1989年にはクリーン工場を建設するまでの事業に拡大、電子部品材料部門の売上高は2001年3月期には全体売上の30%にまで高まり、同社収益に大きく寄与した。
しかし、その後はテープをチップ面積分打ち抜き周辺部を廃棄する方式から、必要面積分のみ利用するセグメント貼り方式に移行し伸び悩んだ。
さらに半導体需要がノートPCからタブレットさらにはスマートフォンに移り、BGA(Ball Grid Array;リードの代わりにはんだボールで接続)を中心とするFC-BGA基板が中心となるなど民生用向けの伸び悩みも影響した。
ただし最近は信頼性の要求度が高い車載半導体などでQFPパッケージが増加し、利益の柱となっている。


半導体製造装置向け部品については、現在の売上規模は小さいが、今後の成長性が高い分野。
この中心は静電チャックと金属繊維不織布シートを組み込んだ半導体製造装置用部材である。
静電チャックは事業自体の歴史は古く、1987年に半導体製造装置メーカーからの開発依頼を受けて、1991年に同社、東芝 (TYO:6502)、東京エレクトロン (TYO:8035)で共同開発し上市した。
静電チャックシートは静電気の吸着力でシリコンウエハを固定するシートで、プラズマエッチング加工で用いられる。
生産数量は1995年当時月産数百台程度が、2000年には月産千台を超える規模にまで拡大し、同市場でトップシェアの地位を築いた。
ただしウエハ市場が12インチに主戦場が移り、耐熱性、耐摩耗性、化学的安定性などでセラミック静電チャックが採用となり、同社は出遅れ、その後伸び悩んだ。
しかし最近は、レガシー半導体の拡大を受けて8インチ以下対応装置の稼働率が向上、一定の売上高を確保している。
また、当該分野新製品の開発も進捗中であり、今後の拡大が期待される。
なお開発中の金属繊維不織布シートを組み込んだ製造装置用部材は、設備内で使われるガスの温度調整に使われ、製造装置全体の使用電力を大幅にセーブできる。
現在、試作品の納入が開始された状況にある。


FPD向け光学フィルムは、1975年に粘着加工技術を生かしLCD偏光板粘着加工の事業を開始したことに始まる。
1981年には電子ゲーム用なども受注し、車載用には耐熱性に優れた粘着加工なども増え事業拡大した。
また2000年手前では大型FPDテレビとしてPDP(プラズマディスプレイパネル)に期待がかかり、2001年にPDP用の電磁波シールド材を上市、PDPテレビの拡大に伴い急拡大した。
しかし光学フィルムはPDPが退場するなかで縮小、大型設備投資によるコストの重荷を背負う時期が続いた。
現在は損益分岐点を下げて利益を確保できる態勢にあり、売上が拡大すれば高い収益性が得られる状況にあるものの、受注変動で収益のぶれが大きく安定しない事業となっている。



機能性シート事業は製紙、塗工紙、機能性不織布、ガムテープの4つに大別
(3) 機能性シート事業
機能性シート事業は祖業の電気絶縁紙を含む製紙関連、磁気乗車券などを含む塗工紙関連、機能性不織布、ガムテープ、紙加工で構成されている。
同事業は継続的な製紙事業の縮小から損失が続くなかで構造改善を進め黒字化を目指しており、営業損失が縮小課程にある。
同社は構造改革において、2022年3月に大型抄紙機をすべて停機し、小型抄紙機で小回りのきく体制を整えた。
なお機能性不織布関連については成長分野として伸ばす。


機能性不織布は機能として特殊抄紙技術(異種繊維沿抄紙、含浸、混抄、担持など)を生かし、新機能を有する湿式不織布などを開発・製造している。
機能性不織布の開発自体の歴史は古く、1960年代初頭からの電気絶縁紙の高性能化を図る目的で合成繊維混抄紙の開発に遡る。
ただし商品化まで拡大したものはほとんどなかった。
1980年代前半からの新素材ブームにより再注力し、ステンレス繊維シートやフッ素樹脂繊維シートを開発も、コスト面などで大きなビジネスにならずに推移してきた。
その後、特殊繊維抄紙技術や粉体担持技術などを活かし、無機繊維断熱シートやガス吸着シートなどを開発、上市し事業として伸長してきている。
なお2016年には、銅繊維シートも開発、用途開発に沿い、ユーザー試験、評価を受ける体制ができ、今後の量産化が待たれる状況にある。
またステンレス繊維シートは前述の半導体製造装置用部材に使用され、量産化で事業の本格拡大が期待されている。



指紋認証カードや電子回路基盤内蔵カードなどで事業拡大
(4) セキュリティメディア事業
セキュリティメディア事業は、有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連を展開している。
2020年3月31日に昌栄印刷を連結子会社化したことで、2021年3月期より新セグメントとなった。


(5) 新規開発事業
2020年4月の組織改革で生まれた新事業。
同社グループの方針として主にiCas関連製品の開発と販売を進めるなかで、事業部に移管する前に新製品が上市されたものなどを売上計上している。
iCasは同社の強みである「抄く(抄紙技術)」と「塗る(塗工技術)」に電気物性のノウハウを融合させ、熱・電気・電磁波をコントロールし、電気電子機器・部品の故障・誤作動防止に貢献する製品群である。
製品ブランド名「iCas」(アイキャス)は「Insulation」(絶縁)、「Conduction」(伝導)、「Absorption」(吸収)、「Solution」(解決)の頭文字を列記したもので、2015年に統一ブランドとして創設した。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

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