タキロンCI Research Memo(2):高度な技術と高シェアを強みとする総合樹脂加工メーカー

Fisco

発行済 2023年12月28日 11:02

更新済 2023年12月28日 11:15

*11:02JST タキロンCI Research Memo(2):高度な技術と高シェアを強みとする総合樹脂加工メーカー ■会社概要

1. 会社概要
タキロンシーアイ (TYO:4215)は、合成樹脂製の建築資材や農業・土木資材などを製造販売する大手総合樹脂加工メーカーである。
4つの事業セグメントを展開しており、建築資材事業でポリカーボネート樹脂板や防滑性ビニル床シートなど、環境資材事業では農業用フィルムや土木工事向け遮水シートなど、高機能材事業では半導体製造設備に利用される工業用プレートなど、機能フィルム事業ではペットボトル飲料のラベルとして利用されるシュリンクフィルムなどを手掛けている。
高度な樹脂加工技術を強みに、特殊な成形や厚み・強度など、用途に応じて幅広い分野の製品を製造することができ、国内トップシェアを誇る製品も多い。
100年以上の社歴を持つタキロンとシーアイ化成が2017年に経営統合して設立された会社で、伊藤忠商事 (TYO:8001)の連結子会社(2023年3月期末持分比率55.5%)である。



タキロンとシーアイ化成による経営統合
2. 沿革
同社前身の1社であるタキロンは、1919年に創立された老舗である。
セルロイド業界で確かな地位を築いたのち塩化ビニルの研究に着手、1955年に硬質塩化ビニル板「タキロンプレート」を発売した。
それ以降、金属製が主流だった波板の塩化ビニル化をはじめ、プラスチックを使った斬新な発想で雨どいや排水ますなどを開発し、新たな価値を創造して世の中に提供するメーカーとしての評判を確立して事業を拡大、1961年に大阪証券取引所(以下、大証)2部に上場、1972年に大証1部に指定替え、翌年には東京証券取引所一部上場を果たした。
1980年に独自の表面技術により優れた静電気防除効果と透明性を兼ね備えた高機能材プレートの製造を開始。
電子機器製造装置の分野で採用され、液晶や半導体製造設備のクリーンルームパーティションへと用途を拡大した。
1994年には防滑性床材でマンション改修市場へ本格的参入、2000年には波板や平板がポリカーボネート製品へとシフトするトレンドを捉えて需要拡大を取り込んだ。


同社前身のもう1社であるシーアイ化成は、1971年にハマ化成(株)と神戸樹脂(株)が合併して誕生した会社である。
設立時の主力事業は、塩ビパイプと農業用ビニルフィルムで、特に防霧特性のあるビニルフィルムは大変な人気となった(パイプ事業は2005年に撤退)。
1980年には第3の柱となる家具・建材用フィルムに進出、その後、積極的に海外に進出することになる。
1989年に北米のストレッチフィルムの需要増加を取り込むためBonset America Corporation(BAC)を設立、1995年にはモータ生産のため中国に進出した。
2007年にイタリアにBONLEX EUROPE S.r.l(BLX)を設立して現地の家具メーカーに「ボンレックス」を販売、2012年にはシュリンクフィルム需要の取り込みを狙って南米ウルグアイにBonset Latin America S.A.(BLA)を設立した(BLAは2023年に撤退を発表)。


このようにタキロンとシーアイ化成は、重なる事業が少ないため事業領域の拡大をはじめとするシナジーが見込めること、もともと伊藤忠グループのため情報交換や人材交流を進めてきていたこともあり、2017年に経営統合をすることとなった。
融合にじっくり時間をかけたのち、前中期経営計画は外部環境の想定外の悪化もありやや躓いたものの、2024年3月期の単年度経営計画をきっかけに、次期中期経営計画で攻めに出ようとしているところである。



全国、全世界をカバーする製造体制
3. 製造拠点
現在、国内の製造拠点・研究所は26拠点、海外の製造拠点も5拠点ある。
タキロンとシーアイ化成の事業の重複分野が少なかったため、統合後もほとんどの工場が生かされている。
融合を優先したためやや出遅れた感のある生産の最適配置と増強投資だが、今後は次期中期経営計画に向けて積極化する方針である。
重複分野が少ないとはいえ、時代に合わせて配置する必要もあるため、次期中期経営計画では投下資本利益率(ROIC)をベースに工場と研究所の最適配置と役割変更を進めていくようだ。
後述するように、既にBLAの撤退を決める一方、BACとBLXは増強投資を行う方針で、複数拠点の研究機能の統合も検討している。
日本などへ製品を送り出してきた中国の2工場は、中国国内向けを強化する意向のようだ。
最適配置が進めば、その分企業全体の収益性も向上していくことになろう。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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