アングル:マグニフィセント・セブン固執か他銘柄乗り換えか、選択迫られる米株投資家

Reuters

発行済 2023年12月29日 08:11

Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米国株が力強い1年を終えようとしている今、運用担当者たちは2024年に二つの道のどちらかを選ぶ必要に迫られる可能性が出てきた。つまりこれまで指数を押し上げる原動力となってきたごく少数の成長株やハイテク株への投資を堅持するか、それとも他の銘柄に軸足を移すかだ。

アップル、マイクロソフト、アルファベット子会社グーグル、アマゾン・ドット・コム、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、テスラの超大型7銘柄、いわゆる「マグニフィセント・セブン」は今年の上昇率がそれぞれ50─240%前後に達し、株式市場で最もリターンの高い投資先となった。

これら7銘柄はS&P総合500種指数に占める比重が非常に大きいため、同指数の年初来上昇率24%の3分の2近くをもたらす役割も果たした。だからBofAグローバル・リサーチによる最新のファンドマネジャー調査でも、7銘柄の保有が市場で「最も混雑した」取引だったのも不思議ではない。

しかし24年は米連邦準備理事会(FRB)の利下げが期待されつつ、米経済は景気後退を回避できそうなことから、ここ数週間ではマグニフィセント・セブン以外の銘柄も眠りから覚め始めた。一方マグニフィセント・セブンは過大評価の領域に入り、利益確定売りにさらされやすいと警戒する声も聞かれる。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのグローバル・テクノロジー・アンド・イノベーション・チームに属するポートフォリオマネジャー、ジョナサン・コフスキー氏は、金利や経済の動向次第では、マグニフィセント・セブンよりもその他の銘柄により大きなチャンスがあるのではないかとの見方を示した。

アポロ・グループのデータによると、S&P総合500種指数構成銘柄の72%は同指数に対して今年アンダーパフォームしており、この比率は過去最も大きい。

ただ株高の裾野が広がっている兆しも見える。今年のほとんどの期間、通常のS&P総合500種に劣後していた均等加重ベースの同指数だが、12月の上昇率は6.8%対4.4%と逆転を果たした。また以前は低調だった小型株のラッセル2000指数も12月の上昇率は14%と、3年ぶりの伸びになろうとしている。

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もちろん他の銘柄に、マグニフィセント・セブンが投資家を引きつけているのと同じような魅力を期待しても無理があるだろう。マグニフィセント・セブンの企業規模と競争力の高さは、FRBの急激な利上げが景気に及ぼす影響を心配していた投資家にとって格好の避難場所になった。

今年は人工知能(AI)関連技術を巡る将来性への大きな期待が、エヌビディアやマイクロソフトといったマグニフィセント・セブンの一部の株価を押し上げた面もある。エヌビディアは238%、マイクロソフトは56%値上がりした。

収益力も重要だ。LSEGのデータでは、今年のマグニフィセント・セブンの利益は39%増加する半面、残りのS&P総合500種銘柄は2.6%減少する見通しとなっている。24年も、今年ほどでないにしてもマグニフィセント・セブンの利益がアウトパフォームすると予想される。

とはいえマグニフィセント・セブンは割高化が進んでいる。LSEGデータストリームによると、これら7銘柄の予想利益に基づく株価収益率(PER)の平均は33.6倍で、S&P総合500種全体の19.8倍をはるかに上回る。

こうした中でジャナス・ヘンダーソンのコフスキー氏は、傘下のファンドが少なくともマグニフィセント・セブンの一部を保有する、と述べたものの、金利が落ち着く方向をたどり続けるならば、24年は中小型株の物色にも目を向ける構えだ。