欧州企業への「物言う株主」の圧力、今年さらに増大か

Reuters

発行済 2024年01月09日 09:36

更新済 2024年01月09日 09:46

Svea Herbst-Bayliss

[ニューヨーク/ロンドン 8日 ロイター] - 今年は欧州企業に対してアクティビスト(物言う株主)がより多く、より大胆な改革を求めることになる。複数のアドバイザーがロイターにこうした見通しを示した。

法律事務所スカッデン・アープスが8日公表した調査によると、対象企業の60%が向こう1年で欧州における物言う株主の動きが見込まれると回答した。

ラザードが8日公表したデータに基づくと、2023年はアクティビストによる欧州企業を標的とした案件が69件と、22年比で15%増えて過去最高を更新した。

JPモルガンの欧州中東アフリカM&A資本市場と株主エンゲージメントの責任者を務めるダレン・ノバク氏は「中規模資本の欧州企業向け投資に注力するファンドの設立が増えている。戦略的見直しの提案や新たな取締役指名といった従来のアクティビストの手法を駆使する機関投資家の数も多くなってきた」と指摘した。

欧州企業は労組や場合によっては政府、または大株主との関係が他の地域よりも密接で、外部の圧力からの防壁が堅いため、近年はアクティビストによる攻勢の主な対象から外れてきた。

また経営方針を巡る意見対立は、水面下で解決されるとケースも少なくなかった。

しかしドイツのデカ・インベストメントなども、エリオット・マネジメントのような従来のアクティビストと同様に公然と企業に大幅な改革を要求するようになっており、今後は欧州企業もアクティビストへの対応でコストが増大したり、時間を奪われたりする恐れが出てくる。