グリムス Research Memo(7):事業用太陽光発電システムの拡大を軸とした成長戦略を推進(1)

Fisco

発行済 2024年01月18日 13:27

*13:27JST グリムス Research Memo(7):事業用太陽光発電システムの拡大を軸とした成長戦略を推進(1) ■今後の見通し

2. 事業セグメント別の戦略
グリムス (TYO:3150)では、2024年3月期の業績予想達成に向けて、以下のような事業セグメント別の成長戦略を計画している。


(1) エネルギーコストソリューション事業の戦略
事業用太陽光発電システムは2021年3月期から本格的に販売を開始した商材で、主として中小事業者の工場等の屋根に太陽光発電システムを設置し、創った電気を工場で自家消費してもらうことで、電気を購入するよりも電力コストを低く抑える提案を行う。
同社グループは中小規模製造業の顧客が多く、電子ブレーカーやLED照明などの販売先の電力消費量を把握していることから、より具体的な電力コストの削減提案をしやすいと見られる。
また、中小企業向けの太陽光発電システム販売は競合先が少ない市場環境であり、同社がプライスリーダーとして高い収益性を実現している。
業務用エアコンなどの省エネ設備の販売に比べて利益率が高い。
既に事業用太陽光発電システムの販売は毎期倍増しており今期においても好調に推移しているが、市場規模も拡大が予測されていることから、今後もさらに販売拡大を目指す。
計画達成に向けて人的リソースを投入するほか、他社との提携も積極的に推進する。
また、引き続き電力コスト削減のための電力基本料金削減コンサルティングや各種省エネ設備の販売を推進する計画だ。


同社では、事業用太陽光発電システムの成長理由として、以下の3つを示している。


第1は、「中小企業への普及」である。
自家消費型太陽光発電は、これまで環境経営を意識した大手企業が導入をけん引してきたが、導入コストの低下に伴い、今後はこれまで普及していなかった中小企業への普及が進むと考えられる。
同社は中小企業を対象に10~50kWのゾーンをターゲットとしており電力会社との協議が不要のため、受注から設置までのリードタイムを短くすることで早期の収益化を実現している。
このゾーンをターゲットとしている事業者は他になく、同社ではスピード感をもって対応することで、トップランナーであると自認している。
競合他社がいないことから、利益率も高くなっている。


第2は、「政策の強化」がある。
各省庁や自治体からの補助金、支援制度が拡大され、事業用太陽光導入の経済メリットが高まっているほか、FIT制度による10~50kW規模の全量売電が廃止されて余剰売電のみに適用、自家消費の活用が推進されている。
さらに、2024年度から10kW以上の屋根置き太陽光というFIT制度の新区分が設けられ、工場の屋根への設置については余剰電力の売電価格の優遇(地上設置型よりも高い売電価格が設定される)がある。
政府の脱炭素に向けた政策が、事業用太陽光発電システムへの追い風になっている。


第3は、「電気料金の削減」である。
電気料金は「基本料金」+「電力量料金」+「再エネ賦課金」の合計で算定されるが、太陽光発電システムを導入すると、自家消費した分の「受電電力量」が減少するため、受電電力量をもとに算定する電力量料金と再エネ賦課金を削減することができる。
また、同社では顧客に信販会社等を案内して事業用太陽光発電システムを販売しており、自家消費による電気料金の削減額が信販会社への支払いを上回るような提案をすることで、顧客に経済的メリットを提供できることが最大の成長理由である。


エネルギーコストソリューション事業では、事業用太陽光発電システムの販売を中心に、引き続き運用・設備・調達改善のトータルソリューションを提供する計画だ。
すなわち、事業用太陽光発電システムの顧客を対象に、他の商材もクロスセルすることを考えている。
具体的には、運用改善では、IoT機器や電子ブレーカーの活用など、電気機器の運用方法や契約内容を見直すことで、電力基本料金を削減することができる。
設備改善では、事業用太陽光発電システム、LED照明、業務用エアコン、トランス、各種省エネ設備など、既存の設備をより省エネ効果の高い設備に変更することで、電力使用料金を削減することができる。
調達改善では、複数の小売電気事業者のなかから最適な電力を提案し電力を取り次ぎ、電力の調達元を見直すことで、電気そのものを安価に調達することができる。


以上から、エネルギーコストソリューション事業では、2024年3月期の売上高8,364百万円(前期比51.3%増)、売上総利益4,815百万円(同38.7%増)、営業利益3,264百万円(同57.0%増)と、前期に売上を抑制した反動もあり大幅な増収増益を予想する。
すなわち、前期は小売電気事業が非常に好調であったことから、第4四半期に受注したエネルギーコストソリューション事業の商品については翌期に受注残を繰り越して(バックオーダーに回して)売上計上を抑えたことの反動である。
特に事業用太陽光発電システムについて、売上高6,811百万円(同119.7%増)、売上総利益3,705百万円(同116.4%増)と倍増を計画しており、人員など経営資源を集中投下することでエネルギーコストソリューション事業並びに同社全体の業績拡大に貢献する見通しだ。
ただ、前期に売上総利益率が55%程度であった事業用太陽光発電システムのウェイトが増し、同80%超の電子ブレーカーのウェイトが低下することで、エネルギーコストソリューション事業全体の売上総利益率は57.6%(同5.2ポイント低下)となるが、より販売単価が高い事業用太陽光発電システムのウェイトが高まることで生産性が向上するため、営業利益率は39.0%(同1.4ポイント上昇)となる見通しだ。
2024年3月期第2四半期累計では、事業用太陽光発電システムの販売が拡大し、売上高は通期計画比52.5%、売上総利益は同55.4%、営業利益も同59.4%と、計画を上回るペースで順調に推移している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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