SI Research Memo(4):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(3)

Fisco

発行済 2024年01月18日 14:24

*14:24JST SI Research Memo(4):「時間を与えるソフトウェアを創り続ける」独立系ソフトウェア開発会社(3) ■システムインテグレータ (TYO:3826)の事業概要

4. AI事業
AI事業では、最新の画像認識技術を使用したディープラーニング外観検査システム「AISIA-AD」を2018年10月にリリースした。
製造ラインの外観検査工程をディープラーニング技術によって自動化することで、大幅な省力化を実現するシステムである。
「AISIA-AD」のディープラーニング技術は、MicrosoftのAzureを利用した学習環境によって、異常・正常を見分けられるAIモデルを作成する。
異常検知処理は、製造ラインに流れる検査対象物をカメラで撮影し、エッジコンピュータにより高速でリアルタイムに判定し、異常品と判断したものを仕分けする。
検査対象物や要求精度が顧客によって異なるため、個々の案件ごとにAIモデルを開発し、PoC(概念実証)を実施しながら最終仕様を固めていく必要がある。


PoC実施のイニシャル費用は約400万円で、実際の製造ラインに導入する際には、「AISI∀-AD」のライセンス費用480万円と開発費用(要件定義~導入支援、教育)1,000万円にハードウェア機器約400万円が必要となる。
PoCの検証期間で2~3カ月、開発導入期間で4~6カ月が目安となる。
同社のERP事業の顧客は製造業が多いため、ERP導入で蓄積した業務ノウハウやネットワークを武器に顧客開拓を進めているが、当初の想定よりも立ち上がりに時間を要している。


5. インキュベーションその他
インキュベーションその他には、2018年1月に提供を開始したプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」と2021年秋にリリースしたアイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」の2つのサービスが含まれている。


(1) TOPSIC
「TOPSIC」は、プログラミングの共通スキルであるアルゴリズム力を問う問題を難易度別(6段階)に組み合わせてオンラインで出題・採点し、受験者のスキルレベルをチェックするサービス「TOPSIC-PG」と、業務系でよく使われるデータベース関連の言語であるSQLのスキルチェックを行うサービス「TOPSIC-SQL」の2つのサービスを提供している。
企業における技術者採用時のスクリーニングテストや社員向け教育研修ツール、外注先企業を選定する際のスキルチェック用として活用できるほか、多言語に対応しているため外国人エンジニアの採用やオフショア企業選定の際にも活用できる。


料金プラン(税抜)は両サービスとも同様で、従量制(回数課金)と定額制(人数課金)に分かれている。
従量制の場合はスタンダードプラン(一般企業向け)で年間基本料3.8万円と受験1回当たり1.9万円、定額制の場合はスタンダードプランで年間基本料30万円と利用人数に応じた年間利用料が付加される(学校向けはスタンダードプランの1割で提供)。
2023年2月末の導入社数は103社となっている。
利益率に関しては、作問を外部委託している「TOPSIC-PG」よりも社内で作成している「TOPSIC-SQL」のほうが高い。


プログラミングスキル判定サービスの競合としては、(株)ギブリーの「Track Test(トラック・テスト)」があり、大手からベンチャー企業まで導入社数は350社以上で受験者数、問題数ともに業界トップと見られる。
また、スキルチェックと連携した就職・転職サービス事業やe-ラーニング事業を展開しているpaiza(株)が運営する「paiza」は2023年9月末時点で約66万人が登録し、4,000社を超える企業が採用に利用しており、ビジネスモデルは異なるものの競合の1つと言える。
「TOPSIC」はこれら競合サービスと比較して伸び悩んでいるのが現状であり、経営課題の1つとなっている。


なお、同社は「TOPSIC」の認知度向上も兼ねて、2018年から「TOPSIC」を用いた企業・学校対抗プログラミングコンテスト「PG Battle」を年1回のペースで開催しているほか、2022年7月からSQLのコーディング力を競うイベント「TOPSIC SQL CONTEST」も開始した。
「PG Battle」は2023年10月に開催された第6回大会で企業・学校合わせて361チーム(前年378チーム)、1,083名(同1,134名)が参加した。
「TOPSIC SQL CONTEST」は大会を開催するごとコンテストの会員登録数も着々と増え、2023年2月末時点で1,300人超の規模まで成長している。


(2) IDEA GARDEN
2021年11月にサービスを開始した「IDEA GARDEN」は、「社員のアイデアを企業経営に活かす」という目的を実現するためのツールとして開発されたもので、社員一人ひとりが新事業や新商品のアイデアを出し、そのアイデアを社内で共有、蓄積・管理し、企画の形に仕上げていく仕組みを提供している。
年間の利用料金(税抜)は、登録可能アイデア数やGarden数(アイデア管理ボード数)によって、60万円、120万円、360万円のプランがあり、1カ月の無料体験プランも用意している。
2023年3月には生成AIの「ChatGPT」を活用した新機能「AIブレスト機能(β)」を実装し、チャット形式でAIとブレインストーミングを行いながら、誰でも簡単に短時間でアイデアをブラッシュアップすることが可能になった。
「IDEA GARDEN」に対する関心度は高く、セミナー参加や無料トライアルまでは進むものの、有料化に移行するケースはまだ少なく今後の課題となっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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