Ritsuko Shimizu
[東京 31日 ロイター] - 野村ホールディングスが31日に発表した2023年10─12月期連結純利益(米国会計基準)は、前四半期比43%増の505億円になった。堅調な株式市場を背景に個人を顧客とする営業部門や投資銀行業務(インベストメント・バンキング)が好調だった。23年1―3月期を底に利益は回復基調となっている。
前年同期比では24%の減益だった。前年は野村総合研究所株の売却関連益280億円を計上するなど一時的な利益かさ上げ要因があったため。
同時に発行済み株式の4.0%にあたる1億2500万株・1000億円を上限とする自社株買いも発表した。20年3月期上期に1500億円で実施して以来の規模となる。期間は2月16日から9月30日まで。
北村巧・財務統括責任者(CFO)は会見で「業績回復にはかなり自信を持ち始めている。自社株買いの枠も設定した。株価的にも安いと考えている」と述べた。
インベストメント・バンキング(IB)は、特に日本が好調だった。収益は454億円(前四半期比36%増、前年同期比30%増)で、比較可能な2017年3月期以降で最高となった。経営陣などが自社を買収して独立するMBOを含む非公開化案件などが増加。大型の公募・売り出しも多く手掛けた。
資産運用や自己投資を手掛けるインベストメント・マネジメント部門(IM)は、運用資産残高は78.5兆円で3四半期連続で過去最高を更新した。ただ、投資損益は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の貢献が大きかった前四半期から減少し56億円となった。
営業部門の税前利益は約8年ぶりの水準となった。株式市場の活況に加え、富裕層や法人オーナー向けに人員を配置するなどの体制変更が奏功している。
同社は、25年3月期までに500億円のコスト削減を行うと表明している。北村CFOは「マーケット環境などを見ながら人員は定期的に見直している」とし、500億円の削減についても「すでに8割に手を打っている」と述べた。
23年4─12月期連結純利益(米国会計基準)は、前年同期比28%増の1091億円だった。 通期見通しは開示していない。IBESがまとめたアナリスト5人の通期連結純利益予想の平均値は1394億円だった。