TDSE Research Memo(1):定評ある技術力に営業力を強化させることで、成長軌道回帰へ

Fisco

発行済 2024年02月16日 15:01

更新済 2024年02月16日 15:15

*15:01JST TDSE Research Memo(1):定評ある技術力に営業力を強化させることで、成長軌道回帰へ ■要約

1. AI技術を軸としたコンサルティング事業とプロダクト事業を展開
TDSE (TYO:7046)は、小売やサービス、金融などの大手顧客に対し、データサイエンティストやエンジニアによるコンサルティング事業及びソーシャルアナリティクスツール「Quid Monitor」※や対話型AIプラットフォーム「Cognigy」などのプロダクト事業を展開している。
同社の強みは、コンサルティングからシステム実装まで一気通貫したハイエンドなコンサルティング事業と、経験豊富なデータサイエンティストによるAI技術を用いたデータ分析にある。
現状の売上構成比はコンサルティング事業が圧倒的に大きいが、中期経営計画「MISSION2025」ではプロダクト事業を加速度的に成長させるためのラインナップ強化を進める方針である。


※2023年10月に同社製品導入元である米国のNetBase Quid社(以下、Quid社)のリブランディングにより、Netbaseを「Quid Monitor」、RivalIQを「Quid Compete」へとブランド変更した。



2. 中期経営計画第1フェーズで営業利益率10%以上を維持させ、第2フェーズでは飛躍へ
同社のコンサルティング事業は、成長分野であるAIビジネス市場において安定的に成長している。
中長期目標として「プロダクト事業を第2の柱として確立させ、2029年3月期に売上高10億円以上を目指す」を掲げている。
2024年3月期からの3期間を第1フェーズとして中期経営計画「MISSION2025」を策定し、2026年3月期に売上高33億円~37億円、営業利益率10%以上を目指す。
成長戦略としては、コンサルティング事業において、売上高1,000億円以上の企業を深耕することにより「大規模×長期化」を進める。
加えて、プロダクト事業ではラインナップを強化する計画である。
AI人材や製品開発・投入に伴う先行投資を強化するため、営業利益率は第1フェーズでは10%水準は維持し、第2フェーズ(2027年3月期~2029年3月期)の飛躍につなげていく考えである。


3. 2024年3月期第3四半期は低調となるも、営業力強化で中期経営計画達成を目指す
2024年3月期第3四半期累計の業績は、売上高1,875百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益180百万円(同23.0%減)と、特に第3四半期3ヶ月の業績にブレーキがかかり減益となった。
要因は、中期経営計画で計画していた成長のための先行投資を前倒ししたこと、コンサルティング事業の業績が想定よりも拡大しなかったことにあると推測される。
先行投資の前倒しについては2025年3月期以降に収益貢献する見通しだが、これらの要因は、売上動向から展開力・営業力に課題があったと考えられる。
同社もこうした課題について認識しており、KPIを設定して展開力・営業力を強化していくという。
費用先行の現状は雌伏期であり、定評ある商品力や技術力に展開力・営業力の強化が加われば成長軌道に回帰し、中期経営計画の達成が射程圏に入ってくると思われる。
なお、同社は2024年3月期の業績予想について、売上高が堅調に推移していることから、売上高2,589百万円(前期比7.2%増)、営業利益281百万円(同5.7%増)と、期初計画を据え置いた。


■Key Points
・安定成長のコンサルティング事業に加え、高収益のプロダクト事業の成長加速を図る
・「MISSION2025」で2026年3月期に売上高33億円~37億円、営業利益率10%以上を目指す
・2024年3月期第3四半期業績は、先行投資の前倒しと一部事業の低調により前年同期比で減益
・定評ある商品力や技術力に営業力を強化させることで成長軌道に回帰し、中期経営計画達成が射程圏に

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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