システムサポート Research Memo(3):クラウドインテグレーション事業を中心に5つの事業を展開

Fisco

発行済 2024年03月06日 15:23

*15:23JST システムサポート Research Memo(3):クラウドインテグレーション事業を中心に5つの事業を展開 ■会社概要

2. 事業内容
システムサポート (TYO:4396)グループは、同社と連結子会社7社で構成されており、クラウドインテグレーション事業、システムインテグレーション事業、アウトソーシング事業、プロダクト事業、海外事業の5つの事業セグメントで開示している。
2024年6月期第2四半期累計の売上構成比を見ると、システムインテグレーション事業が54.4%と過半を占めているが、利益ベースではクラウドインテグレーション事業が54.8%と過半を占め、システムインテグレーション事業は12.3%と売上構成比と比較して低くなっている。
これは販管費の共通費用等を各事業セグメントの売上原価に比例して配分しているためであり、売上総利益の構成比で見ればシステムインテグレーション事業が45.4%、クラウドインテグレーション事業が32.6%と売上構成比とほぼ同様の比率となっている。
ただ、直近3ヶ年の推移を見ると、クラウドインテグレーション事業の構成比が年々上昇傾向にあり、いずれはシステムインテグレーション事業を上回ることが予想される。


(1) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業では、ServiceNowやAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructureなど各種クラウド基盤の導入・利用支援やライセンスの再販(リセール)を行っている。
2024年6月期第2四半期累計の売上構成比を見ると、ServiceNow関連が35.6%と最も高く、AWS関連が35.0%、Google Cloud関連が11.6%、Microsoft Azure関連が9.1%と続く。
また、ストック型ビジネスとなるリセールの売上比率は33.1%となっている。


クラウド関連の受注案件は、クラウド事業者からの紹介が多いため、各クラウド基盤の認定技術者を数多く育成し顧客満足度の高い開発実績を積み重ねていくことが、受注拡大のための重要なポイントとなっている。
このため、同社は認定技術者の採用・育成に注力しており、こうした取り組みの結果、Microsoft Azure、AWS、Google Cloud、Oracle関連などのAwardで数多くの表彰を受けている。
収益性は比較的安定しており、なかでもServiceNow関連については、国内でいち早く参入して多くの開発実績を積み重ねてきたこともあり、クラウド関連のなかではもっとも収益性の高いビジネスとなっている(2024年6月期第2四半期累計の売上総利益率は40.1%で事業セグメント全体の28.3%を上回る)。


なお、クラウドサービス利用料となるリセールについては、クラウド事業者からドル建てで同社に請求が送られ、それを同社が円換算して一定のマージンを上乗せしたうえで、円建てで顧客に請求している。
このため、為替が円安となった場合は売上高や売上総利益の増加要因となるが、顧客側の支払い負担が増加するため利用量を抑制する動きが出る可能性もある。
また、決済期間は平均で1~2ヶ月程度であるが、この間に急激に為替が円安に振れた場合はドル建て債務に関する為替差損が発生するケースもある。


(2) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業は、企業のITシステムのコンサルティング・設計・開発・運用保守のほか、ERPパッケージの導入・利用に係る技術支援、Oracleデータベース等のインフラ構築(Oracle Cloud Infrastructure関連はクラウドインテグレーション事業に含む)が含まれる。
2024年6月期第2四半期累計の売上構成比は、ITシステム開発が57.1%と過半を占め、ERP関連が27.7%、データベース関連が15.1%と続く。


金融機関向けシステム開発やERP構築など大規模プロジェクトについては、納期遅延などによる不採算発生リスクを避けるため、直接受注ではなく二次請けで受注している場合が多い。
採算性は低くなるが、大規模プロジェクトは長期間にわたって売上に貢献するため、エンジニアの稼働率を一定水準維持する役目を果たしている。


(3) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業は、子会社のイーネットソリューションズが運営する国内2ヶ所のデータセンター(東京、金沢)における運営サービスが売上高の80.1%と大半を占め、残り19.9%をデータ分析・入力、ニアショアによるシステム運用保守で占めている。


データセンターについては、企業のプライベートクラウドのインフラ用あるいはBCP対策・データバックアップ管理用として主に利用されており、顧客数は1,000社を超えている。
データセンターの顧客獲得施策、またアップセル施策として、地震情報と連動して社員の安否確認メッセージを自動で配信する緊急通報・安否確認サービス「Safetylink24」やワークフローサービス「ActionPassport」、オンラインストレージサービス「ActiveAssets」を提供しているほか、2017年より日本アイ・ビー・エム(株)の「IBM Watson Explorer」(AIを活用した検索・分析プラットフォーム)を月額料金制で利用できるサービス「Magic Insight」を開始するなど付加価値サービスの提供を行っている。
データセンターサービスは、顧客数の増加及び顧客の利用業務拡大により月額売上が積み上がるストック型の収益構造であり、サーバー等の能力増強投資は需要に応じて適宜実施している。


(4) プロダクト事業
プロダクト事業では、同社グループによるプロダクト(ソフトウェア)の開発及び販売、サービス提供を行っており、顧客ニーズに応じたカスタマイズ開発にも対応している。
現在の主力製品は、建築業向け工事情報管理システム「建て役者」、卸・小売業界向けを中心としたモバイル受発注システム「MOS」、勤怠・作業管理システム「就業役者」、クラウド型シフト管理システム「SHIFTEE」の4製品で、2024年6月期第2四半期累計の売上構成比はそれぞれ35.2%、29.1%、13.0%、9.0%となっている。
不定期にカスタム開発案件を受注するほか、導入時にハードウェアの売上を計上することもあるが、クラウド(SaaS型)サービスによる月額課金が売上の約59%を占め、契約件数の積み上げによって収益が増加するストック型ビジネスモデルとなる。
販売については直販が多いが(「建て役者」はOEMが多い)、販売力強化のため代理店施策も積極的に取り組んでいる。


(5) 海外事業
海外事業は、北米に展開している日系企業向けに、米子会社でシステムインテグレーションサービスや人材紹介サービスを、カナダの子会社で給与・会計業務のアウトソーシングサービスを展開している。


(6) グループ企業と従業員数
同社の子会社は、積極性・迅速性をもって常に顧客に新たなソリューションを提供するため、機能別・業種別に専門特化している。
2023年6月期末の連結従業員数は前期末比115名増の1,348名となり、従業員の84%が技術者で占められている。
地域別では首都圏が52%、北陸が20%、関西が14%、東海が13%、海外が1%弱の構成となっており、需要の拡大に対応するため各地域でバランスよく人材の採用を進めている。
なお、退職率は5%前後と業界平均が10%前後の水準にあるなかで低水準である。
これは給与処遇の向上だけでなく、技術者としてのスキルアップを図るための資格取得費用などを全額支給したり、テレワーク環境を整備するなど働く環境の整備に積極的に取り組んでいることが背景にあると見られる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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