SBSHD Research Memo(2):3PLと自社開発した物流施設の流動化による独自ビジネスモデル展開

Fisco

発行済 2024年03月19日 16:52

*16:52JST SBSHD Research Memo(2):3PLと自社開発した物流施設の流動化による独自ビジネスモデル展開 ■会社概要

1. 会社沿革
SBSホールディングス (TYO:2384)は1987年、首都圏で「即日配送」という当時にはなかった配送システムを提供するユニークな会社として、現代表取締役社長の鎌田正彦(かまたまさひこ)氏によって設立された。
2003年には日本証券業協会に株式を店頭登録し、財務基盤を強化したうえでM&A戦略を積極化し業容を拡大した。
2004年に雪印物流(株)(現 SBSフレック(株))を子会社化したのを皮切りに、2005年に東急ロジスティック(株)(現 SBSロジコム(株))、2006年に(株)全通(現 SBSゼンツウ(株))、2018年にリコーロジスティクス(現SBSリコーロジスティクス)、2020年に東芝ロジスティクス(現SBS東芝ロジスティクス)など国内大手企業の物流子会社を中心に相次いでグループ化し、事業規模拡大の原動力となった。


また、物流事業の拡大と合わせて、3PL事業※を強化していくための物流施設の開発も2004年より開始した。
流動化スキームによって投資資金を早期回収し、新たな物流施設開発のための投資に回していく同社独自のビジネスモデルを積極的に推進しているほか、M&Aで大手物流企業をグループ化したことで、物流拠点の運営面積は2020年末の約53万坪から2023年末は約97万坪と3年間で1.8倍に急拡大した。
今後もこれら成長戦略の推進により、さらなる事業拡大を目指している。


※同社の3PL事業の定義は、荷主より直接受託し、3年以上にわたって一連の(複数の)業務を一括して請け負っている案件を指す。



2. 事業内容
同社の事業セグメントは物流事業、不動産事業、その他事業の3つのセグメントで構成されている。
物流事業が売上高の9割強、営業利益でも過半を占める主力事業となっている。
不動産事業については、保有物流施設の流動化による売却益が大半を占めるため、施設売却の時期や規模によって利益も変動する傾向にあるが、経年では営業利益60~70億円の水準で実施されている。
事業セグメント別の概要は以下のとおり。


(1) 物流事業
物流事業では、主に企業間物流の分野で総合的な物流サービスを展開している。
具体的には、荷主である顧客企業の物流業務の請け負う3PL事業や、全国ネットワークを持つ三温度帯(冷凍・冷蔵・常温)での食品物流や一般物流、小型貨物を即日配達する即配サービスのほか、国際物流事業などをグループ各社で展開している。
2023年12月期における主要会社別の売上構成比(全社売上比)で見ると、SBS東芝ロジスティクスグループが26.7%、リコー (TYO:7752)製品や大塚商会 (TYO:4768)の「たのめーる」(オフィス用品通販)などの物流や3PLを手掛けるSBSリコーロジスティクスグループが23.5%となり、これらで売上高の約5割を占めている。
次いでEC物流や小売業のような多品種小ロットを取り扱う3PLを強みとするSBSロジコムグループが16.4%、食品物流・低温物流を主力とするSBSフレックが10.4%、個人・企業間や個人向けの即日配送を行うSBS即配サポート(株)が8.5%、個人宅配(生協)や農産品物流などを行うSBSゼンツウが4.8%となっており、そのほか2021年末に子会社化したSBS古河物流(株)などが続いている。
営業エリアはSBS東芝ロジスティクスとSBSリコーロジスティクス、SBSフレック、SBS古河物流が全国に展開しており、SBS即配サポートは首都圏、その他グループ会社は関東、関西、中部を中心とした主要都市圏で展開している。
また、国際物流に関してはSBS東芝ロジスティクスグループ、SBSリコーロジスティクスグループとSBS古河物流が主に展開している。


同社は2023年12月期よりスタートした中期経営計画における成長戦略として、3PL、EC物流、国際物流の3事業を強化する方針を打ち出している。
これら3事業の売上構成比について見ると、2023年12月期では3PLが55%※、EC物流が16%、国際物流が14%となっている。


※3PLは契約種類別の売上構成比となるため、そのなかにはEC物流や国際物流が含まれるケースがある。



(2) 不動産事業
不動産事業では、自社グループにおける3PL事業を展開していくための物流施設を開発、流動化して収益を獲得する開発事業と、従来から保有しているオフィスビルやマンションなどの賃料収入、及び自社のオペレーションが入らず賃料のみを収受している物流施設からの収入などからなる賃貸事業で構成されている。


同社の不動産流動化のビジネスモデルは、低リスク高収益であることが特長となっている。
新たな物流施設の開発にあたっては、物流事業者固有のライセンスを活用するとともに専門性を有するアセットマネジメントチームによる企画を通じ開発費用を抑えることで、価格競争力のある賃料を実現している。
このため、景気低迷などで荷量が減少しても賃料が相対的に高い近隣の他社倉庫からの乗り換え需要が見込まれるため、稼働率を落とさずに運営を継続できる。
また、テナント企業が5割程度決定してから着工することを原則としているため顧客を想定した作り込みが可能で、開発コストを抑えられる要因ともなっている。
また、自社の3PL拠点として稼働率をほぼ100%とし、事業用不動産としての価値を高めたうえで売却し、セール&リースバックにより継続して使用するため、買い手側も安定した収益性を確保できるWin-Winの関係を構築している。


(3) その他事業
その他事業は、売上高の約5割を倉庫内の軽作業派遣を中心とした人材サービス事業が占め、次いでマーケティング事業(ペットフードの通販サイト運営、EC支援サービス等)が約2割、残りを太陽光発電事業、リサイクル・環境事業(一般及び産業廃棄物の回収及び中間処理を行う)、保険事業などが占めている。
太陽光発電事業に関しては、自社の物流センターや事業所の屋上などに太陽光パネルを設置しており、2023年12月期末時点の発電能力は合計で約13MWとなっている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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