サムスン電子、第1四半期営業利益約10倍増の見通し 半導体価格回復

Reuters

発行済 2024年04月05日 09:01

更新済 2024年04月05日 12:55

Joyce Lee Heekyong Yang

[ソウル 5日 ロイター] - 韓国サムスン電子は5日、第1・四半期の営業利益が前年同期比10.31倍と予想以上に回復する見通しを示した。半導体価格が回復しており、深刻な半導体需要落ち込みで低迷した前年同期から利益が押し上げられる見込み。

営業利益は6兆6000億ウォン(48億9000万ドル)の見通しで、これは2022年第3・四半期以来の高水準。前年同期は6400億ウォンだった。LSEGスマートエスティメーツがまとめた市場予想の5兆7000億ウォンを上回った。

売上高は11%増の71兆ウォンの見通しで、市場予想の72兆3000億ウォンには届かなかった。

今回の見通しは投資家が好感するには十分ではなく、サムスン株は1.3%下落した。

サムスンは30日に決算の詳細を発表する。

最大の稼ぎ頭である半導体事業は5四半期ぶりの黒字を計上する見込み。半導体価格の回復が後押ししている。

データ会社トレンドフォースによると、第1・四半期のDRAM型メモリー価格は前四半期比で約20%上昇し、NAND型は23─28%上昇した。

人工知能(AI)向けで使用される広帯域幅メモリー(HBM)などの半導体需要に対する強気の見通しは、サムスン株をここ1年で34%上昇させた。だが、サムスンのHBM市場への参入が比較的遅かったこともあり、ここ1年で株価が122%急騰したSKハイニックスには大きく水をあけられている。

アナリストらは、サムスンが第3・四半期に最新かつ最も高性能のHBMの出荷を開始予定であることから、ライバルに徐々に追いつくと予想している。

3日に台湾を襲った強い地震で、半導体の供給は引き締められる可能性が高い。アナリストによると、半導体メーカーのサムスンとSKハイニックスは、従来計画よりも急激に値上げする可能性があり、第2・四半期の収益を押し上げる可能性があるという。

アナリストによると、サムスンのモバイル事業は通話を同時翻訳するなどAI機能を充実させた新型スマ―トフォン「ギャラクシーS24」を1月下旬に発売した後、堅調に利益を上げた可能性が高い。